ケトルベルスイング:正しいやり方、鍛えられる筋肉、よくある間違い

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ケトルベルスイングとは何か、正しいやり方、どの筋肉が働くのか、そしてこの全身運動で安全に筋力とコンディションを整える方法を学びましょう。

最終更新日:2025年12月19日
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ケトルベルスイングとは?正しいやり方と鍛えられる筋肉について解説

ケトルベルは、一見シンプルですが、筋力増強持久力アップに大きく貢献する効率的なトレーニングアイテムです。中でも効果の高いトレーニングがケトルベルスイングです。

ケトルベルスイングとは?

ケトルベルスイングは、ケトルベルのハンドルを両手で握り、腰を力強く押し上げて脚の間でスイングさせ、肩の高さまで持ち上げるエクササイズです。これは、腕で持ち上げるのではなく、大臀筋とハムストリングスの力で動かす勢いをつけたヒップヒンジです。

ケトルベルスイングのメリット

American Council on Exercise(米国運動協議会)の研究では、8 週間にわたって週 2 回ケトルベルのクラスに参加した場合の効果を検証しました。その結果、被験者の筋力が大幅に強化されただけでなく、有酸素容量、動的バランス、体幹の強さが著しく向上したことが認められました。

「ケトルベルスイングは多くの主要な筋肉群を使用し、爆発的に行われるため、心拍数を非常に速く上昇させます」と語るのは、ロシア式ケトルベル・チャレンジ・レベルIIのフォレスト・ヴァンス氏です。

爆発的な股関節の伸展運動をするケトルベルスイングは、ジャンプやランニングのパワーを向上させるのにも効果的です。「股関節の伸展は、多くの運動の基礎となるものです」とヴァンス氏。

ヒップヒンジとスクワット

多くの初心者は、ヒップヒンジとスクワットの動きの違いがよくわからないことがあります。スクワットは、座るときにいつでも行う動作なので、より身近に感じるかもしれません。膝を大きく曲げ、腰をまっすぐに下ろすと、胴体はほぼ真っ直ぐになります。

ヒップヒンジでは、ケトルベルスイングのときのように膝は少しだけ曲がり、大部分の動きは股関節で起こります。「ヒップヒンジは、股関節の屈曲と水平移動を強化します」とヴァンス氏は言います。「腰が後方に動き、胴体が少し前傾します」

ヒップヒンジは、ケトルベルスイングを正しく行うための基礎となります。そのため、ケトルベルスイングを試す前に、自重でヒップヒンジの動きのパターンを練習しておくと良いでしょう。

ケトルベルスイングのやり方(ステップバイステップ)

ヴァンス氏によるケトルベルスイングの手順は次のとおりです。

  1. 足を肩幅より少し広く開いて立ち、膝を少し曲げ(ロックアウトしない)、ケトルベルを45 ~ 60 センチほど前に置く。
  2. 腰を起点に前屈し、手のひらを下に向けて両手でケトルベルを握る。前屈したまま、ケトルベルを地面から約30cm持ち上げる。
  3. ケトルベルを両足の間をくぐらせるように後ろにスイングしてから、両足をまっすぐに伸ばし、ケトルベルを体の前に向かって肩の高さまでスイングする。
  4. スイングする際には、腰を前に突き出し、大臀筋を使って体幹に力を入れる。
  5. 腰を起点に前屈すると、ケトルベルが両足の間を通って後ろにスイングされる。

フォームを停止またはリセットするタイミング

フォームが崩れていると感じたら、いつでも停止またはリセットしてください。「腕の緊張、腰の不快感、肩や背中の丸みに注意してください」とヴァンス氏。

ケトルベルスイングで鍛えられる筋肉

ケトルベルスイングは、複数の筋肉群に働きかける全身運動ですが、主に体の後ろ側の筋肉であるポステリア筋群をターゲットにしていると、ヴァンス氏は述べています。これには次の筋肉が含まれます。

  • 臀筋
  • ハムストリング
  • 脊柱起立筋
  • 広背筋
  • 菱形筋
  • 僧帽筋
  • 後部三角筋

正しいフォームにするためのヒント

ケトルベルスイングはさまざまな筋肉を同時に鍛えるのに非常に効果的ですが、フォームが崩れていると怪我をしやすくなります。安全を確保し、結果を最大化するために、次のヒントを活用してください。

クイックフォームチェック

  • 背骨ニュートラル
  • 体幹の固定
  • 肩甲骨を下げて後ろに引く
  • 股関節から力を入れる
  • 上向きの動作を行う際に息を吐く

1. 背骨と肩の位置

これは引っ張るタイプのエクササイズなので、腰を落としてスタートポジションに戻る際は、肩甲骨を引き寄せて広背筋を使うことが重要です。水平に見下ろし、顎を引いて、首をニュートラルな位置に保ちます。ケトルベルの動きに「追従」して頭を上下に動かさないように気をつけましょう。

腰は丸めないこと。スイングする際は肩甲骨を意識して背骨をニュートラルな位置に保ちます。

2. 足の踏ん張りとバランス

足は地面にしっかり固定し、重さを均等に分散させ、かかとやつま先がスイングの反動で持ち上がらないように注意しましょう。

適切なシューズを履くことで、安定性を維持できます。トレーニングシューズは、スイング中に足を固定してくれるので最適です。「クッション性の高いランニングシューズだと前後に揺れてしまうため、ケトルベルを支える安定した足場にはなりません」とヴァンス氏。

3. 腕の動きとグリップ

ハンドルを握りしめるのではなく、軽く引っかけるように持ち、力を入れすぎないようにします。力を入れすぎると、手首や上腕に負担がかかることがあります。スタートして上にスイングするときは、伝統的なロシアンスタイルを守り、ケトルベルを肩の高さでストップ。頭の上まで持ち上げないように注意しましょう。スイングする際は、腕をまっすぐにするのではなく、肘を曲げて脇腹に引き寄せるという別のロシアンスタイルをやってもよい。

ケトルベルを地面まで降ろさないように注意する。膝の高さまで降ろしたら、次のスイングをスタートしよう。

4. 呼吸法

ケトルベルスイング中はを止めないでください。「上に向けてスイングするときに息を吐き、ケトルベルが下がってくるときに息を吸い、パンチを出す準備をするように腹筋を引き締めるようにしてください」とヴァンス氏は言います。

よくある間違いや落とし穴

ケトルベルスイングを学んでいる間に、フォームのミスが起こることがあります。最も一般的なものは次のとおりです。

  • 腰ではなく腕で持ち上げる:こうすることにより、ケトルベルスイングが上半身のエクササイズになってしまい、腕と肩に負担がかかり、発生できるパワーが制限されます。
  • 腰を丸める:これは、重すぎるウェイトをスイングしようとするときによく起こり、腰に負担がかかります。
  • フィニッシュポジションで背筋を伸ばしすぎる:スイングのフィニッシュポジションで背筋を伸ばしすぎたり、後ろに傾けすぎると、腰に負担がかかります。
  • ハンドルを強く握りすぎる:ハンドルを強く握りすぎると、前腕と手首の筋肉に負担がかかります。
  • スイングが高すぎる:ヴァンス氏によると、ケトルベルは、胸または肩の高さに達し、浮いた状態から振り下ろしていくべきだそう。「腕の力で必要以上に高く持ち上げようとする人もいます」ケトルベルを肩よりも高く持ち上げるには、より多くの肩の可動性が必要になりますが、できる人は限られています。

ケトルベルスイングの始め方

ケトルベルスイングをマスターするには、まずヒップヒンジの動き方を学び、自分のフィットネスレベルに合った重さを選んで、いつレベルを上げるべきかを知ることから始めます。初心者が知っておくべきことをご紹介します。

ヒップヒンジの練習方法

ケトルベルスイングをしたことがない場合は、まず自重でヒップヒンジの動きのパターンを動きを練習し、背骨に負担をかけずに体幹を引き締めるようなスイングを習得しましょう。ヴァンス氏は次のステップを推奨しています。

  1. 壁から60 cm程離れた場所に立ち、背を向ける。
  2. 足を肩幅より少し広く開き、膝を少し曲げる(ロックアウトしない)。
  3. 背骨をニュートラルに保ち、腰を起点に前屈し、ヒップを後ろに押し出して後ろの壁にタッチする。
  4. 脚を伸ばして腰を前に突き出し、大臀筋を使って体幹に力を入れる。
  5. この動きを繰り返す。

開始時の重量の選び方

ケトルベルの重さはキログラム(kg)で測定されることが多いですが、ポンド(lb)を使用するものもあります。初心者の場合、一般的に女性は8 kg、男性は16 kgが適切な重さだと、ヴァンス氏は言います。ただし、筋力トレーニングの経験がある人は、より重いものから始めても構いません。経験豊富な女性の場合は12 〜 16  kg(26 〜 35  lb)、経験豊富な男性の場合は20 〜 24  kg(44 〜 53  lb)です。

ヴァンス氏によると、ウエイトが軽すぎるかどうかは、肩と腕の力で持ち上げることができるかどうかで判断できるそうです。ウエイトが重すぎると、フォームが崩れてしまいます。「パワフルなレップを継続的に行ったり、良い姿勢を維持したりすることはできません」とヴァンス氏。

レベルアップのタイミングを知る方法

英国のFuture Fitでレベル 3のパーソナルトレーナーとして認定されているパーソナルトレーナーのダン・パートリッジ氏によると、1 セット10 回のスイングを10 セットやって疲れをまったく感じないことが、ケトルベルのウエイトを増やす準備ができている目安になるそうです。とはいえ、特にフォームが完成するまでの間は、軽いウエイトで始めるのがおすすめです。

「一番安全なのは、少し軽めのウエイトからスタートすることです。大丈夫だと思えば、いつでも重いウエイトに切り替えられるのですから」

ロシア式ケトルベルスイングとアメリカ式ケトルベルスイング

ケトルベルスイングには、ロシア式とアメリカ式の二種類があります。動きは同じですが、重要な違いが一つあります。ロシア式ケトルベルスイングは、ケトルベルを肩の高さで止めますが、アメリカ式ケトルベルスイングは、頭上までスイングします。ケトルベルをより広い範囲で動かすには、より多くのエネルギーが必要であるため、アメリカ式は有酸素運動としてより難易度が高くなります。しかし、肩にとってはよりリスクのあるエクササイズでもあります。「狭い幅でハンドルを握り両手を頭上に上げるには、肩の可動性が十分でなければなりません」とヴァンス氏は言います。ほとんどの人にとって、また特に疲れているときに行うことは難しいため、ロシア式スイングの方が安全だと言えます。

よくある質問

ケトルベルスイングで鍛えられる筋肉とは?

ケトルベルスイングはすべての主要な筋肉群をターゲットにしていますが、主に大臀筋、ハムストリング、背中などのポステリア筋群を鍛えられます。

ケトルベルの重さの目安とは?

ケトルベルは、肩と腕の力だけでは持ち上げられない程度に重く、正しいフォームを維持できる程度に軽いものを選びましょう。ヴァンス氏は、初心者の場合、女性は8 kg、男性は16 kgから始めることを推奨しています。

ケトルベルスイングは初心者に適していますか?

はい。ただし、正しいフォームを学び、軽いものから始めることが重要です。また、ケトルベルを使う前に、自重でヒップヒンジの動きを練習しておくとよいでしょう。

スイングは何回から始めればよいですか?

初心者は、10 ~ 15 回の繰り返しを3 ~ 4 セットから始めるべきだと、ヴァンス氏は言います。自信がついたら、目標に応じてセット数と回数を調整しましょう。持久力を高めたい場合には、例えば15 〜 20 回のレップを4 〜 5 セット行ってみましょう。パワーアップが目標の場合は、レップ数を5 〜 10に下げ、難しいと感じる重さを選んでください。

公開日:2025年12月19日