Coaching

体は休みを求めているのか

トレーニングをしすぎているというサインは、筋肉痛だけではない。目立たないサインにも目を向けてみよう。

最終更新日:June 24, 2021
エキスパートが解説する、体が休養とリカバリーを求めている5つのサイン

大腿四頭筋が震えてトイレに行くのもやっとのとき、自分には休みが必要なことがわかるだろう。フォームローラーを引っ張り出してくる人もいるかもしれない。痛みの原因は、運動によるストレスが引き起こす筋繊維の微細な破損(と、ダメージを修復しようとする体の反応)だが、痛み以外にも、体、そして心に休息が必要だと知らせてくれるヒントはある。

痛みをものともせずトレーニングを続けると超かっこいいという気分になれるかもしれない。しかし、休息と回復を省略すると、体は再びエネルギーを蓄えて損傷した組織を修復する機会を失ってしまう。そう語るのは、認定トレーナーのアンドリュー・ワトキンス。スポーツ・パフォーマンス・ラボのストレングス・アンド・コンディショニングのディレクターでもある。こうした身体的なストレスは体の機能にダメージを与え、最高のパフォーマンスを妨げる。また日常生活において精神面、感情面でのストレスにも対処している場合には、ワークアウトの合間の回復は一層困難になり、メリットよりもデメリットが上回って衰弱をもたらす。

幸い、パフォーマンスにブレーキをかけるタイミングを知るのはきわめて簡単だ。「体は機械であり、ペースを落とすべきときが来れば知らせてくれる」とワトキンスは語る。確かに、痛みは非常に重要だ。だが、それは数多くのサインの1つにすぎない。あまり知られてはいないが休息と回復が必要なときに出されるサインにも注目すべきだ。

1. 何もしていないときでも心拍数が高い。

ワークアウト中に心拍数を計測している人はいるかもしれないが、朝、起床してから数分後など、休息しているときの心拍数にも気を配る必要がある。アメリカ心臓協会によれば、多くの人にとって、安静時の心拍数(RHR)は通常1分間に60-100回となっている(アスリートの数値はこれより低くなるかもしれない、とワトキンスは語る)。

多少の変動はよくあることだが、もし、スマートウォッチなどのデバイスでRHRを記録していて、通常より1分間の心拍数が5以上高い状態が続く場合、「体は懸命に、毎日のルーチンタスクをこなしている」と、フロリダアトランティック大学の運動科学・健康支援学部の准教授であるティナ M. ペンホロウ博士は説明する。適切に休まないと、心臓はフル稼働を続けて身体の組織を修復しようとする — つまり、心拍数の増加は、心臓が懸命に対処しようとしているサインなのだ。

2. ワークアウトがいつもよりつらく感じる。

通常1マイル9分で走っているのに、急に足取りが重くなって1マイル11分のペースになった場合、あるいはウエイトトレーニングの負荷が実力の60パーセント程度なのに車を持ち上げているかのように感じる場合、体は負けを認めて白旗をあげているのだ。

原因は、筋肉が一晩で弱くなったからではない(それではホラーだ!)。中枢神経系、つまり体の各部位からのメッセージを送受信して反応を制御する体の処理センターに、負荷がかかりすぎているのだ、とワトキンスは解説する。「神経系が前日に経験したストレス要因からまだ回復していない状態だと、脳は通常の速さで筋肉にメッセージを送ることができない。その結果、スピードが低下し動作につらさを感じてしまう」

休息と回復を省略すると、体は再びエネルギーを蓄えて損傷した組織を修復する機会を失ってしまう。

アンドリュー・ワトキンス
ストレングス・アンド・コンディショニングのディレクター

エキスパートが解説する、体が休養とリカバリーを求めている5つのサイン

3. よく眠れない。

忙しい毎日を送る中で体は疲れ切っているはず。だが、疲れていてもすっきりと眠れないときは、バーチャルサイクリングで力いっぱいペダルをこぐよりも、ゆったりとしたペースでウォーキングをする方がお勧めだ。「トレーニングをしすぎると、心身ともに緊急態勢に入って休めない状態が続く」とペンホロウは語る。その結果、眠りにつくことが難しくなり、睡眠中も十分に休息できず、全体的に寝不足になることが、フロンティアーズ・イン・フィジオロジーの調査で示されている。

インターナショナル・ジャーナル・オブ・スポーツ・メディシンに掲載されたレビューによれば、実際に睡眠は、運動時の回復において唯一にして最も重要な要素である可能性がある。その点を考慮すれば、毎日のワークアウトより睡眠を優先することは、結局のところアスリートとしての成長につながりやすい。

4. ワークアウトが億劫になる。

多くのアスリートにとって、やる気が出ない日というのは珍しくない。しかし、絶えずそう感じていて、急に腰が上がらなくなったのなら、それは体が脳に対して、しっかりと休みたいと訴えている証拠だとワトキンスは言う。

度が過ぎたトレーニングは、身体的な疲労を引き起こすだけでなく精神的な疲労の原因にもなることが、カレントバイオロジーに掲載された研究で明らかにされている。恐れているワークアウトに無理に取り組めば、事態は悪化する。「研究によれば、精神的な疲労は、身体的な練習不足、スタミナ不足と同様に、パフォーマンスの低下に関連する」とペンホロウは語る。そうする代わりに休養日を設けた方が、次のセッションに全力で挑戦できる。

5. 筋肉が頻繁にけいれんする。

キッチンを動きまわっているときに足がけいれんしたり、起きるときに足がつったりした経験があるだろうか。けいれんは、身体的な激しい活動で同じ筋肉を使いすぎた後によく起こる、とペンホロウは言う。運動をすれば必ず筋肉には微細な破損が生じるが、休養日を十分に設けなければ、そうした破損を修復して強い筋肉として再生する時間が失われてしまう。

さらに、筋肉が回復してワークアウトで発生する細胞の老廃物を取り除くには栄養が必要だが、筋肉が破損すると栄養を吸収するのが難しくなる、と彼女はつけ加える。その結果、けいれんが起こり、文字どおり「モーニングコール」で筋肉から降参を告げられるというわけだ。

こうした症状の1つでも経験したのであれば、数日間休養するか、やり方を変えた方がよい、とワトキンスは話す。「週の中盤はヨガをしたり、週末はウォーキングやハイキングをしたり。スポーツマッサージ、バスソルトを使った入浴、瞑想の効果もあなどれない」と彼は言う。

トレーニングをしすぎているというサインが1つだけではない?それなら、力を抜く週を導入する頃合いかもしれない。「その週はトレーニングを簡単にして、ウエイトの負荷を軽くしたり、走る距離を短くしたり、ワークアウトの時間を短くしたりする」とワトキンスは説明する。どんなサインや症状も、この期間に弱まるはずだ(そうでなければ医師の診断を受けた方がよい)。

ジムで最も偉大なアスリートは、結局のところ、強い精神力でトレーニングに打ち込むだけではない。彼らは引き返す勇気も兼ね備えており、そのことに強い誇りを感じているのだ。

文:アシュリー・マテオ
イラスト:モジョ・ワン

エキスパートが解説する、体が休養とリカバリーを求めている5つのサイン

レベルアップしよう

エキスパートが提案する運動、マインドセット、食事、リカバリー、睡眠に関するガイドが満載。Nike Training Clubアプリをチェックしよう。

レベルアップしよう

エキスパートが提案するリカバリー、マインドセット、運動、食事、睡眠に関するガイドが満載。Nike Training Clubアプリをチェックしよう。

関連するストーリー

運動する時間帯を変えることのメリット

Coaching

トレーニングの「ハッピーアワー」とは?

プライマルトレーニングをルーチンに取り入れるメリット

Coaching

動物のようにトレーニングしよう

敏捷性を高めて怪我を防止し、パフォーマンスを最大限に引き出す方法

Coaching

若々しい身体を保つには

メンタルブロックを打ち破る方法

Coaching

メンタルブロックを打破する

フェイスマスクをしたままワークアウトを行う方法

Coaching

マスク着用でのトレーニング効果を最大限に引き伸ばすヒント