ブルックリンで築くネットワーク:ネットボールのコートでコミュニティを見つける

アスリート*

子どもの頃、スポーツが得意ではなかったマギー・ガオ。そんな彼女が、夢中になれるスポーツと出会った。

最終更新日:2021年5月3日
Snap Shots:ネットボールを通じて自分の居場所を見つけたマギー・ガオ

「スナップショット」シリーズでは、世界中のコミュニティで活躍するアスリートを取り上げている。

「スナップショット」シリーズでは、世界中で活躍する地域のアスリートを取り上げている。

2013年、心理学を学ぶために上海からニューヨークに引っ越してきたマギー・ガオは、自分と同じようにネットボールが好きな人たちに出会えることも期待していた。ところがネットボールは米国外ではよく知られていても、米国内ではどちらかというとマイナーなスポーツ。マギーは、ネットボールのコートはもちろん、プレーする仲間をなかなか見つけられなかった。

でもついに、マギーはブルックリンのあるコートにたどり着いた。東海岸の数少ないネットボール専用コートの一つだ。クラウンハイツのリンカーンテラスパークで、愛好者が集まるコミュニティも見つけることができた。そのリンカーンテラスパークでの練習の合間に、ネットボールというスポーツが彼女にとってどんな意味を持つようになったか説明してくれた。

まず、ネットボールとはどんなスポーツ?

ネットボールというのは、コートの広さはちょうどバスケットボールのコートと同じくらい。ゴールはスタンドの上にあって、バスケットボールのゴールのような後ろの板はない。コートは3つに区切られていて、7人のプレーヤーそれぞれにポジションとプレーするエリアが割り当てられる。バスケットボールと同様、自分のチームのゴールにボールを入れれば得点になる。バスケットボールと違うのは、ボールを持っているときは動けないこと。一歩だけ踏み出したらストップしてピボットするかパスを出さないといけない。他のスポーツと比べてかなり高い精度と敏捷性が求められるよ。

Snap Shots:ネットボールを通じて自分の居場所を見つけたマギー・ガオ

ネットボールに興味を持ったきっかけは?

上海で育ったんだけど、スポーツは何もしてなかった。8歳のとき、家の近くに開校したばかりのブリティッシュスクールに入学したら、カリキュラムの1つにネットボールがあった。それまで運動はまったく苦手だったけど、ネットボールのおかげで運動能力に少し自信が持てるようになった。周囲の人たちがよく応援してくれて、「大丈夫、やればできる。失敗を恐れるな」って[言葉をかけてくれた]。何かに本気で挑戦できたのはあれが初めてだった。それ以来、ネットボールはもうかなり長くプレーしてる。ええと、すぐには計算できないけど今で…17年。

ニューヨークのネットボールコミュニティはどんな様子?

いったん仲間に加われば、強い絆ができる。ニューヨークでネットボールをプレーするうちに、カリブ系アメリカ人のネットボールコミュニティの存在を知るようになった。初めのうちは少し不信感を持たれていたみたい。彼らは共に育ち、ネットボールの系譜を受け継いでる。カリブの国々から移住してきた彼らの両親には、ジャマイカ、トリニダード、グラナダの元代表選手のような人もいるから。でも、私がネットボールを知ってること、頑張って練習してることを分かってもらい、彼らに受け入れてもらってからは、とても楽しくなった。ネットボールをしていなければ会うことのないたくさんの人たちと出会える。

Snap Shots:ネットボールを通じて自分の居場所を見つけたマギー・ガオ

一般的にネットボールは「女性の」スポーツだという考え方があるけど、どんなふうに受け止めている?

子どもの頃、「へぇ、女性のスポーツをやってるんだね」などと言われて、違和感があったのを覚えてる。まるで男の子がプレーするには物足りないスポーツだと、世間で思われているようにきこえたから。でも成長するにつれ、他のたくさんのスポーツよりも高い精度と敏捷性が求められることに気付いた。[他のスポーツに]たとえるなら7人制ラグビー。そのぐらいのパワーとスピードが必要になる。実際、今オーストラリアに男性のネットボールリーグがある。プロではないから報酬は出ないけど、あまりに人気があるから、報酬が支払われる男性のネットボールチームを選手今作ってるところ。このスポーツはそれほど広く受け入れられてる。それに、ネットボールが盛んな国々では、女性だけでなく男性も楽しめる究極のスポーツと見なされてる。

「スキルを失うことなく、より賢いプレーヤーになっていくことができる」

Snap Shots:ネットボールを通じて自分の居場所を見つけたマギー・ガオ

どのぐらい長くプレーを続けられると思う?

楽しむのが目的なら、あと30年ぐらいプレーできるかな。ご覧のとおり、ここリンカーンテラスパークではたくさんの女性がピックアップネットボールをプレーしていて、彼女たちの生活の一部になっている。カリブの祖国でナショナルチームのメンバーだったという人もいる。そんな彼女たちが子どもたちにネットボールを伝え、その後も集まってピックアップネットボールを続けている。私は25歳のパーソナルトレーナーだけど、60歳ぐらいのジャマイカ人のプレー仲間も1人いて、今でも勝てないことがある。つまりスキルを失うことなく、より賢いプレーヤーになっていくことだってできるということ。

文:サム・ホックリー=スミス

報告:2020年9月

公開日:2021年5月11日

関連するストーリー

フランス出身のサッカー選手フロリン・クエッサンとウィッチFC

Athletes*

魔法のようなパワー:パリ随一のクリエイティブなクラブに旋風を巻き起こす女子サッカープレーヤー

メキシコシティでストリートサッカーの腕を磨くアラン・ランデロス

アスリート*

パフォーマンスアート:メキシコシティの少年がサッカースキルの限界を目指すようになるまで

パリのストリートサッカーをテーマに活躍する、新鋭映像作家ラミン・コンテの紹介

Athletes*

パリのストリートボールを撮影し、バスケットボールカルチャーの魅力を伝える気鋭の映像作家

Snap Shots:アドレナリンを追い求めるレオノラ・マンサノ

アスリート*

アドレナリンを求めて:ランニングに出会って変わった、レオノーラ・マンサーノの生活スタイル

驚きのパワーで魅せる、メキシコのラグビー選手マリア・プルーイン

アスリート*

偏見に挑み、前例を覆すメキシコのラグビー選手