レスキュー作戦:リバースロジスティクスが数百万足ものシューズを救う

Innovation

Nikeの修繕プログラムは、一度は廃棄されたスニーカーを再利用するための取り組み。

最終更新日:2022年4月21日
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何百万足ものシューズを救う、ナイキのリバースロジスティクスミッション

Move to Zeroの提案:Nikeは、二酸化炭素排出ゼロと廃棄物ゼロを目指し、スポーツの未来を守るMove To Zero(ゼロへの移行)に取り組んでいる。


返品したシューズがどうなるのか、考えてみたことがあるだろうか?

数百万足に及ぶNikeのシューズの場合、すべての道はNike Reboundに通じている。目的地はインディアナ州レバノンにある、広大なリバースロジスティクスの施設だ。

「Reboundは、北米で返品されたNikeのシューズすべてを処理するところですから、とても大きな施設です」と言うのは、インバウンドオペレーションマネージャーのヴァレリー・ナッシュだ。

Nike Reboundでは返品されたシューズを一日に何千足も処理している。それを可能にしているヴァレリー・ナッシュ(左)やファビアン・ガルシアのような人々を見るには、ここをスワイプしよう。

何百万足ものシューズを救う、ナイキのリバースロジスティクスミッション

Nike Reboundの敷地は、フットボールの競技場約20個分と広大だ。それというのも、ここでは返品されたシューズを一日に何千足も処理しているからで、
ヴァレリー・ナッシュ(左)やファビアン・ガルシアのような人々がそれを可能にしている。

彼女は冗談を言っているのではない。この3階建ての施設は広さが110万平方フィート(フットボールの競技場約20個分)あり、一日に数千足もの返品されたシューズが届く。個人アスリートからの返品もあれば、Nike商品を販売する数多くの小売パートナーから届くものもある。かなり傷んで泥だらけのシューズもあれば、おそらくサイズが合わなかっただけのものもある。誰がどんな理由で返品したものであれ、すべてがここReboundに到着するのだ。

これだけの数の返品シューズを受け取って仕分けするのも、リバースロジスティクスの作業の一部に過ぎない。次のステップは、これらの処理方法を決めることだ。

何百万足ものシューズを救う、ナイキのリバースロジスティクスミッション

返品シューズがたどるさまざまな道のり

一度も履いていない新品の状態で、傷んだ箇所が見当たらないものは、そのままオンラインでの販売や店舗への配送に回される。

だが、履いて走ってみてから返品されたシューズはどのように処理するのだろうか。この場合は少々汚れがついている。Reboundチームのメンバーが、検査の間に簡単なお手入れを試みることもあるが、それだけでは新品同様の状態に戻らないものもある。

修繕プログラムがスタートする前は、傷みの程度にかかわらず、返品されたすべてのシューズが、このカルーセルの画像にあるNike Grindマシンで細断されていた。

何百万足ものシューズを救う、ナイキのリバースロジスティクスミッション

かつては、傷みの程度にかかわらず、ここに示すようなNike Grindマシンで細断されていたすべての返品シューズ。
しかしReboundで働くチームは、多くのシューズにセカンドチャンスを与えることができると考えた。

スポーツコートの表面、テックアクセサリー、カーペットの下に敷く詰め物などの原材料としてシューズをリサイクルするプログラム「Nike Grind」が1992年に開始。この一環として、以前は傷みの少ないシューズもすべて細断されていた。履き古してもはや役に立たないと見なされたシューズにこんな使い道がある一方で、ほぼ傷みがなく、ほんの少し手間をかけてやればよいだけのシューズが大量にあることもReboundチームは把握していた。

何百万足ものシューズを救う、ナイキのリバースロジスティクスミッション

少し傷みのあるシューズは、検査ラインで簡単にお手入れしても水準に達しない場合、修繕に回される。

修繕担当チームの熟練の技術者たちが、日々数千足ものシューズにセカンドチャンスを与えている。

修繕に回す

Nike Refurbishedは、廃棄されていたかもしれないシューズを救うプログラムだ。これまでに225,000足を超えるシューズをNikeストアに送り返し、割引価格で販売している。

「Nike Refurbishedは私たちにとって、商品に再び命を与え、生まれ変わらせるようなものです。きれいにして、新品同様の見た目にし、再び市場へと送り返すのです」

ヴァレリー・ナッシュ
インバウンドオペレーションマネージャー

「Nike Refurbishedは私たちにとって、
商品に再び命を与え、生まれ変わらせるようなものです。
きれいにして、新品同様の見た目にし、
再び市場へと送り返すのです」

ヴァレリー・ナッシュ
インバウンドオペレーションマネージャー

最初の検査で簡単にお手入れしても水準に達しない場合、Reboundチームのメンバーはそのシューズを専用ボックスへ。そのまま広いベルトコンベヤーですばやく運ばれ、修繕の本部になっている倉庫内の保管場所に送られる。

そこでは熟練の技術者のチームが傷みの少ないシューズを迎え、見事に連携して処理にあたる。

「どれひとつとして同じシューズはありません」と言うのは、サステナビリティプロセスマネージャーのファビアン・ガルシアだ。「ですから、さまざまな道具を使い、できる限り元の状態に近づけられるようにしています」

熟練の技術者たちが、日々数千足ものシューズにセカンドチャンスを与えている。スワイプして、このプロセスの詳細を見てみよう。

何百万足ものシューズを救う、ナイキのリバースロジスティクスミッション

検査ラインからシューズを抜き出して修繕するプロセスは2021年に始まった。現在までに225,000足を超えるシューズが
店舗に戻されている。

どの作業スペースにも、雑巾、ブラシ、しみ抜き剤、消毒スプレーなどがそろい、ソールに食い込んでしまった小石を取り除くための各種ピックまで存在する。技術者たちはこういった道具を巧みに操って、返品されたシューズの汚れを落とし、磨き、スプレーを吹きかける。こうして、誰かのコレクションに加えてもらえるような新品同様の状態に戻していくのだ。

作業が済んだら、技術者からチームメイトにシューズをバトンタッチ。そこから仕分けを経てボックスに入れられ、ストアへと配送される。

アウトバウンドオペレーションマネージャーのアンソニー・クラークはプログラムを次のように説明。「50フィートのトレーラーが高速道路を走っているのを見たことがありますか?トレーラー1台にはシューズ約5,000箱を積むことができます。私たちのチームは毎日これほど多くのシューズを修繕し、人々の元へ送り返しているのです」

何百万足ものシューズを救う、ナイキのリバースロジスティクスミッション

検査ラインからシューズを抜き出して修繕するプロセスは2021年に始まった。

次にNikeストアに行ったら、こんなRefurbishedボックスを探してみてほしい。チームの目標は、
このボックスを米国の全店舗に設置することだ。次はあなたのシューズが並ぶかもしれない。

次の目的地は?

トラックトレーラーに修繕されたシューズを積み、米国内の限定Nikeストアへ配送。そして「Nike Refurbished」シューズボックスに修繕されたシューズを並べ、「新品同様」、「状態の良い中古品」、「傷あり」などのラベルを付ける。

「これはほんの始まりに過ぎません。目標は、全店舗にNike Refurbishedを設置することです」

アンソニー・クラーク
アウトバウンドオペレーションマネージャー

「これはほんの始まりに過ぎません。目標は、
全店舗にNike Refurbishedを設置することです」

アンソニー・クラーク
アウトバウンドオペレーションマネージャー

その目標を達成するのは、そんなに遠い先のことではないかもしれない。「このプログラムを3店舗で始めたのは2021年の初めのことでした」とファビアンは言う。「1年後、修繕したシューズの送付先は30店舗に増えました。現在能力を増強中です。北米のサプライチェーン全体で、在庫に入れられない商品の処理量を増やす予定です」

考えてみてほしい。次にあなたが返品したシューズが、Reboundチームが今年処理する予定の数百万足に加わり、誰かの新たなお気に入りの一足になるかもしれないのだ。

何百万足ものシューズを救う、ナイキのリバースロジスティクスミッション

詳細については、Nike.com/Sustainabilityにアクセスし、Nikeの取り組みの各ステップと、二酸化炭素排出ゼロと廃棄物ゼロを同時に目指す新たな取り組みをチェックしよう。
*日本オフィスでの展開は現在未定です。

写真:アリエル・フィッシャー
文:レベッカ・クーリッジ

公開日:2022年4月20日

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