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最大酸素摂取量(VO2 Max)を重視すべき理由

By Nike Running

ランナーが最大酸素摂取量(VO2 Max)を重視すべき理由
ランナーが最大酸素摂取量(VO2 Max)を重視すべき理由

VO2 Maxが向上すれば、スピードも増して健康的なランナーになれる。

トレーニングでコンフォートゾーンを広げ、最大酸素摂取量(VO2 Max)を上げる。そうすることで、ランニングが上達し、健康全般の増進に役立つ。

ペース、ゴールタイム、心拍数、体感による疲労度(通常は10段階)など、ランニングには重要な数値が多数ある。有酸素フィットネスの指標とされるVO2 Maxも、重要な数字のひとつだ。

この数値を上げる方法がわかれば、ランナーとしても進歩し、一般的な健康も増進できる。そのメカニズムを専門家に解説してもらおう。

VO2 Maxとは?

「V」は量、「O2」は酸素、「Max」は最大を表す。つまり、VO2 Maxはエクササイズ中に、体で使用可能な酸素の最大量を測定した値であり、フィットネスの全体的なレベルを示す重要な数値だ。

VO2 Maxの計算は、込み入った作業になる。一般的に、VO2 Maxでは1分間に体重1キログラムあたりで消費される酸素をミリリットルで表す(ml/kg/分)。スポーツ科学の研究所でVO2 Maxを正確に測定する場合は、アスリートにトレッドミルで全力疾走してもらうのが従来の検査法だった。そう説明するのは、シドニー工科大学でスポーツと運動科学の特別教授を務めるアーロン・クーツ博士だ。

アクティビティートラッカーを使用するとVO2 Maxを推定できるが、実際には家庭でVO2 Maxを測定する方法はない。ただし、VO2 Maxが増加していることは簡単にわかる。初心者のランナーなら特に顕著だ。運動生理学、クロストレーニング、外傷予防の専門家であるオハイオ大学のイアン・クレイン氏は、次のように述べている。「VO2 Maxのベースとなるのはフィットネス。疲れずに走れる距離が長いほど、VO2 Maxが高いと推測されます」

VO2 Maxとランニングのスピード

VO2 Maxが高くなると、ランニング中に筋肉に供給できる酸素が増える。ワークアウトの強度が上がっても、スピードが上げられるということだ、とクレイン氏は説明する。一般的にVO2 Maxが高ければ、乳酸性閾値も高い。つまり乳酸が蓄積し、疲労がたまって運動を止めざるを得なくなるまでに、より長く高い強度でワークアウトができるということだ。

ランナーが最大酸素摂取量(VO2 Max)を重視すべき理由
ランナーが最大酸素摂取量(VO2 Max)を重視すべき理由

大半のランナーは、「もうこれ以上は走れない」という限界点を経験したことがあるだろう。これは、無酸素性代謝閾値を超過している状態だ。つまり、体内で作られた水素イオンと乳酸が代謝される速度より、筋肉に蓄積される速度が上回っていることを示す。「水素イオンは二酸化炭素に変換されます。無酸素で機能する筋肉が多いほど二酸化炭素は増えてきます。二酸化炭素があると、酸素が効率的に運搬されません。二酸化炭素を代謝できないと、酸素の結合先もなくなるのです」とクレイン氏は説明する。酸素がうまく使えなければ、全速力で走ることもできなくなる。

「酸素さえあれば、エネルギーに変換するのは簡単」

イアン・クレイン(運動生理学者)

VO2 Maxが高いほど、体内で二酸化炭素を効率的に代謝できるようになる。その結果、赤血球が運搬する酸素量も増えて、筋肉の収縮運動を持続できる。クレイン氏いわく、VO2 Maxを上げる特殊なトレーニング(詳細は後述)を実践すれば、筋肉の毛細血管も発達する。これも、筋肉に運搬できる酸素を増加させる変化だ。「酸素さえあれば、エネルギーに変換するのは簡単」とクレイン氏は語る。酸素の供給を確保知れば、より力強く、速いスピードで走れるのだ。

VO2 Maxの向上が健康増進につながる理由

VO2 Maxの数値を高めることで、さまざまなメリットが期待できる。まずは、肺が酸素を効率的に取り込んで、心臓などの筋肉に送る能力の向上だ。心臓が1回の心拍で送れる血量が増えると、安静時の心拍数が低下する。酸素供給を効率化することで、心臓血管系が受ける負荷が低下するのだ。

長期的な健康効果を理解するため、逆の場合を考えてみよう。米国心臓協会(AHA)によると、心肺フィットネスの低下(つまりVO2 Maxの低下)は、心臓血管病のリスクを高め、あらゆる死亡原因やがんのリスクにも関連性がある。実際のところ、心肺フィットネスの低下は、喫煙や高血圧などの要因よりも死亡リスクを高めてしまうとAHAは指摘している。

5キロ走の自己ベスト更新は、VO2 Maxが向上したことを示唆している。だがそれだけでなく、深刻な健康状態のリスクを緩和したサインでもあるということだ。

ランナーが最大酸素摂取量(VO2 Max)を重視すべき理由
ランナーが最大酸素摂取量(VO2 Max)を重視すべき理由

VO2 Maxを上げる方法

残念なニュースから始めよう。VO2 Maxの最高値は、遺伝子の影響を受ける(ほとんどの人がエリウド・キプチョゲみたいに走れないのはこのため)。だが、良いニュースもある。閾値の上限を長期間維持することで、数値を向上させられる可能性があるのだ。

「最高値を上げるのは簡単じゃない。でも上げる方法は徐々に上達できる」

アーロン・クーツ(スポーツ運動科学教授)

VO2 Maxを上げるためには、ゆっくりと長時間かけて長い距離を走れるようになり、ペースの速いハードなワークアウトにも挑戦する必要がある。体力の土台ができたら、高負荷インターバルトレーニング(HIIT)に打ち込んでみよう。HIITでは、ハードな全力運動と回復ブートが交互に組まれている。これはVO2 Maxと乳酸性閾値を上げる最も効果的な方法のひとつだ。クーツ氏は次のように述べている。「コンフォートゾーンを広げよう。自分の最高値を上げるのは簡単じゃない。でも上げる方法は徐々に上達できる」

クレイン氏いわく、強度の高い運動を短時間続けて、無酸素性作業閾値を押し上げるのがコツだ。これを続けるうち、次第に同じ強度で長時間にわたって効率的なパフォーマンスが発揮できるようになる。目指す強度は、800メートルから3キロの全力疾走がいいだろうとクレイン氏は言っている。「このような努力に適応して体を鍛え、VO2 Maxを上げるために必要な代謝負荷と生理的負荷をかけるのが目的です」

科学的な裏付けもある。科学誌「Medicine & Science in Sports & Exercise」に掲載された研究では、HIITがVO2 Maxの向上に役立つメカニズムを実証している。さらに複数の研究が示した結果によると、VO2 Maxの向上を目的とするなら、持久力トレーニングよりもHIITのルーチンが効果的である。

このアドバイスを励みに、インターバルワークアウトを活用してVO2 Maxを向上させよう。

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