筋肉をつけるために本当に必要なタンパク質の量とは?

食事

筋肉の成長を促すために理想的な1日のタンパク質の摂取量を解説。また、ベジタリアンや雑食者におすすめの低脂肪のタンパク源についても紹介する。

最終更新日:2022年6月29日
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筋肉をつけるために1日に必要なタンパク質量は?

タンパク質は、炭水化物や脂質とともに、体の機能を適切に維持するために欠かせない3つの主要栄養素の1つ。 筋肉をつけたいと考えている人にとっては、タンパク質は特に重要だ。

アスリートは通常より多めにタンパク質を摂る必要があるが、ウェイトリフティングに取り組む場合は特に多く摂取する必要がある。 食事ごとに、また1日を通してどのくらいのタンパク質を摂ればいいのかを解説し、筋肉肥大(成長)を促す効果の高いタンパク源についても紹介しよう。

タンパク質とは?

タンパク質は体を構成する物質として知られ、筋肉を含む組織を生成、修復する材料として使われる。 科学的に言うなら、タンパク質とはアミノ酸がペプチド結合によってつながった有機化合物だ。

食物タンパク質とは食事から摂取できるタンパク質を指し、肉、乳製品、卵、鶏肉、魚介類といった動物性食品が例として挙げられる。 植物性タンパク質には、豆類(レンズ豆、ヒヨコ豆など)や一部の穀類(キヌアなど)などがある。 また、芽キャベツやホウレン草のような野菜からもタンパク質の摂取量を増やせる。

プロテインサプリメントを利用する人もいるが、これらは大抵パウダー状になっている。 牛乳の乳清から作られるホエイプロテインパウダーは、大豆やエンドウ豆から作られるプロテインパウダーとともに人気が高い。


専門家は一般的に、タンパク質を食べ物から摂取するよう推奨しているが、 国際スポーツ栄養学会(ISSN)は、2017年のポジションペーパーで、特にトレーニング量が多いアスリートに対するサプリメントの有効性を認めている。

アミノ酸と完全タンパク質

アミノ酸は分子であり、結合してタンパク質になる。 その多くは体内で作られるが、 必須アミノ酸と呼ばれる9種類のアミノ酸は、体内で合成されないため、食べ物から摂取する必要がある。 9種類の必須アミノ酸は以下のとおり。

  • ヒスチジン

  • イソロイシン

  • ロイシン

  • リジン

  • メチオニン

  • フェニルアラニン

  • トレオニン(スレオニン)

  • トリプトファン

  • バリン

食物タンパク質の中には、9つの必須アミノ酸すべてを含む「完全タンパク質」と呼ばれるものがある。 動物性食品のほとんどは、完全タンパク質だ。 完全タンパク質が摂れる植物性食品はきわめて少なく、ごく一部の豆類や、キヌアのような一部の穀類が例として挙げられる。

分岐鎖アミノ酸

その分子構造から、分岐鎖アミノ酸(BCAA)と呼ばれるアミノ酸がある。 ロイシン、バリン、イソロイシンの3つだ。


BCAAは、他のアミノ酸よりも筋肉をつけ、分解を抑える効果が高いと考えている人もいるが、 その効果について調べた研究では、さまざまな結果が示されている。 2017年に『Journal of the International Society of Sports Nutrition』に掲載された研究論文では、BCAAに高い効果があるとする見方には根拠がなく、決して正当とは言えないとまで言及されている。

タンパク質が重要な理由

タンパク質は、ホルモンや酵素の生成といった体の基本的な機能を維持するために欠かせない栄養素だ。 エネルギー源として使われ、筋タンパク質の分解と合成という、筋肉を増やすうえで欠かせない2つのプロセスにおいて重要な役割を果たす。

ワークアウトで筋繊維に(意図的に)負荷をかけてダメージを与えると、筋タンパク質分解(MPB)が起き、 リカバリーの際に筋タンパク質合成(MPS)が進む。 この段階で、体内にあるアミノ酸により、筋繊維が再構築される。

筋肉をつけるためには、筋タンパク質分解率が筋タンパク質合成率よりも低くなければならない。 筋繊維を再構築し、修復する過程でアミノ酸が必要になるため、食事でタンパク質を十分に摂ることがとても重要というわけだ。

筋肉をつけるために必要なタンパク質の量とは?

1日に必要なタンパク質の量を知る方法はいくつかある。 たとえば、1日の摂取カロリーに対する割合として計算すする方法や、体重を基に算出する方法がある。 米国農務省(USDA)による食事のガイドラインでは、1日の摂取カロリーに対する割合に基づいて定められているが、ISSNといったスポーツ関係の団体では、体重に応じた推奨量の範囲をグラム単位で提示している。

USDAによる一般的な推奨量

USDAによる米国民向け食事ガイドライン(2020-2025年)では、成人は、1日のカロリー摂取量のうち10~~35%をタンパク質から摂取するよう推奨している。 たとえば、1日に2,000カロリー摂取する場合、タンパク質から200~700カロリーを取ることになる。 これをグラムに換算してタンパク質摂取量を算出すると、1日あたり50~175gになる。 座っている時間が長い人はこれより少なく、運動量が多い人はもっと多く摂取する必要がある。


USDAはさらに、どの食材からタンパク質を摂ればよいかを、1週間あたりの推奨摂取量として示している。 この1週間あたりの推奨摂取量は、肉、鶏肉、卵が約740g、魚介類が約230g、ナッツ、シード、大豆製品が約140gだ。 また、USDAは、ベジタリアンにおすすめのタンパク源(乳製品や大豆製品など)も紹介している。

アスリートに必要なタンパク質の量

アスリートのタンパク質に関する論文をISSNが2017年に発表している。筋力トレーニングに取り組むアスリートをはじめ、あらゆるアスリートに必要なタンパク質量を算出するために、スポーツ栄養学の専門家に広く使われているものだ。

この論文によると、筋肉をつけ、維持するのに必要な1日のタンパク質摂取量は、体重1kgあたり1.4~2.0g。 この数値はタンパク質の許容摂取量の範囲を示す許容主要栄養素分布範囲(AMDR)や、USDAの推奨量とも一致するという。

一方、ISSNは、タンパク質をより多く摂取することで(1日に体重1kgあたり3.0g以上)、筋力トレーニングに取り組むアスリートの体組成が向上する可能性があるとも指摘している。

それから、1日を通じて均等(3~4時間おき)にタンパク質を摂取することをISSNは推奨している。 一般的な推奨摂取量は、1回の食事や間食で20~40g、または体重1kgあたり0.25g。 アミノ酸(特にロイシン)をバランス良く含むタンパク源を選ぶのがおすすめだ。

結論

筋肉量を増やすために必要なタンパク質の量を、すべての人に共通した1つの数値で表すことはできない。 USDAやISSNが提示している栄養摂取量の数値は、多くの人が参考にできるものだが、体は人それぞれ異なるからだ。

自分にとって最適な量を知るためには、まず、専門家が提示する数値の範囲内で無理なく摂取できる量から始めよう。 食事やトレーニングの内容を記録し、その進捗状況に応じて 調整すればよい。 また、資格のあるスポーツ栄養士に相談して、筋肉をつけるための食事プランを作成してもらうという方法もある。

よくある質問

タンパク質を摂り過ぎるとどうなるか?

たしかに、タンパク質の過剰摂取という状態はありえる。 健康な成人に許容される量よりも多く摂取すると、過剰摂取になる。


タンパク質を摂り過ぎている場合、炭水化物や脂質といった他の栄養素が不足している可能性も高い。 過剰摂取が長期間に及ぶと、骨の疾患、腎機能障害、がん、肝臓の疾患、冠動脈疾患のリスクが高くなる恐れがある。

高タンパク低脂肪の食材にはどのようなものがあるか?

高タンパクの食べ物を摂りたいのなら、飽和脂肪酸を多く含む食品は避けた方がいい。 USDAは、1日のカロリー摂取量のうち飽和脂肪が占める割合を10%以内に抑えるよう推奨している。

高タンパク低脂肪の食材をいくつか紹介しよう。

- 鶏胸肉:1食(約100g)あたり31g(角切りにするか細かく刻む)

- 赤身の牛肉:1食(約100g)あたり26g

- マグロ:1食(約80g)あたり25g

- カッテージチーズ:1カップあたり25g

- サーモン:1食(約80g)あたり17g

- ピーナツバター:1食(大さじ2杯)あたり8g

- 卵:1個あたり6g

筋肉の成長に影響を与える要因はほかにあるか?

食事のほか、トレーニングプランも筋肉増強の成功を左右する。 筋肥大を目指す場合は通常、週に2~4日ワークアウトに取り組み、1回のエクササイズで6~12回の反復を3~6セット行うことが必要だ。 全米スポーツ医学協会(National Academy of Sports Medicine、NASM)は、筋肉をつけるために最大挙上重量(1RM)の75~85%のウェイトを上げることを推奨している。

ホルモンレベルも筋肉の構築に影響を与える。 しかし、医師によって処方されない限り、ホルモン剤の使用はおすすめできない。

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筋肉をつけるために1日に必要なタンパク質量は?

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公開日:2022年2月17日

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