本当に強いコアとは?

Coaching

大事なのは割れた腹筋ではなく、目に見えない筋肉のネットワーク。限界まで力を引き出すためのトレーニング方法を紹介する。

最終更新日:2020年12月23日
強靭なコアが生むパフォーマンスへのメリット

200キロ近くある力士を見た時、「良い腹筋だ」と思うことはほとんどないと思う。これは、多くの人が「強いコア」に対して持つイメージが、6つに割れた腹筋であることが理由だ。だが実際のところ、強いコアは立体的になった筋肉とは何の関係もない。「見た目とは裏腹に、この体格の大きなアスリートには、しっかりとした筋肉がついています」そう語るのは、スポーツ理学療法の臨床専門家で、Nike Performance Councilのメンバーとしてリカバリーを専門に研究しているスー・フォールソンだ。「力士の体は、引き締まった体でなくても強さを発揮できるという良い例なのです」

ウェイトリフティングの大会に出場する場合でも、町内のソフトボールチームで際立つ存在になりたい場合でも、気晴らしにハイキングを楽しみたい場合でも、強く安定したコアがあれば、どんな動きも楽に感じられるようになり、けがのリスクも減らせる。

「コア」の解説

コアは、30以上の筋肉で構成されている。横隔膜と骨盤底を含める専門家もいれば、広背筋と胸筋まで含める専門家もいるため、正確な数を出すのは難しい。(コアの定義は、フィットネスコミュニティ内で広く議論されている。)理学療法の教授で、オハイオ州立大学の臨床と機能およびパフォーマンス生体力学研究所のディレクターを務めるアジット・チャウダーリ博士によれば、コアの構成要素として全員の意見が一致しているのは、以下の筋肉だという。

  1. 腹直筋
    これは腹部を縦に走る長い筋肉で、腹筋運動や投げる、走る、ジャンプするなどの全身運動の際に胸郭と骨盤を引き寄せるのに使われる。また、この筋肉は「シックスパック」の名称でも知られている。これは、筋膜(筋肉と臓器を包むラップのような結合組織)の帯が筋肉を6つ、または8つの部分に分けることで生まれる。補足すると、この筋肉はすでに6つまたは8つに分かれていることが多い。ただし、外から見えるかどうかは、この筋肉の上にある脂肪の量による。
  2. 腹斜筋
    腹直筋の両脇にあるのが腹斜筋で、内側と外側の両方にあり、「脇腹」と呼ばれる部分だ。この筋肉は、ダイアゴナルシットアップなど、上半身を回転させる際に使われる。
  3. 腹横筋と腰方形筋
    腹直筋と腹斜筋の下には、腹横筋など、前後に深部筋肉があり、コルセットのように機能する。これが最も深い場所にあるコアの筋肉だ。この筋肉が腹腔を圧縮して筋膜の緊張を高めることで、筋膜の「網」が強くなる。そして、腰の両脇には腰方形筋があり、体を片側に曲げる際に、脊柱全体を安定化させる役割を果たす。
  4. 脊柱起立筋と多裂筋
    脊柱起立筋は、腰で最も目立った筋肉のこと。体を伸ばしたり、横方向に曲げたりする動作をサポートする。多裂筋などの腰の小さな深部筋肉は、腰部分から頭蓋骨まで走る極小の筋肉だ。これらの筋肉は、腰を伸ばしたり、体が曲がらないよう脊柱を硬くしたりする役割がある。

他にも、大腰筋、腰の内転筋と外転筋、大臀筋などがあるが、これらの筋肉はコアよりも下半身の機能により密接に関係している。

強靭なコアが生むパフォーマンスへのメリット

強いコアが重要な理由

「体を車輪と考えた場合、コアはその中心にあるハブになります」とフォールソンは説明する。つまり、この部分が強く安定していれば、車輪の「スポーク」となる腕や脚が、より効果的に力を生み出したり、吸収したりできるようになる。ランニングの場合、着地の際の衝撃がすべて脚にかかることはないため、走るのが楽になったと感じられるだろう。また、テニスではラケットを振る際の力が腕以外からも生まれるので、フォアハンドがパワーアップする。

また、コアが安定化すると、ハブが筋肉をコントロールできるようになり、脊柱に負担をかけずにスポークを動かせるようになるとフォールソンは語る。例として、ケーブルチョップの動きを見てみよう。これは、上述したテニスのフォアハンドをまねた、回転を伴う筋力エクササイズだ。コアが安定していれば、脊柱は動かさずに、肩と腕の筋肉だけを使って滑らかにケーブルを引くことができる。だが、コアが安定していない場合、腕に大きな負担がかかるため、安全ではない方法で背中をねじってしまったり、多くの回数をこなせなくなったりしてしまうとフォールソンは説明する。

「体を車輪と考えた場合、コアはその中心にあるハブになります」

スー・フォールソン
スポーツ理学療法の臨床専門家、Nike Performance Councilメンバー

また、コアが弱いと下半身のけがのリスクも高まる。チャウダーリ博士による最近の研究では、コアに十分な安定性がない初心者ランナーは、膝に問題が起きる可能性が高いことがわかっている。「コアをコントロールする力がない場合、膝をくじいたり、足首をひねったりする可能性が高くなります」とチャウダーリ博士は語る。これは、ぐらついた上半身をコアではなく脚の力でコントロールしなければならないことが原因だ。

コアを強化するには

がむしゃらに腹筋運動を続けることがコアを鍛える最も効果的な方法ではないことは、すでにどこかで耳にしているかもしれない。フォールソンは、間違った方法で腹筋運動を行っている人が多いこと、そして正しい方法で行っても脊柱に悪影響を与えてしまうと指摘する。

コアを強化するなら、特に片脚または片腕を使った全身エクササイズのほうがはるかに効果的だ。「ランジの動きはコアに働きかけます。片手にダンベルを持って行うと、さらに効果的です」とフォールソンは説明する。「シングルアーム バイセップカールの小さな回転運動でも、体の安定性の向上に役立ちます」体の片側だけを動かすトレーニングに定期的に取り組むワークアウトプログラムを探してみよう。

さらに、少し集中的にコアトレーニングを行うことでも大きな効果が期待できる。チャウダーリ博士によれば、まずはコアだけを鍛える5-10分間の運動を週に3日から5日行うのが最適だという。「コアの筋持久力が弱い人が多いので、数分程度の運動をほぼ毎日行うだけでも大きな効果があります」彼は説明する。持久力がある人(すばらしい!)、または運動が簡単に感じられてきた場合は、時間を倍にしてみよう。

最初に試してほしいのは、バードドッグの動きだ。四つん這いになって片腕を前に伸ばし、反対側の脚を伸ばす。腕と脚が床と平行になるまで伸ばし、最長1分間キープする。デッドバグの動きもおすすめ。仰向けになり、テーブルトップポジションを取る。片腕と、腕と反対側の脚を、床のすぐ上の位置に来るまで伸ばし、左右を替えて繰り返す。また、プランク、サイドプランク、バランスボールを使ったレッグカール、アブロールアウトも効果的だ。

見た目にはすぐにわからなくても、ワークアウトをより上手く、強くこなせるようになったり、動きが楽になったりなど、コアを強化した効果はかなり短期間で実感できるはずだ。

強靭なコアが生むパフォーマンスへのメリット

レベルアップさせよう

エキスパートが提案する考え方、運動、食事、リカバリー、睡眠に関するガイドをさらに見るには、Nike Training Clubアプリをチェック。

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