プッシュアップはどの筋肉に効きますか?(効果的なトレーニング方法はありますか?)

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胸や上腕三頭筋から肩や体幹まで、プッシュアップが上半身の筋力をどのように高めるかを、ポイントや初心者向けから上級者向けのバリエーションとともにご紹介します。

最終更新日:2025年12月5日
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プッシュアップはどの筋肉に効くか?

時代を超えて愛される筋力トレーニング、プッシュアップ。その理由は、確かな効果を得られることにあります。「プッシュアップはどの筋肉に効きますか?」というシンプルな質問に対する答えですが、胸筋にとどまりません。標準的なプッシュアップは、胸筋、肩、上腕三頭筋、上腕二頭筋、体幹、そして体全体のさまざまな安定筋を活性化させるため、いつでもどこでも上半身の筋力を鍛える最も効率的な方法の1つです。

プッシュアップの主な効果は、強度、安定性、そして全身の協調性です。1つの動作で3つの効果を得られます。腕を強化する自重エクササイズであるプッシュアップは、シンプルでありながら効果的な上半身のワークアウトとしても機能し、器具も必要ありません。

各レップで各上腕筋が動くことで、複数の筋肉群が連動してアライメント(骨・関節の整列)を保ち、下降を制御するとともに開始位置に押し戻します。ここでは、プッシュアップをおこなうときに体の中で起こっていることについて、また、初級者から上級者まで役立つ効果的な動作について説明します。

プッシュアップで得られる主な効果

  • 自重を使った複合運動で上半身の筋力が鍛えられる
  • 胸、上腕三頭筋、、体幹、そして全身の安定筋が鍛えられる
  • 肩甲骨の安定性を高め、肩帯が強化される
  • 体幹の抗伸展筋力を向上させ、背骨をサポートし、姿勢改善につながる
  • 回旋筋腱板などの小さな支持筋肉が強化される
  • 器具を必要とせず、初級者から上級者までフィットネスレベルを問わずに取り組める
  • 全身の重量を使ったエクササイズであるため、上腕二頭筋、上腕三頭筋、肩を鍛えられることで腕力が向上する
  • ウェイトを必要としない腕力トレーニングとして最上位クラスの効果を期待できる

標準的なプッシュアップで鍛えられる筋肉の概要

フォームとバリエーションについて説明する前に、プッシュアップで動かす主要な筋肉群をざっくり確認していきます。

  • 主要な筋肉 大胸筋、上腕三頭筋、前三角筋
  • 二次的な筋肉 体幹(腹直筋、斜筋、腹横筋)、上腕二頭筋、前鋸筋、回旋筋
  • 安定化筋 肩甲骨安定化筋、臀筋、大腿四頭筋

プッシュアップは上腕三頭筋、肩、二頭筋を鍛えられるため、セッションなどに組み入れない単独の腕トレーニングにもなります。

プッシュアップはどの筋肉に効きますか?

プッシュアップは腕に効きますか?もちろんですが、腕は効果を得られる筋肉群の1つにしか過ぎません。そう語るのは、ストレングス・アンド・コンディショニングのトレーナーであるレダ・エルマルディ(The Gym Goat所属CSCS取得者)です。鍛えられる主要な筋肉をまとめました。

胸部(胸筋)

胸はプッシュアップにおける主となる動作部位です。大胸筋は腕を体の正中線に向かって引き寄せ、地面から押し上げるときに肩の動きをサポートします。

重要な理由 強い胸筋は、日常の押す動作、頭上の動作、運動能力をサポートします。そのためプッシュアップは、重りを使うことなく上半身の筋力を鍛えたい人にとって、胸と腕のワークアウトとして有効です。

肩(三角筋と肩帯)

肩の前側は、下ろす動作と押す動作の両方を誘導する働きをします。こうした筋肉は、肩甲帯の周囲の構造とともに、動き全体を通して関節の安定化作用があります。

重要な理由 肩の力と肩のコントロールは、姿勢を維持し、怪我のリスクを軽減する作用があります。肩の活性化は、プランク、オーバーヘッドプレス、ウェイトトレーニングなど、他の上半身のエクササイズにも生きます。

上腕三頭筋

上腕三頭筋は、肘を伸ばし、1回の動作で一番筋力を使うときに腕を強化します。

重要な理由 プッシュアップやその他の上半身のエクササイズで力をかけるには、上腕三頭筋が不可欠です。ロックアウトフェーズ(伸ばしきった状態)で上腕三頭筋が使われるため、プッシュアップは腕全体の筋力と持久力を向上させるうえで特に効果的なエクササイズです。上腕三頭筋のほぼ全体が押し上げ運動に使われる一方で、上腕二頭筋は肘関節を安定させ、腕全体の筋力を支えます。

体幹(腹筋と腹斜筋)

体幹によって、頭からかかとまで堅固なプランクの姿勢が維持されます。体幹には、腹直筋、腹斜筋、腹横筋など、より深い安定筋が含まれます。認定ストレングス・コンディショニングスペシャリストのギャレット・シーキャット(Absolute Enduranceの創設者)によると、プッシュアップは体を落として持ち上げる際に体幹を鍛え、姿勢をまっすぐに保つのに役立つといいます。

重要な理由 プッシュアップは、腰を保護し、ランニング、リフティング、スポーツ中の効率的な動きをサポートする、体幹の抗伸展筋力を構築します。この体幹の働きこそが、プッシュアップを単なる上半身の運動ではなく、真の全身運動にするのです。このレベルの体幹の活性化により、プッシュアップは単なる胸や腕の運動ではなく、体全体の筋力を鍛える運動となります。

上腕二頭筋

上腕の表側に沿った上腕二頭筋は、腕の主要な筋肉の1つで、肘関節を曲げたり、前腕部を頭の方へ持ち上げる時に使われます。

重要な理由 上腕二頭筋が強いと、上半身が行うほぼすべての引く動作や持ち上げる動作を支え、日常の機能、運動能力、関節の安定性を向上させるのに役立ちます。

肩甲骨の安定化と回旋筋腱板

プッシュアップの際には、前鋸筋、菱形筋、僧帽筋、回旋筋腱板などの筋肉が肩甲骨の正しい動きを助け、その位置を安定させます。

重要な理由 健全な肩甲骨の動きは、上半身の可動性と長期的な肩の健康にとって不可欠です。

下半身の安定化

臀筋と大腿四頭筋は、プランクのアライメントをしっかり維持し、腰がたるみや浮き上がりを防ぎます。

重要な理由 安定した下半身は、筋力の伝達を向上させ、ワークアウト全体の効率を保ちます。

プッシュアップの正しいやり方

良いフォームづくりには、しかるべき筋肉を活性化させるとともに負担を回避できる効果があります。シーキャットによると、適切で安定したフォームであれば、1回のプッシュアップにかかる時間は約3秒とのこと。次のアドバイスを参考に、準備と実践を進めてください。

  • まず、両手を肩幅より少し広めに開いて、ハイプランクの姿勢になります。
  • 体幹を引き締め、頭からかかとまで一直線に保ちます。
  • 下ろすときは、両肘を胸郭に向かって少し傾けます。
  • 首には力を入れず、ゆっくりと下ろします。
  • 一番下で少し間を置きます。
  • 手のひらに力をかけ、最初の姿勢に戻ります。
  • 腰を下げたり上げたりしないようにします。ゆっくりと安定したペースで動きます。
  • 基本的な自重エクササイズであり、正しいフォームを保つことで、腕、胸、体幹のすべてが均等に運動量を分担します。

プッシュアップでよくある間違いの1つは、地面に向かって下ろすときに腰を下げてしまうことが挙げられます。これは通常、体幹が疲れ始めたときに起こります。腰が下がってしまう場合は、エクササイズの質を損なわないようにレップ数を下げるか、セットを分割してみてください。 体幹強化のエクササイズをルーティンに追加することで、動作中にしっかりとプランクの姿勢を保つことができます。

(関連記事:トレーナーに聞く、効果的な自重胸筋ワークアウト

適切なフォームで10回以上しっかりとしたプッシュアップができたら、別の筋肉の種類に重点を置いたバリエーションを試してみましょう。

プッシュアップのバリエーションが筋肉の強化にどう影響するか

フォームが安定し、動きの範囲全体をコントロールできるようになると、手の置き方、角度、テンポを少しずつ調整してみましょう。それにより、大きな負荷がかかる筋肉が変わります。

よくある動作変更としては、膝を床につけることが挙げられます。エルマルディさんによると、単純に膝を床につけるとともに、下ろす動作と持ち上げる動作の間も膝を地面につけたままにする動作です。その他のバリエーションをいくつかご紹介します。

  • クローズグリッププッシュアップ 上腕三頭筋の活性化を促進
  • ワイドプッシュアップ 胸と肩の活性化を促進
  • インクラインプッシュアップ初心者向けに負荷を抑制
  • デクラインプッシュアップ 胸上部と肩を強化
  • スローテンポプッシュアップ 負荷がかかっている時間を延ばす
  • シングルレッグプッシュアップバランスと体幹の安定性が求められる

『Journal of Physical Therapy Science』で発表された論文によると、胸の下で両手を狭めると胸の活性化が高まり、手を少し広めると上腕三頭筋への負荷が高まることが報告されています。これらの研究結果は、プッシュアップのやり方を少し変えるだけで難度がまったく異なることを裏付けています。

さまざまなバリエーションの腕立て伏せをワークアウトのルーティンに取り入れることで、重りを使わずに強度を高め、よりバランスの取れた腕力に鍛え上げることができます。

初心者におすすめの始め方

腕立て伏せを変化させることで、アライメントを損なうことなく筋力を強化できます。ニープッシュアップは、腰が下がらないように体幹の動きに注意を払う必要がありますが、出発点としては有効です。ベンチや箱、または壁に手を置くインクラインプッシュアップは、動きのパターンを身につけるうえで手軽に始められることが多いでしょう。アレンジをしてもしなくても、一貫性が重要であることを忘れずに。初心者ならなおさらのこと、とシーキャットは言う。

連続5回ができない状態から始める人がほとんどです。同じ内容を続けつつ緩やかに負荷をあげること、そして量より質を優先すること。それが改善に一番の近道です。

よくある質問

プッシュアップはどの筋肉に効きますか?

腕立て伏せは、胸筋、肩、上腕三頭筋、上腕二頭筋、体幹、そして体全体の安定筋を活性化させます。

筋肉がつきますか? それとも見かけの変化だけですか?

同じ内容を継続しつつも回数を増やしていくことで、筋肉を増強できます。プッシュアップのスピードを落としたり、回数を増やしたり、より難しいバリエーションに挑戦したりすることで、筋肉の成長につながっていきます。

プッシュアップは1日に何回やるべきですか?

適度な出発点としては、週2~3日の頻度で、1セット8〜12回を2〜3セットです。目標と回復度合に基づいて量を調整してください。

プッシュアップだけで上半身の筋力増強に十分ですか?

プッシュアップは強固な基礎固めとなります。バランスの取れたトレーニングをおこなうため、ローやプルアップなどの 引き寄せる動きと 組み合わせてみましょう。

プッシュアップで手首や肩が痛くなった場合はどうすればよいですか?

手の位置を調整したり、ダンベルやパラレットを使ったりすることで手首にかかる力を抑えるほか、インクラインプッシュアップに変えることも試してみてください。肩と肩甲骨の安定筋を強化することも効果的です。痛みが続く場合は医師に相談してください。

上腕二頭筋もプッシュアップで鍛えられますか?

もちろんです。プッシュアップは主として胸、肩、上腕三頭筋を鍛える一方で、下降段階では上腕二頭筋が腕の安定を支えます。特に上腕二頭筋を鍛えることを目標としている場合は、プッシュアップと引き寄せるエクササイズ(ローやカールなど)を組み合わせることで、より総合的な腕の発達が期待できます。

公開日:1970年1月1日