研究に基づく、ランニングから得られる驚きのメリット5つ

スポーツ&アクティビティ

ランニングは、脳の働きから腸の働きまで、心身の健康を支えるアクティビティだ。

最終更新日:2022年7月25日
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ランニングはやったほうがいいのか?

ランニングのメリットをリストアップすると、心肺機能の向上から、お腹の脂肪の減少や気分の向上まで、数限りない。 適切なシューズと安全に走れる場所さえあれば取り組むことができ、費用もさほどかからない。ほとんどの人にとって始めやすいアクティビティなのだ。

しかし、ランニングが日常生活に驚くべき効果をもたらすということ、しかもその効果は走った後、数時間あるいは数日にわたって続くということは、あまり知られていないのではないだろうか。 ここでは、ランニングが後になって大きな効果を生む仕組みについて、最近の研究と専門家の見解を紹介しよう。

「ランニングなどの活発な運動がもたらすメリットは1つだけではありません。これまで見過ごされていたメリットがほかにもたくさんあるのです」と話すのは、ニール・アナンド博士。整形外科の教授であり、ロサンゼルスのシダーズ・サイナイ脊椎センターで脊椎外傷部門の主任を務めている。 「健康面にもたらす波及効果は相当大きなものです。それに、それほど追い込まなくても、調子の良さを実感できるようになります」

ランニングがプラスになる理由

  1. 1.寿命延伸を期待できる。

    長生きに関していえば、ランニングはさらに寿命を数年延ばすための切り札になる可能性がある。 2017年に『Progress in Cardiovascular Disease』に掲載された研究によると、一般的に、ランナーは若年で死亡するリスクが低く、ランナーではない人に比べて少なくとも3年長生きする傾向がある。

    その理由として考えられるのは、走ることによって、心不全、糖尿病、一部のがんといった慢性疾患リスクを遠ざけられる可能性があるということだ。 しかも、それほど努力する必要はない。2020年に『British Journal of Sports Medicine』で発表されたメタ分析では、ランニングを週に1回行うだけでも寿命がかなり延びることが示された。

    「うれしいことに、ランニングなどのエクササイズによって寿命を延ばそうとしたとき、年齢にかかわらず健康上の効果が実感できることがこの研究で示されました。 健康を維持して長生きする方法を探しているのなら、運動を始めましょう」とアナンドは語る。

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  2. 2.膝も含め、関節の健康をサポートする。

    ランナーである限り、膝の健康状態を維持することは困難だと信じている人は多い。 しかしこの誤った通念は、研究によって打ち砕かれつつある。

    たとえば、2018年に『The Journal of Bone & Joint Surgery』で発表された研究では、トレーニングで週に10マイル以上走るマラソンランナーに着目。一般の人々と比べて、腰や膝の関節炎の発症率が低いことがわかった。 年齢が高いグループでも同様だった。 では、初心者ランナーの場合はどうだろうか? 2020年に『Skeletal Radiology』で発表された研究によると、初心者ランナーにも効果があった。最初のレースから少なくとも6か月は、骨髄と膝関節軟骨に改善が見られたのだ。

    南デンマーク大学の筋肉・関節健康センターに所属するアレッシオ・ブリッカ博士によれば、すでに膝に問題を抱えている場合でも、徐々に距離を増やしていくアプローチなら、症状を改善できる可能性があるという。 もちろん、膝に問題がある場合は、ランニングを始める前に医師に相談するべきだ。

    ブリッカ博士はこう語る。「ランニングなどのエクササイズが軟骨組織に悪影響を及ぼすという説は、誤った情報から来たものです。 むしろ、正しい方法でエクササイズに臨めば、変形性膝関節症の患者でも、軟骨組成が改善する可能性があります」

  3. 3.腸内環境が改善されることにより、さまざまなメリットが得られる。

    ランニングが好きではない人もいるだろうが、腸に住む有益なバクテリアはみんな、おそらくランニングの大ファンだ。 マイクロバイオームと呼ばれるバクテリアの集合体は身体活動から強い影響を受け、ランニングも例外ではない。 2019年に『Physiological Reports』に掲載された、ウルトラマラソンが及ぼす影響について調べた研究では、走っている最中にも、走った後にも、このバクテリアに有意な変化が見られた。

    腸の機能向上には、消化を促すこと以上の利点があり(もちろん消化促進も利点の一つ)、循環器系の健康、認知機能、睡眠、気分にもプラスの効果が期待できると話すのは、『The Microbiome Diet Reset』の著者で、管理栄養士でもあるメアリー・パーディーだ。

    「マイクロバイオームに変化が生じると、体のほぼすべての生理機能に影響が及びます。 マイクロバイオームとは、何を食べるか、どのように体を動かすかによって、維持もできれば数が減ることもあるエコシステムのように捉えるとわかりやすいでしょう」

    関連記事:レース前の食事方法:専門家からのアドバイス

  4. 4.肝臓の健康をサポートする。

    世界中で驚くべきペースで増加している慢性疾患が、代謝異常を伴う脂肪性肝疾患(MAFLD)。以前は非アルコール性脂肪性肝疾患と呼ばれていた疾患だ。 肝移植が必要となるケースの多くを占めるこの疾患は、世界の人口の25%を悩ませていると推計されている

    たいてい無症状で忍び寄るMAFLDは、肝臓への脂肪の蓄積を伴う。これによって血栓ができるおそれがあり、消化機能や肝機能に深刻な悪影響が生じる可能性がある。 そして、効果的な予防策となるのがエクササイズだ。 2020年に『Alimentary Pharmacology and Therapeutics』に発表された研究では調査の対象者が12週間にわたり、トレッドミル、フィットネスバイク、エリプティカルマシンでエクササイズを実施。 各セッションたった10分という短時間の取り組みにもかかわらず、3か月後、MAFLDの診断基準となる主な指標は大きく下がり、酸素の消費量にも改善が見られた。

  5. 5.燃え尽きそうな気持ちと闘う。

    仕事のせいでぐったりしていたり、あらゆる物事に対して燃え尽きてしまったりすると、元気を取り戻すのは難しい。 しかし、ここでもランニングが効果を発揮するかもしれない。

    2015年に学術誌『PeerJ』に掲載された研究では、有酸素エクササイズとレジスタンスエクササイズが職場での燃え尽きの症状を減らす効果に着目。どちらのエクササイズにも効果はあったが、ランニングを含む有酸素運動は、精神的苦痛、感情的疲労、ストレスの自覚を減らすという点で、特に効果があることがわかった。 レジスタンストレーニングは、個人の達成感を高める点で効果を発揮した。

    研究者によれば、エクササイズとメンタルヘルスには強い結びつきがあり、それは数十年にわたる研究で裏付けらてきた事実だが、燃え尽き症候群と関連付ける研究はあまり実施されてこなかったという。 この研究では、30分のワークアウトを週3回、3週間にわたって行った対象者のストレスレベルに、有意な改善が見られた。やる気の喪失、疲労、集中力の低下のような燃え尽きの兆候を感じたとき、週に数回ランニングをするだけで、その兆候を消せる可能性があることを示唆する結果だったのだ。

    エキスパートが教える、けがをせずにランニングの距離を伸ばす方法」の記事もチェックしよう。 専門家からのアドバイスを受けられる、Nike Run Clubアプリのダウンロードもお忘れなく!

    文:エリザベス・ミラード

ランニングはやったほうがいいのか?

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公開日:2022年6月16日

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