葉物野菜を美味しく食べるコツ

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体に良い葉物野菜を美味しく食べよう。プロ顔負けのレシピをチェック。

最終更新日:2021年7月6日
エキスパートが紹介する、緑色の葉物野菜のおいしい食べ方

「野菜を食べなさい」と言われたら、夕食の席で口うるさく言われた子供時代を思い出す。そんな人がいるのも無理はない。でもあなたの両親や祖父母の世代が、長年言い続けてきたことには一定の裏付けがある。

あまりにも多くの研究によって、葉物野菜は心臓血管、免疫、骨の健康を増進することが証明されてきた。そう述べるのは、ゲイリー・ソファー医学博士(イェール病院統合医療専門家)だ。また葉物野菜には抗酸化作用のある栄養素も豊富に含まれており、健康上多くのメリットがある。これはグレーター・ボルティモア・メディカルセンターのジョナサン・ヘネシー氏(家族医療担当オステオパシー専門医)による指摘だ。

とはいっても、病気を防ぐことだけが健康という訳でもない。考えてみて欲しい。体の調子が良いときは、病気の事なんて考えもしないはずだ。それよりも知りたいのは、幼いころに喉を通らなくてこっそり犬にあげた(もう時効だろう)あのほうれん草のことだ。ほうれん草が、実際にトレーニングで大きな目標を達成するのに役立つのだろうか。

プロテインの摂取量とは関係なく、葉物野菜が筋力に影響を与えることもある。

The Journal of Nutrition

サラダに関する新しい科学的知見

「筋肉を作る栄養素は?」と聞かれれば、あなたはおそらく「プロテイン(蛋白質)」と答えるだろう。正しい答えだ。しかし学術誌「The Journal of Nutrition(栄養ジャーナル)」に最近投稿された論文によると、葉物野菜の摂取が筋力に影響を与えることもある。しかもプロテインの摂取量とは無関係だという。

一体どういうことだろう。認定栄養士のライアン・アンドルーズ氏(Precision Nutrition主任栄養士兼アドバイザー)によると、ケール、ルッコラ、ホウレンソウ、キャベツ、スイスチャード、レタス、ビートの葉などの葉物野菜には、硝酸塩と呼ばれる化合物が含まれている。硝酸塩は体内で一酸化窒素に合成され、それが血管の働きを良くする。さらに具体的には、血流が良くなることで栄養素と酸素の流れが良くなり、老廃物の排泄が促進される。論文を書いたマーク・シム博士(エディスコーワン大学健康医療科学部博士研究員)いわく、トップアスリートでなくとも野菜を食べることが体力増強や回復力につながるのは、こうした血管機能の促進作用があるからだという。

日常的に葉物野菜を摂ることで、消化器官も元気になる。胃腸系(消化器官)には善玉、悪玉を含めて無数のバクテリアが常在している。このバクテリアが体重、血糖値、脳の健康などにも影響を与えるとシブ・デサイ博士(オースティン・ガストローエンタロロジー消化器専門医)は説明する。葉物野菜には善玉菌の成長を促す糖の一種「スルホキノボース」も含まれており、腸内環境を改善してくれることがわかった。これは微生物生態学の学術誌「The ISME Journal(ISMEジャーナル)」の掲載論文で詳解されている。

こうしたメリットがあっても、一般的に推奨される1日5杯相当の野菜を摂取しなければ意味がない。だが実際に、そんな量の野菜を食べている人はほとんどいないとアンドルーズ氏は言う(シム博士のメモによると、1日に葉物野菜を1杯以上摂っていれば、硝酸塩の効果は得られる)。ちなみにこの1杯とは、生野菜の場合は2カップ分(熱を通している場合は1カップ分)に相当する量だ。欲を言えば、1日5杯を目指したい。ただし食物繊維の消化が体の負担にならないよう、2日で10杯以下に抑えるのがアンドルーズ氏からのお勧めだ。

エキスパートが紹介する、緑色の葉物野菜のおいしい食べ方

葉物野菜の摂取を習慣化

理屈は理解できただろうか? それでは、野菜を新しい食生活に取り入れるためのヒントを紹介しよう。

1. 何事も準備が大事

水を入れた大きめのボールに葉物野菜を浸し、両手で優しく揺らして汚れを落とす。アンドルーズ氏によると、野菜は洗浄済みのものでも処理の過程で汚れやすい。次に、サラダスピナーで余分な水分を飛ばす。スピナーは野菜を日常的に摂りたいなら買って損はない道具だとアンドルーズ氏は請け合う。次にスピナーごと冷蔵庫に入れる(収まらなければ別の容器へ)。これで、いつでも野菜を調理したり生で食べることができる。

2.「小さく」考える

アンドルーズ氏によると、苦味のある野菜を敬遠する人が多い。苦味を避けるには、まだ小さくて新鮮なものを選ぶとよい。若いうちに収穫されているので、味も繊細だという。サラダとして生で食べても、何かを巻いても、あるいは調理した一品に振りかけてもよい。

歯触りが気になる人は、細かく刻むとよい。これもアンドルーズ氏のアドバイスだ。好きなスープ、シチュー、カレーなどに、刻んだ野菜を入れよう。慣れてきたら刻み具合を徐々に粗くしていけばいいが、もちろんそれはあなたのお好み次第。

それでも野菜が苦手な人は、ミキサーを使おう。スムージーにすれば、野菜を意識せずに済む。色々な葉物野菜(ホウレンソウ、アブラナ、コマツナなど)をさまざまな方法(生、冷凍、粉末)で試し、野菜が入っていることに気づかないベストなレシピを編み出そう。

3. 手もみの達人になる

ケールをサラダにするときに、マッサージ(手もみ)するのが良いと聞いたことがないだろうか。手もみすると固い葉が柔らかくなり、食べやすくなる(マセレーションと呼ばれる)。こう説明するのは英国イングランドのグロスターシャーに住むジェームズ・デボンシャー氏(オーガニック農場兼デイルズフォード料理学校シェフ兼主席講師)だ。「塩、酸味(レモンジュースなど)、オイルをケールに混ぜてしばらく置くと、マセレーションが自然に始まります。でも手もみすれb,そのスピードを上げることができるのです」とデボンシャー氏。どんな酒類の葉物野菜でも、固めのものを生で食べたい時に有効な方法だ。塩と酸味とオイルを加えて、1分ほど手でもむだけ。

エキスパートが紹介する、緑色の葉物野菜のおいしい食べ方

4. あく抜き

あく抜きとは、基本的にさっと茹でること。風味を残しつつ、苦味を取り除くのに欠かせない下準備だ。

まず、洗った野菜を沸騰したお湯に1、2分入れる。すぐに引き上げて水を切れば、栄養素が溶け出すのを防げる。同時に、茹で野菜にありがちな無味乾燥さも避けられるとアンドルーズ氏は説明する。

5. 正しく蒸す

下茹で以外には、蒸すという手もある。野菜は蒸すと美味しさが増す。浅くて大きめのフライパンに野菜、水分(だし汁、ココナッツミルク、低塩醤油など)、調味料を入れて蓋をする。水分の量は、アブラナやコラードのような固めの野菜なら多めに。ホウレンソウのように水分が多くて薄い野菜なら少なめにする。弱火でじっくりと15-30分かけて蒸す。初めは少量の水分で始め、足りなくなったら注ぎ足すとよい。これもアンドルーズ氏のアドバイスだ。

6. 味を調える

準備が整ったら、調味料の出番だ。火を通す場合にも、生で食べる場合にも基本となるのは「甘味+酸味+塩味+旨味」だとデボンシャー氏は語る。甘味には艶のあるバルサミコ酢、酸味にはレモンジュース、塩味には、もちろん塩(アンチョビや少量のベーコンでも可)。デボンシャー氏いわく、野菜用の旨味ならパルメザンチーズが王者だ。


自作レシピに気乗りがしない人のために、デボンシャー氏は簡単なソースを提案している。作り方は、唐辛子、にんにく、アンチョビをフライパンで炒めるだけ。アンチョビの油も使うので、オイルの追加は不要だ。手もみした生野菜に振りかければパンチのあるサラダになるし、野菜をフライパンに入れて軽く炒めてもいい。プロ級の味をお試しあれ。

文:ジュリア・マラコフ
絵:グラシア・ラム

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公開日:2021年7月9日

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