Coaching

睡眠の質を高める食生活

早速今夜からこのアドバイスを活用して食生活を改善し、睡眠の質を向上させよう。

最終更新日:December 23, 2020
ぐっすり眠るための食事と食習慣

「健康は食生活で決まる」というのは聞いたことがあるだろうが、「睡眠は食生活で決まる」とも言える。

食べ物は体をパワーアップさせるエネルギー源だが、パワーダウンさせる働きもある。もちろん良い意味でだ。「食事は睡眠の質と複雑にリンクしています」と語るのは、ニューヨーク州のコロンビア大学Sleep Center of Excellenceで理事を務めるマリー-ピエール・セント・オンジ博士だ。栄養医学の准教授で、20年にわたり、食事が睡眠にどのように影響するかについて研究している。

セント・オンジ博士の調査では、果物、野菜、全粒穀物といった食物繊維の豊富な食べ物を普段からたくさん食べる人の睡眠は、より長くて深く、質が良い傾向にあるという。理由はおそらく、食物繊維を多く含む食べ物には、プレバイオティクスが含まれるからだ。プレバイオティクスは、腸内細菌の栄養源となる成分で睡眠ホルモンの調整を助ける。

一方、『The American Journal of Clinical Nutrition』に掲載された新しい研究によると、白パンや白米、菓子パン、炭酸飲料など、精製した炭水化物や砂糖を使用した、血糖値を上昇させる食物を取ることが、不眠症のリスクを高める要因になり得る。このような糖分の多い食べ物は、血糖値の急激な上昇と低下を招く。これがきっかけとなって、コルチゾールやアドレナリンなどるストレスホルモンが分泌されて悪循環を生むと、コロンビア大学助教授でこの論文の主筆であるジェームズ・ギャングウィッシュ博士は言う。

「果物、野菜、全粒穀物といった食物繊維の豊富な食べ物を普段からたくさん食べる人の睡眠は、より長くて深く、質が良い傾向にある」

マリー-ピエール・セント・オンジ
博士、コロンビア大学 Sleep Center of Excellence理事

ぐっすり眠るための食事と食習慣

しかし、睡眠の質を高めるために食習慣を微調整する方法はいろいろある。「小さい変化なら起こしやすく、大きな結果につながります」と言うのは、登録栄養士で『Eat to Sleep』の著者であるカルマン・マイヤー氏だ。まずはここから始めよう。

  1. タルトチェリージュースを飲もう。
    よく眠れるようになるために1つだけ食生活を変えたいのなら、おすすめの方法だ。タルトチェリージュースは睡眠に効果がある食品として研究されてきた数少ない食品の1つで、睡眠への効能が実証されているとマイヤー氏は言う。彼女は不眠症に悩む人々を対象にした研究について、「タルトチェリージュースを朝と就寝1-2時間前に170gずつ飲んだ人は、わずか2週間で約84分長く眠れるようになりました」と説明する。また、不眠症ではない人の睡眠の質を向上させる効果もあるという(誤解のないように言うと、不眠症の治療法には飲み物を控えるというものもあるので医師と相談したほうがよい)。「さらに、炎症を抑える働きがあるので、ハードなワークアウト後のリカバリーを助けてくれます」

    タルトチェリーが睡眠に効く理由の一つは、睡眠サイクルを整えてくれるホルモンであるメラトニンが含まれることだ。「メラトニンのサプリメントを飲む人は、食べ物から自然に摂取できることにあまり気づいていないようです」とマイヤー氏は言う。メラトニンを多く含む食べ物にはほかに、アーモンド、トマト、ブトウなどがある。
  2. バナナを食べよう。
    バナナには、メラトニンの生成に関わる神経伝達物質であるセロトニンの分泌に欠かせないビタミンB6が含まれているとマイヤー氏は言う(ノートにはこう書くとよい。セロトニンの増加=メラトニンの増加=寝つきが良くなる)。毎日、朝食か日中の間食に、セロトニンの分泌を増やしてくれるバナナを食べよう。夕食にビタミンB6を含むヒヨコマメやマグロを食べると、さらに効果が高まるはずだ。
  3. 3. ナッツとシードを食べよう。
    ナッツとシードにはマグネシウムが多く含まれている。マグネシウムは睡眠の質を高めるのに重要な役割を果たす栄養素で、マイヤー氏によると、米国人の約7割は十分な量を摂取できていない。マグネシウムはストレスと炎症を抑えるのに欠かせないとマイヤー氏は説明する。また、メラトニンとともに機能し、寝つきを良くし、眠りを持続させる効果がある。ナッツやシードがあまり好きではないのなら、ミネラルの宝庫である葉物野菜やアボカドもおすすめだ。
  4. スイカ、メロン、キュウリを食べよう。
    「私たちは必要な水分量の約20%を食べ物から摂取します。スイカ、メロン、キュウリは水分が豊富です」とマイヤー氏は言う。水分補給がアスリートのパフォーマンスとリカバリーの要であることは周知の事実だが、睡眠にとっても重要だとマイヤー氏は強調する。水分不足からいびきが悪化したり、こむら返りを起こしたりする可能性があり、目が覚めてしまう要因になるからだ。
  5. 避けたほうがよい飲み物。
    睡眠と相性の良くないものが2つある。コーヒーとアルコールだ。「カフェインの半減期は約6時間で、ランチにコーヒーを1杯飲むと、夜の12時になってもそのカフェインの4分の1が脳内を巡っている状態になるからです。就寝直前にコーヒーをがぶ飲みするのと変わりません」と話すのは、Center for Human Sleep Science(人類睡眠科学センター)の創設者兼所長で、Nike パフォーマンスカウンシルのメンバーであるマシュー・ウォーカー氏だ。一方アルコールは、「脳を浅い睡眠に誘う鎮静剤の役割を果たします」とウォーカー氏は言う。ウォーカー氏が勧めるのは、就寝時刻の12-14時間前からカフェインを取らないようにすること。経験則で言うと、コーヒーを飲むなら午前10時までだ。それからできれば夜の飲酒はやめることだ。
  6. なるべく野菜中心に。
    精製した砂糖と同じく、飽和脂肪酸も食事で多く摂取すると睡眠を妨げ、眠りが浅くなる原因になる。肉類、特に牛肉や羊肉など赤色の濃い肉は、他のタンパク源より含まれる飽和脂肪酸が多い。そこでセント・オンジ氏は、3食のうち2食は野菜中心にすることを勧める。果物や野菜から食物繊維をたくさん摂取することも、睡眠の質の向上に役立つ(プレバイオティクスのおかげだ)。
  7. デザートの食べ方を見直そう。
    1日の締めくくりに甘いものを食べると血糖値の急激な上昇と低下を招き、一晩中眠れなくなるほどのストレスホルモンが分泌されるとマイヤーは言う。といってもデザートを完全に断つ必要はない。マイヤーが勧めるのは、デザートに含まれる糖質に、タンパク質と脂質を加えてバランスに配慮することだ。タンパク質と脂質には代謝を遅くする働きがある。たとえば、ブラウニーにピーナツバターを塗ったり、クッキーを食べるときに牛乳をグラス1杯飲んだりするとよい。ダークチョコレートはおすすめできないとマイヤー氏は言う。カフェインの影響を受けやすい体質だと、小さいチョコレート2つで睡眠時間が台無しになる可能性があるという。

    食生活を少し工夫するだけではまだ理想の睡眠は実現できない。体が食物を消化して栄養素にするのを助ける必要がある。夕食後、10分だけでも散歩をすると、食物の分解を助け血糖値が安定するとマイヤー氏は言う。「胃の調子が悪いとか胃酸が逆流する胸やけの症状があるときは、散歩をすると寝つきが良くなります」もしかすると、散歩には、気持ちを落ち着かせ、理想的なまどろみへと誘う効果もあるかもしれない。

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エキスパートが提案する考え方、運動、食事、リカバリー、睡眠に関するガイドをさらに見るには、Nike Training Clubアプリをチェック。

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