タバタ式トレーニングの初心者向けガイド

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4分間のHIIT(高負荷インターバルトレーニング)を習得するための基本と、在宅プログラムを作成するためのヒントをエキスパートが解説する。

最終更新日:2023年9月21日
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タバタ式ワークアウトの初級ガイド

ワークアウトは長くやれば効果的というものではない。 米国疾病予防管理センターは、週に75分間の激しい有酸素活動(ランニング、サイクリング、水泳など)を推奨しているが、研究によると、短い(けれど激しい)無酸素のインターバルトレーニングは、従来の持久力トレーニングを長めにこなすのと同じくらい心血管代謝の健康に効果的であることが示されている。

つまり、ワークアウトの長さは、結果を得るためのワークアウトの観点から言うと、ワークアウトに傾ける努力ほど重要ではないかもしれない。 そこで、タバタ式トレーニングに注目してみよう。このトレーニングでは、短くて激しいワークアウトを、すべて短時間でこなすことができる。 何よりも、 長さはたった4分。あらゆるフィットネスレベルのニーズに合わせてカスタマイズできる。

タバタ式とは?

タバタ式トレーニングは、田畑泉博士と、日本の国立大学法人 鹿屋体育大学の研究チームによって開発された。 高負荷インターバルトレーニングの一形態である4分間のトレーニングの概要が初めて公表されたのは、1996年発行の『Medicine and Science in Sports and Exercise』に掲載された調査論文だ。 調査に参加した人たちは、エアロバイクで激しい動きを短い間隔で繰り返すよう指示された。

「4分間の内訳は、20秒間のラウンド+10秒間の休憩×8セットです」と、NASM認定パーソナルトレーナーのアレックス・シルバーは言う。「エクササイズは、レジスタンスベースでも自重トレーニングでも構いません

多くの研究で、短時間の高負荷エクササイズが健康全般にポジティブな効果をもたらすことが示されている。 2021年発行の『Journal of Physiology』に掲載された短時間のHIIT(高負荷インターバルトレーニング)の利点に焦点をしぼった再調査では、15分未満のHIITワークアウトは、それより長時間のHIITワークアウトと同じくらい、あるいは、それ以上に、健康マーカーを改善する(血圧を下げたり心肺機能を向上する)ことが示されている。

タバタ式トレーニングをはじめる前に知っておくべきこと

タバタ式トレーニングは、フィットネスレベルに関係なくトライできる。初心者向けにアレンジするのも比較的簡単だ。 実際には、ACE認定パーソナルトレーナーのキャシー・グラビッキーは、ウェイトトレーニングに取り掛かる前に、タバタ式ウォーキングをはじめることを推奨している。 クラスを受講している場合は、初心者であることをためらわずにインストラクターに知らせるべきだと彼女は指摘する。そうすれば、インストラクターが必要に応じて修正点を教えてくれるからだ。

「初心者は、軽めのインターバルトレーニングからゆっくりと始め、徐々に高負荷トレーニングへと移行すべきです」とグラビッキー。 「ウォーキング(ダッシュの代わりになるもの)や体重を使ったローインパクトの運動など、比較的簡単なエクササイズで、20秒間運動、10秒間休憩を試してみてください。 息が切れそうになったら、回復時間を延長するか、休憩をさらに増やしてください」

もちろん、エクササイズのルーティンをはじめる前は、医師や理学療法士に相談することを忘れないでほしい。 グラビッキーはタバタ式トレーニングを行う前後に、適切なウォームアップとクールダウンの時間を作ることの重要性も強調している。

タバタ式トレーニングを行う頻度は?

タバタ式トレーニングの頻度は、フィットネスレベルによって異なる。 医学的な問題がクリアになれば、自力で、またはパーソナルトレーナーの助けを借りて、定期的なルーティンを作成することから始められるとシルバーは言う。

「私は新しいクライアントに、最初の数週間は、タバタ式を1日、アクティブリカバリーを2日という1対2の比率に従って、次のHIIT(高負荷インターバルトレーニング)プログラムに進むことを勧めています」とシルバーは説明。 「慣れてきたら比率を2対1にひっくり返し、最終的に持久力がついたら5対2または6対1にします」

アクティブリカバリーの日に行うアクティビティとして、グラビッキーはヨガやストレッチなどの定常有酸素運動を提案している。 最も重要なことは、自分の体に耳を傾け、必要に応じて休息をとることだと言える。

(関連記事:エキスパートが教える、日常的にストレッチを行う5つのメリット

「運動後に体を回復する方法は人によってそれぞれ違います。 年齢、遺伝的特徴、栄養素など、多くの要因が関与しているのです」とグラビッキーは言う。 「激しいワークアウトの後は、次のワークアウトまでに、24時間から48時間の十分な休息を体に与える必要があります。

タバタ式トレーニングに関するその他の注意点

どんな運動療法にも言えることだが、タバタ式トレーニングには長所と短所がある。 タバタ式トレーニングは、正しく行えば、これまでやってきたワークアウトの中でも最もきついと感じるはずだとシルバーは言う。 長所と短所を完全に理解すれば、自分にとって適切なワークアウトかどうかを判断することができる。

  1. 1.無酸素と有酸素の両方の体系の改善につながる。

    2019年発行の『Journal of Physiological Sciences』による再調査では、タバタ式が体内の無酸素と有酸素の両方のエネルギー体系を改善することが示されている。 これらの2つの体系は、運動能力と健康全般に異なる利点を提供する。 研究によると、有酸素運動(ランニング、ジャンプ、サイクリングなど)は心肺持久力をサポートし、無酸素運動(レジスタンストレーニング、コアエクササイズなど)は筋力と筋量を高めるという。

  2. 2.これは、長時間のHIIT(高負荷インターバルトレーニング)と同じくらい効果的な場合がある。

    前述した『Journal of Physiology』の2021年の研究で示されているように、短時間のHIIT(高負荷インターバルトレーニング)は、VO2 Max(ワークアウト中に体が使用できる酸素の最大量)を、長時間のHIITワークアウトの場合と同様に高めることがわかっている。 こうしたワークアウトは、心臓の健康に良い効果を与えることさえある。

  3. 3.ローインパクトの運動にもなる。

    タバタ式はHIIT(高負荷インターバルトレーニング)の一形態だが、「高負荷」という言葉にだまされてはいけない。 ワークアウトは高負荷である必要はなく、初心者をサポートし、関節に痛みのある人や怪我をしている人が取り組みやすいものでなければいけないと、グラビッキーは語る。

    「バーピーやスプリントのようなインパクトの大きい動きは、心拍数をすばやく上げるのに最適な方法ですが、タバタ式トレーニングをそうした動きのみで構成する必要はありません」とグラビッキーは続ける。 「プレスや腕立て伏せを組み合わせたスクワットのような、ダンベルや体重を使ったインパクトの少ない動きは、一生懸命取り組めば効果的でしょう」

    それでも、このエクササイズが自分にとって安全であるかどうかを、トレーナー、理学療法士、または医師に必ず確認してほしい。

  4. 4.同時に、ハイインパクトの運動にもなりうる。

    タバタ式トレーニングは、体重移動を利用しても実践できるが、自分のペースで行わずにウエイトを使って時間と闘いながら行うと、すぐに体に無理がかかる可能性があると、シルバーは指摘している。

タバタ式トレーニングに使える10種類の動き

タバタ式トレーニングを独自に作る準備はできているのに、どこからはじめたらいいのかわからない人は、エキスパートがよく使用するいくつかの動きを参考にしてみよう。 これらの動きを組み合わせれば、自宅で理想的なタバタ式トレーニングを作成できる。

  • ハイニー
  • プランクパンチ
  • ジャンピングジャック
  • サイドスケーター
  • プッシュアップ
  • バーピー
  • マウンテンクライマー
  • スプリットスクワット
  • ボックスジャンプ
  • ランジ

文:アシュリー・ローレッタ

公開日:2022年9月13日

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