膝が痛むときに最適なランニングシューズ:正しい選び方
購入ガイド
膝の痛みで困っている?膝が痛むときに最適なランニングシューズの選び方をクッション性、サポート性、フィット感など、衝撃を軽減し快適性を高めるヒントをまじえて紹介しよう。

ランニングには精神的にも肉体的にも多くのメリットがある。実際、2023年に『International Journal of Environmental Research and Public Health』に掲載された研究によると、週にわずか75分のランニングにより、細胞レベルで健康的に年を重ねることができるとされている。
一方で、ランニングは膝に負担をかける可能性がある。走行中は、足が着地するたびに体重の3~4倍相当の負荷がかかっている。ランニングは強い衝撃が繰り返しかかる運動であり、膝痛の原因になりうる。一方で、ランニングシューズが衝撃吸収と姿勢調整をサポートしてくれる点は、ランナーにとって朗報だ。
ランナーが「膝の調子が悪い」と言うとき、通常はランナー膝、ITバンド症候群、関節炎、あるいは衝撃による膝の痛み全般を指す。膝の痛みに最適なランニングシューズとは、繰り返される衝撃を軽減し、正しい姿勢をサポートし、過度に硬くなく安定感のあるシューズだ。
この記事のポイント
- ランナーの膝の痛みは、衝撃の受け方、フォーム、シューズのクッショニングの問題に関連することが多い
- 膝の痛みに最適なランニングシューズは、衝撃吸収と安定性のバランスが取れている
- オフセット(かかととつま先のソールの高低差)とシューズの重量が膝への負担に影響する可能性がある
- 適切なフィット感と適時のシューズ交換は、クッショニングと同じくらい重要
膝が痛むときのランニングシューズの選び方
膝の痛みを和らげるためにランニングシューズを選ぶ際には次の点を優先しよう。
1. ミッドソールのクッショニングと安定性
- クッション性のあるシューズは、敏感な膝への衝撃を吸収する。
- 膝の痛みがオーバープロネーションに起因している場合は、安定性機能が役に立つ。
- 最適なクッショニングのレベルを知るには、さまざまなクッショニングのシューズを試す必要があるだろう。
足が回外位、つまり着地の際に外側に傾きやすいランナーは、衝撃を吸収できるよう、より優れたクッショニングを備えたシューズが必要かもしれない。しかし、ランニングシューズのクッション性が高すぎても、膝が受ける衝撃が増すことがある。これは、クッション性が高くなると、体が安定性を高めるために脚を硬くしてしまうことがあるからだ。そうなると、膝への衝撃が大きくなる可能性がある。また、クッション性を高めるとランナーの歩き方が変わり、膝にも影響を与える可能性がある。自分にぴったりなシューズが見つかるまで、いくつかの異なるクッショニングのシューズを試してみよう。
膝痛の原因が回内位、つまり着地の際に足が内側に傾きやすいことにあるランナーは、メディアルポストなどの構造的サポートがあるスタビリティシューズを選ぶとよいだろう。幅広の接地面をもった衝撃吸収性の高いデザインのスタビリティシューズも、膝への負担を減らす効果があるかもしれない。
履いているうちに慣れるとは考えずに、必ず自分の足にぴったり合うシューズを選ぼう。また、新しいシューズの場合は、必ずテストランしてみること。
2. オフセット
- かかととつま先のソールの高低差であるオフセットを正しく選ぶことで、膝への衝撃を軽減できる。
- 最適なオフセットのシューズを履くことでITバンド症候群を軽減することもできる。
- クッショニングと同様に、何が自分に最適かを知るために、さまざまなオフセットのレベルのシューズを試す必要があるだろう。
オフセットは、脚全体にかかる衝撃の分散の仕方を変化させる。Nikeは、nike.comのランニングシューズ製品詳細に、オフセットの値を掲載している。オフセットの小さいシューズ(0〜6mm)は、ふくらはぎと足首に負荷を移すことで、一部のランナーの膝への負荷を軽減することができる。オフセットの大きいシューズ(8〜12mm)は、アキレス腱とふくらはぎへの負担を軽減することができるが、一部のランナーでは膝への負担が増加する可能性がある。理想的なオフセットは、怪我の履歴や求める快適性によって異なる。
3. サポート性に優れたアッパー
- アッパーが適切にフィットしていると、足全体のサポートが向上する。
- 通気性は快適性を高め、特に足が熱くなったときに効果をもたらす。
- 的を絞ったサポートにより、膝への負担が軽減される。
常に涼しくドライな状態を保ってくれる、通気性と速乾性に優れたアッパーのシューズを探そう。手袋のようなフィット感と目的に合ったサポート性を持つアッパーを選ぶのがポイントだ。
4. 軽量構造
- 重いシューズは、特に着地時に膝に負担をかけることがある。
- 軽量のランニングシューズは疲労を軽減する。
- 軽量のシューズでも十分なサポートがあることを確認しよう。
重いシューズは膝に過度のストレスを与えることがあるので、かかとからつま先まで重さを感じさせないシューズを選ぶことが大切だ。サポート性とクッショニングのバランスが良く、軽い履き心地のシューズを探そう。
軽量のランニングシューズは疲労を軽減するが、サポートが不十分だと長距離ランにおいて膝へのストレスが増加する可能性があることを覚えておこう。
クッショニングが膝の痛みに与える影響
ミッドソールのクッショニングは、膝関節への力の伝達に大きな役割を果たす。
- 最高レベルのクッショニング(厚くて柔らかいミッドソール)は、衝撃のピークを軽減し、関節炎や長距離ランで膝に痛みのあるランナーにとってより快適に感じるかもしれない。
- 適度なクッショニングは衝撃吸収性と安定性のバランスに優れ、軽度の膝の痛みを抱える多くのランナーに適している。
- クッショニングが最小限に抑えられたシューズは、地面の感覚と反発力を高めるが、衝撃に敏感なランナーにとっては関節への負荷を増加させることがある。
ただし、柔らかすぎるシューズは不安定に感じられ、一部のランナーは足の踏み込みを硬くしてしまい、膝に負荷が戻ってしまう可能性がある。目標は、コントロール性を損なうことなく衝撃を吸収してくれるクッショニングだ。
柔らかいミッドソールは、衝撃のピークを軽減できるが、過度に柔らかいシューズは、一部のランナーにとって不安定に感じるかもしれない。目標は、コントロール性を損なうことなく衝撃を吸収してくれるクッショニングだ。
ランニング中の膝痛の原因
膝痛を起こす可能性がある要因はたくさんあるが、ランナーが経験するかもしれない一般的な例をいくつか紹介しよう。健康で痛みのない膝を維持するためのヒントやエクササイズはたくさんあるが、膝痛が長く続く場合は、必ず医療機関に相談し、専門医のアドバイスを求めよう。
1. ランナー膝
脚の筋肉が弱いまたは固いランナーの場合は、膝頭がずれていることがある。ずれが生じている膝に繰り返し負荷をかけると、膝頭の下部に痛みを生じるさまざまな症状につながる可能性がある。ウォーキング、ランニング、スクワットをしているときや階段の上り下りの際に痛みを感じるかもしれない。
知っておくべきポイント:ワークアウトの前に必ずストレッチを行うこと。脚を強化するトレーニングを行いながら、目標のランニング距離を徐々に伸ばしていこう。筋肉をバランスよく鍛え、膝の故障を防ぐためには、さまざまな種類のエクササイズを普段のメニューに取り入れることも必要だ。
2. ITバンド症候群
ヒップの筋肉が弱いと、ランニング中に腸脛靱帯(ITバンド)に過度な負担がかかることがある。腸脛靱帯と大腿部または膝の筋肉に摩擦が生まれ、骨が刺激を受けたり、痛みや腫れが生じたりする可能性がある。ITバンド症候群がある場合は、膝の外側に痛みが出て、動かすと何かがはじける音やカチッという音が聞こえることがある。
知っておくべきポイント:走る前には必ずウォーミングアップを行うこと、日常的にストレッチを行うこと、日々のワークアウトにヒップを強化するエクササイズを取り入れること。症状が悪化している間は休んで、ストレッチやフォームローラーの使用を続けよう。
3. ジャンパー膝(膝蓋腱炎)
膝とすねをつなぐ腱は、繰り返し衝撃を受けると炎症を起こす可能性がある。走り始めや座位から立ち上がるときに、膝頭の下部に痛みを感じるのが一般的だ。
知っておくべきポイント:まず自分のランニングシューズをチェックして、交換時期か来ていないか確認しよう。ランニングシューズのアーチサポート性は時とともに低下するので、300マイルごとに新しいシューズに交換するのが理想的だ。これまでの走行距離がわからない場合は、新しいシューズを履いてみて、新しいシューズの方が快適かどうかを確認しよう。ソールがすり減っていたら、シューズ交換の時期のサインだ。磨耗したミッドソールは衝撃吸収力を失い、時間の経過とともに膝への負担が蓄積していく。
4. 鵞足炎(がそくえん)
骨と腱の間には、クッションの働きをしている滑液を含んだ袋があり、滑液包と呼ばれている。この袋に、痛みを伴う炎症が生じることがある。膝の外傷が原因となることもあるし、ランニングのような激しい運動が原因となることもある。膝の前方が腫れたり柔らかいこぶができたりすることもあるし、膝そのものが痛くなったり固くなったりすることもある。
知っておくべきポイント:走るときには、ストレッチ休憩の時間を十分に取ること。走行距離はゆっくりと伸ばしていこう。鵞足炎は体重が重い人により多く見られるので、適正な体重の維持に努めよう。問題が再発する場合は、有酸素運動の種類を変えた方がよいかもしれない。
5. 関節炎
ランニングやウォーキングを長年続けると、関節軟骨が摩耗し、関節痛につながることがある。膝の内側の関節に痛みを感じる人が多い。関節炎があるときは、活動を続けることが大切だ。抗炎症薬が痛みに効果を発揮する場合もある。
知っておくべきポイント:加齢に伴う関節炎を必ず回避できる方法というものはないが、適正な体重を維持することと、関節への負担を抑えることは有効だ。
6. フォームの崩れ
筋肉によって強さや固さが異なる場合、バランスの悪さが原因となり、ランニング時に膝に痛みが出ることもある。通常は膝の内側や膝頭に痛みが生じるが、個々のランニングフォームにより変わる。膝に痛みがあり、原因が特定できない場合は、ランナー専門の理学療法士に相談し、判断を仰ぐとよいだろう。
知っておくべきポイント:初心者の場合は、トレーニングを始める前にランニングコーチまたはパーソナルトレーナーに相談すること。
7. 過剰回内(オーバープロネーション)または回外(サピネーション)
足が内側または外側に過度に傾くと、ストライドごとの膝への力の伝達が変わる可能性がある。足が内側に傾くのは自然で正常だが、偏平足が原因となる膝痛がある場合は、適切なクッショニングを備えたシューズを履いて歩き方を修正する必要があるかもしれない。同様に、土踏まずが高いハイアーチの人は回外(足が外側に傾く)になりがちだ。ハイアーチの人は足首に負担がかかりやすく、土踏まずのサポートが足りずに膝痛が生じる人もいる。内側または外側への傾きが過度になると、運動連鎖における力の伝わり方が変化する。膝の痛みを抱えるランナーの場合、過剰回内は膝の内側への負担を増加させ、過度な回外は衝撃吸収性を低下させることがある。スタビリティランニングシューズとニュートラルランニングシューズのどちらを選ぶかは、矯正サポートによって足の傾きと快適性が改善されるかどうかによって決まる。
知っておくべきポイント:適切なランニングシューズを手に入れること。足が外側に傾くことで痛みが出るランナーは、アーチサポートが高く、クッショニングに特に優れ、トゥボックスが大きめのシューズを探そう。足が内側に傾くことで痛みが出るランナーは、スタビリティシューズかモーションコントロールシューズがおすすめだ。
膝の痛みの症状別に役立つシューズの機能は?
- ランナー膝:バランスの取れたクッショニングと適度なオフセット
- 腸脛靱帯(ITバンド)の痛み:安定したプラットフォームとサポート性のあるアッパー
- 関節炎に伴う痛み:最高レベルのクッショニングとスムーズな重心移動
膝の痛みに最適なランニングシューズを選ぶことは、膝の怪我に対する医学的治療法とはならない。持続的な痛みは医療専門家の診断が必要となる。ランニングシューズは、クッショニング、サポート性、適切なフィット感を提供することで、衝撃を軽減し快適性を高めることができる。
膝の痛みに最適なランニングシューズのタイプは?
膝の痛みを抱えるほとんどのランナーにとっては、中程度から最高レベルのクッショニングと安定したプラットフォームを備えたシューズが適している。膝の痛みがオーバープロネーションに起因している場合は、スタビリティシューズが役に立つかもしれない。足の傾きや姿勢に問題がなければ、クッション性のあるニュートラルシューズで十分だろう。最終的な判断は、テストランでの快適性に基づいて行うべきだ。
よくある質問
クッション性の高いシューズは、膝の痛みには常に適している?
クッショニングは、ランニング中の衝撃を吸収し、膝にとっても有益。ただし、クッショニングが高すぎると安定性が低下する可能性があるため、自分と膝に適したクッショニングを見つけることが重要だ。
2足の異なるランニングシューズを持つべきか?
はい。2足の異なるランニングシューズを交互に履くことで、衝撃の大部分を脚のどこで吸収するかが変わってくる。ランニング後に膝が痛むランナーの場合、これは特に重要だ。
膝を傷めずに走るにはどうすればよいか?
けがをしないように、スピードと距離は徐々に上げるようにする。日々のワークアウトにクロストレーニングやレジスタンストレーニングも取り入れよう。脚と体幹の筋肉を強化し、さまざまな動きのパターンを学ぶことで、けがに十分に備えることができる。水分を十分に摂ること、ランニングシューズのシューレースを締める前にウォーミングアップをすること、日常的にストレッチを行うことも大切だ。
ランニングシューズが膝に影響を与える可能性は?
はい。履きつぶしてクッション性が下がったランニングシューズを履くと、膝の故障につながることがある。自分の足に合わないシューズを履くことも同様だ。膝痛を感じるときは、シューズの交換や痛みを伴わない走りに変えるために、理学療法士に相談することを検討しよう。
膝が痛むときに最適なランニングシューズのタイプは?
膝の痛みに最適なランニングシューズは、通常、衝撃を吸収するのに十分なクッショニングと、正しい姿勢をサポートするのに十分な安定性を兼ね備えたものだ。オーバープロネーションのランナーはスタビリティシューズが効果的だが、クッション性の高いニュートラルシューズを好むランナーもいる。快適さとフィット感が最も重要な要素となる。














