授乳とエクササイズを両立させる方法

Nike (M) が登場

母乳で重くなった乳房。ときには漏れ出てくるような不快な状況では、産後期のトレーニングを進めるのは難しい。専門家からのアドバイスを参考にしてみよう。

最終更新日:2022年7月25日
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  • 産後に運動目標を立てていても、胸が張り、絶え間ない育児で疲れ果てた状態ではうまくいかないことがある。
  • ある研究によれば、授乳をスキップしない限り、運動をしても母乳量に影響はないという。
  • 授乳や搾乳をできるだけ運動の直前に行い、フィット感の高いブラを着ければ、運動がずっと快適になるだろう。


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*このコンテンツの目的は情報提供と意欲の向上であり、診断、治療、特定の医療に関するアドバイスを意図したものではありません。妊娠前、妊娠中、出産後の健康と安全の維持については、必ずかかりつけ医に相談してください。

授乳中に医師から念願の運動許可が得られたとしても、運動を習慣にするどころか、24時間の育児・搾乳スケジュールを日々どのように回すかで頭がいっぱいになっているかもしれない。胸にまだ張りを感じたり、乳管に詰まりがあったり、母乳の減りが心配になることもあるだろう。幸いなことに、こうした心配を抱えていたとしても、あなたが望めば、運動は問題なくこなすことができる。ここでは、そのための方法をご紹介しよう。

1. 無理をしない。

授乳はそれだけでエネルギーを消費する。そのため、ワークアウトでわずかでも気力を減らすことは、是が非でも避けるべきだ。「運動を始めるときは、自分のエネルギーの変化をしっかりと観察しておきましょう」と語るのは、ブリアナ・バトルズ。アイダホ州イーグルでPregnancy & Postpartum Athleticismという教室を立ち上げた、認定ストレングス・コンディショニング・スペシャリストだ。バトルズは「この体には今、何が必要かという問いかけを、心の中でしてほしいという。そこで運動という答えが出なければ、運動を控えても一向に構わない。

授乳で忙しくなった両胸にしっくりこない動作にも、同じことがいえる。たとえ、あなたがかつてそれを好んでいたとしてもだ。これには、スプリントや自転車の立ちこぎ、うつ伏せのヨガポーズ、バーピーなどがあてはまるかもしれない。この感覚は時とともに変わるかもしれないが、今この瞬間に違和感を覚える行動を、無理に行う必要はどこにもない。

2. 新しいスポーツブラを買ってみる。

これは産後の生活を健やかに送るための情報としてお伝えする。誓って、Nikeスポーツブラの宣伝ではない。産前に使っていたワークアウトブラを何とか着けられたとしても、フィット感やサポート性が今の自分に合っていない場合は、使わないようにしよう。

きつすぎるか、特定の箇所に食い込みを起こすブラ(とくにワイヤー入りのもの)は、乳管閉塞の原因になりかねない。そう指摘するのは、ジェシカ・マッキー。カリフォルニア州ベンチュラ郡で国際委員会公認の授乳コンサルタントを務める正看護師だ。この現象は乳管にブラの着圧がかかり、乳房にたまっている母乳の流れが1箇所で詰まることによって起きる。マッキーによれば、乳管が詰まると乳房に硬いしこりができ、痛みを伴うこともあるという。詰まりの除去は難しく、乳腺炎という感染症を起こして、発熱やインフルエンザのような症状を伴うこともある。だから、このような症状を防ぐためには、できるだけのことをするべきだ。

授乳や搾乳に特化したスポーツブラを試してみるのもいいが、身体に合ったものが見つからなくても問題はない。バトルズによれば、出産後は乳房が大きくなっていたり、ハイサポートのものが必要なこともあるため、スポーツブラは可能であれば店頭で試着するのが望ましいという。オンライン通販が最も便利な場合には、タグを外す前に、マッキーが教えてくれた簡単なテストを次の要領で実施しよう。まずは、バンドと肩紐の下に指が2本入るかを確かめる。次に、その場で走ったりジャンプしたり、頭の上に両手を上げたり座ったりしながら、身体を動かしているときの着用感をチェックしよう。ぴったりとしたフィット感が求められるが、動きが制約されるほどきついものはNGだ。

3. 水をたくさん飲む。

授乳中に運動をするのであれば、水分はたっぷり補給しよう。充分な水分を摂らずに、1人の子どもに食事を与えながら汗をかくことは不可能だ。この問題に特効薬は存在しない。ひたすら「頻繁に水を飲み、必要な水分を補いましょう。喉が渇いていると感じたら、確実に水分が足りていません」と語るのは、カリフォルニア州オークランドの委員会公認産婦人科医であるアマンダ・ウィリアムズ医師。これは、いたって明快な指針だろう。

エキスパートのヒントに従って授乳中も安全にエクササイズ

4. 食事も重要。

ウィリアムズ医師によれば、授乳期には身体からのシグナルで食欲が旺盛になるが、そのような実感がなければ、妊娠中よりも食事量を増やすべきかもしれない。母乳を作るためには、毎日およそ300~400キロカロリーが余分に必要になるのだ。そこに運動を加えるのなら、充分な食事を摂ることが欠かせないとバトルズは言う。さもないと(水分補給の時とまったく同様に)、授乳と運動が立ちゆかなくなる。ただし、必死にカロリーを計算したり、食事を極端に複雑にしたりする必要はない。ただ、身体が発する空腹と満腹の合図に耳を傾けて、食物繊維とタンパク質が豊富な自然食品を意識的に摂って心を満たせばよいと、マッキーは説明する。

5. ワークアウトの前に授乳・搾乳を。

マッキーによれば、ランニングやスクワットジャンプに挑む際は、あらかじめ胸を空にしておくべきだという。こうすればワークアウトを快適に感じられるだけでなく、長い目で見れば母乳量の増加にも貢献する。母乳がいっぱい溜まったまま長時間過ごさないようにすることで、母乳を作り続ける合図を身体に送ることができるからだ。そのせいでふだんとは異なる時間に授乳や搾乳を行うことになるかもしれないが、母乳づくりに支障はないとマッキーは言う。

プロからのアドバイス:手動式搾乳器の購入を検討してみよう。運動前や運動中でも、ぱんぱんに張った乳房から母乳をすばやく絞り出すことができる(ウィリアムズ博士によれば、胸が重く感じられる際の不安感を和らげる効果も期待できるそうだ)。

6. 分泌量を心配しない

重要な事実として、運動によって母乳量が減ることはないことを示した研究がある。

もしも運動を始めたあたりから母乳量が変化したり、乳房がぱんぱんに張らないような感覚を覚えたりしたら、おそらくそれは運動のせいではないだろう。マッキーの説明によれば、産後6~12週の間には、産後のホルモン分泌が急激に増加して母乳量が減少しはじめ、母乳作りが需要と供給を反映したかたちに移行していくという(なんとも慌ただしいが、出産後に肥大した乳房がこの時点でいくらかしぼむこともある)。タイミングによっては運動が原因だと思うこともあるだろうが、おそらくは母乳の産生量が自律的に調整されたにすぎず、それは身体にとって良いことなのだ。だから、そのような変化が起きても運動を続けよう

7. 長いトレーニングは計画的に進める。

非常に長時間のトレーニングを繰り返し行っていれば、母乳量がじわじわと減少することもある(それだけのエネルギーがあるのは素晴らしい)。「ヨガを90分していたり、10マイルを走っていたりして母乳を出すタイミングを逃すと、そのせいで母乳量が減る可能性はあります」とマッキーは言う。そういう場合には手動式搾乳器が役に立つ。短い休憩を取ることができれば、さっと母乳を絞り出し、ワークアウトに戻るのだ。長い目ではそうした方が、母乳を出すタイミングを逃すよりも母乳量がずっと安定するようだ。

8. 分からないことがあれば、プロに相談を。

運動の有無を問わず、母乳量の減少や乳管閉塞、乳腺炎、ひどい痛みなどの問題に悩まされている場合は、授乳の専門家に相談をするのが一番。あなたの状態を聞いて分析してくれる。「そうした専門家は、あなたに合わせて個別の計画を立ててくれるでしょう」とマッキーは言う。

人生のこうした時期には、できるだけの助けを得ることに異論はないはずだ。そう思ったら、ぜひ実践してみよう。

文:サラ・ゲインズ・レヴィ
写真:ビビアン・キム

スポーツブラが身体に合っているか分からない場合は、マッキーのアドバイスを参考にしよう。不快感だけでなく、感染症などの問題回避にもつながる。

今すぐチェック

妊娠期の運動に関するアドバイス(専門家やトレーナーの知見を総合したワークアウトなど)をお探しの方は、Nike Training Clubアプリを要チェック。スポーツブラなどのマタニティ用品をお探しなら、Nike (M) コレクションをのぞいてみよう。

公開日:2022年5月19日

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