自宅での朝のストレッチを習慣にする方法

健康とウェルネス

さらに、朝にストレッチを行うメリットについて、エキスパートが解説。

最終更新日:2023年5月17日
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自宅での朝のストレッチをルーチン化する方法

毎朝の習慣として、 コーヒーをいれたり、目覚めにぴったりのプレイリストを再生したりする人は多いだろう。だがその前に、朝のストレッチを行ってみてはどうだろうか。

一日の始まりとして穏やかな運動に身を委ねれば、体を動かす準備ができるうえ、柔軟性も徐々に高まることが期待できる。 このガイドを参考に、自分にとってベストなルーティンを組み立てる方法を見つけよう。

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まず、朝のストレッチの計画を立てよう

  1. 1.ストレッチに割く時間を決める

    数分しか時間が取れなくても構わない。 もう少し長めに時間を割けるなら、「5~15分くらい取れれば、スタートには申し分ありません」と話すのは、カイル・カーチャー博士。 ストレングスコンディショニング認定スペシャリストで、 プロジェクトマネジメントプロフェッショナル(P.M.P.)、インディアナ大学ブルーミントン校公衆衛生大学院スポーツマネジメント学助教授の肩書を持つ。

    「少なめの運動から始め、徐々に進化させていきましょう。モーニングルーティンに組み込める現実的なやり方で。 ストレッチやエクササイズは、少しでも何もしないよりは効果があります」とのことだ。

  2. 2.用心すべき部位にねらいを定める

    変形性関節症のような慢性疾患やけがを患っている場合は、医師や認定理学療法士に相談し、適切なストレッチの方法を指導してもらおう。 また、少し時間をかけて、張りやわずかな違和感がある部位がないかどうか、体に意識を向けてみると良い。

    「よく眠れなかった場合、肩が凝って首が回らないと感じるかもしれません」と話すのは、認定ダンス/ムーブメントセラピスト(BC-D.M.T.)と N.A.S.M.認定 パーソナルトレーナーの資格を持つクリステン・クロウだ。 「少し時間を取り、肩の力を抜いて、数回深く呼吸しながら首を動かしましょう。」

  3. 3.主要な筋肉群をターゲットにした複合的な運動を取り入れてみる

    理学療法博士のデビー・ディは、複合的な運動を取り入れることを検討すべきだと話す。これにより、単一の筋肉をターゲットにする運動をいくつも行わずに、一度で複数の筋肉を動かせるようになる。

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おすすめの基本のルーティン

朝のヨガクラスに参加する時間がなくても問題ない。体の張りを和らげるために自宅でできる運動はたくさんある。

柔軟性向上のために、次の運動を2~4回(それぞれ30秒で1回)繰り返すことをディはおすすめしている。 ただし、始める前に、資格を持つ理学療法士や認定パーソナルトレーナー、医師に相談した方が無難だろう。

朝のストレッチルーティンにおすすめの運動7種

  1. 1.キャットカウ

    自宅での朝のストレッチをルーチン化する方法

    このポーズを行えば、首と背中をほぐせるうえ、コアを引き締めて腹筋を強化できる。

    方法:

    • 四つん這いの姿勢(ヨガではテーブルトップと呼ばれる)になる。両手は肩幅に開いて床に置き、膝は腰の真下に置く。
    • 息を吸いながら腰を反らせて頭を上げ、お尻を上に向ける。
    • 息を吐きながらお腹を引き込み、背中をアーチのように丸めて頭とお尻を下げる。
    • この動きを5回ほど繰り返す。
  2. 2.チャイルドポーズ

    自宅での朝のストレッチをルーチン化する方法

    この動きでは、股関節を開き、頭や首への血流を促し、背骨に意識を向けて背中の筋肉や腰の緊張をほぐせる。

    方法:

    • テーブルトップの姿勢から始める。
    • 膝を広げ、両足の親指同士が触れるようにする。 腰をかかとの方に降ろしていく。
    • お尻をかかとに乗せたまま上体を前に倒し、額を床につける。
    • 腕は脚の横に置き、手のひらを上に向ける。 数回呼吸をする。
  3. 3.スレッドザニードル

    自宅での朝のストレッチをルーチン化する方法

    肩、胸、腕、背中の上部、首を伸ばして広げるなら、このポーズがおすすめ。

    方法:

    • まず、四つん這いの姿勢になる。 腕を広げて伸ばし、上体を腰から折り曲げる。
    • 息を吐きながら、右腕を左腕の下に滑り込ませる。手のひらは上に向ける。
    • 右肩を滑り込ませて床につける。
    • 右頬と右耳を床につけ、目線は左側に向ける。 この姿勢を1分ほどキープする。
    • 左手で床を押して右手を体の右側に戻し、肩の真下に置く。
    • 四つん這いの姿勢に戻る。
    • 反対側で同じ動きを繰り返す。
  4. 4.座った姿勢でのサイドストレッチ

    自宅での朝のストレッチをルーチン化する方法

    肋間筋を伸ばして強化するこの運動をルーティンに組み込もう。呼吸を深める効果がとても高い動きだ。

    方法:

    • 足裏を床にぴったりとつけて椅子に座る。
    • 右腕を上げ、上半身を左に曲げて、できるだけ体を左に倒す。 右手の方向を見上げるようにしよう。
    • この姿勢を20秒間キープしてから、最初の姿勢に戻る。
    • 2回繰り返してから左右を切り替える。
  5. 5.アッパートラップストレッチ

    自宅での朝のストレッチをルーチン化する方法

    このポーズには、首の凝りをほぐす効果がある。

    方法:

    • 椅子に座るか、床の上で脚を組んで座る。
    • 左手を頭の右側上部に置く。
    • 右腕は背中に回した状態で、頭を左肩の方へ引っ張る。
    • 20~30秒間キープする。
    • 2~3回繰り返してから左右を切り替える。
  6. 6.ショルダーロール

    自宅での朝のストレッチをルーチン化する方法

    このポーズでは、筋肉と腱をストレッチでき、肩関節の動きが滑らかになる。また、緊張をほぐす効果もある。

    方法:

    • 腕を両脇におろし、脚を肩幅に開いて立つ。
    • 肩をすくめるようにして耳に向かって持ち上げ、後ろに下げる。
    • 大きく円を描くように、前回しで肩をゆっくり回す。
    • 後ろ回しで同じように繰り返す。
  7. 7.立位前屈

    自宅での朝のストレッチをルーチン化する方法

    脊柱、脚の後ろ側、背中の筋肉のストレッチには、このポーズがおすすめ。

    方法:

    • つま先を前に向け、腕を両脇におろして立つ。
    • 息を吐きながら腰を曲げて上体を倒す。手のひらを床につけ、頭で膝を押すようにする。
    • この姿勢を数秒間キープする。 息を吸いながら、立った姿勢に戻る。

ストレッチがとても重要な理由

「朝のストレッチを習慣にすれば、心身の健康にとても大きな効果が期待できます」とディは語る。

ストレッチを習慣にする最大の利点は、けがのリスクを減らせることだろう。 長時間座った姿勢で過ごすといった日常の行動によって、筋肉が凝り固まったり、けいれんを起こしたりすることがある。 こうなると、筋肉は思うように反応しなくなり、けがや障害を引き起こしやすくなると、ディは説明する。

朝にストレッチをすれば、血行を促して酸素を多く含む血液を筋肉に送ることができ、その日の柔軟性と可動性の向上につながる。

どれくらいの頻度で朝のストレッチに取り組むべきか?

朝の運動に取り組む頻度に決まりはない。 ディによれば、アメリカスポーツ医学会は、アクティブなウォームアップ(10分間のトレッドミルでのウォーキングなど)の後にストレッチをするというやり方で、週に2~3回以上取り組むことを推奨しているそうだ。

米国理学療法士協会(American Physical Therapy Association)で広報を務める理学療法博士、ケルシー・ウィットマンは、毎日ストレッチを行っても害はないと話す。 ただし、妊娠している場合や、問題を引き起こす可能性がある疾患がある場合は、医師に確認することをおすすめする。

「週に何回ストレッチを行うかは、身体活動レベル、目標、健康状態、個人の好みによります」とウィットマンは言う。

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ダイナミックストレッチとスタティックストレッチの違いは?

ダイナミックストレッチでは、可動域を最大限に使って積極的に筋肉を動かすと、ディは説明する。 たとえば、ウォーキングランジやアームサークルが当てはまる。 一方、スタティックストレッチでは、頭を膝に近づける前屈や座った姿勢でのバタフライストレッチといったように、姿勢をある程度時間をかけてキープする。 いずれのストレッチも、可動域の向上に同等の効果があることが示されていると、ディは言う。

ウィットマンによれば、一般的には、運動の前にダイナミックストレッチを行い、運動後にスタティックストレッチを行う。 ただし、ある研究では、バレエや体操といった柔軟性が求められるスポーツの前は、ダイナミックストレッチよりスタティックストレッチの方が効果的である可能性があることも示されている。

朝のストレッチルーティンでは、筋肉を温めるためにダイナミックストレッチに重点を置くとよい。直後にワークアウトに取り組む場合はなおさらだ。 予定しているワークアウトに応じて動きを調整してみてほしいと、クロウはアドバイスする。 夜にもストレッチをするつもりなら、スタティックストレッチは夜のルーティンに取っておいてもいいだろう。

朝のストレッチは徐々に変えていくべきか?

朝のストレッチは、頻繁に変更する必要はない。 とはいえ、たまには調整したくなることもあるだろう。 たとえば、けがや筋肉痛など、何らかの問題が起きた場合は、その問題に応じて体のさまざまな部位に注意を向ける必要がある。 より難易度の高いストレッチをルーティンに加えたくなるかもしれない。

NASMとACEの認定パーソナルトレーナー、ハンナ・ドアティはこう語る。「毎日同じ運動を同じ負荷で行っていると、やがて体は停滞期に入ります。 ストレッチの姿勢を数秒長めにキープする、もう少し体を大きく伸ばす、取り組む回数を増やすといったやり方をすれば、すべて進歩につながります。」

ルーティンに飽きてきたら、エクササイズを変えてみればいいと、カーチャーは言う。 「4週間ごとにストレッチやエクササイズを調整して、クライアントに大きな成功をもたらしています」とのことだ。

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夜のストレッチを習慣にすることも検討しよう

就寝前のストレッチも習慣に加えることをおすすめする。 この場合のストレッチの目的は、寝る前に筋肉の緊張を解くことなので、ゆっくりとした静的な動きを取り入れることをドアティはすすめる。

ディは、できればストレス緩和に役立つ呼吸法を組み込むといいとアドバイスする。 夜のルーティンにクロウがすすめるのは、レッグ アップ ザ ウォール、チャイルドポーズ、スパイナルツイスト、フォワードフォールドといった、緊張を解き、元気を回復させるヨガのポーズ。どれも安眠を促す効果がある。

文:ディナ・チェイニー

自宅での朝のストレッチをルーチン化する方法

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公開日:2023年5月8日