マスク着用でのトレーニング効果を最大限に引き伸ばすヒント

Coaching

フェイスカバーを着用していても、息切れせずにトレーニングすることは可能だ。

最終更新日:December 21, 2020
フェイスマスクをしたままワークアウトを行う方法

感染症対策で閉鎖していたジムが、ようやく再開となった。そんな時、ランニングマシンやトレーニングベンチにマスク着用者がいると、過剰反応だとか、心配し過ぎだと感じる人もいるだろう。現在、大型スポーツジムチェーンをはじめとする多くの場所では、屋内にいる時間を通してフェイスカバー着用が求められる。面倒なルールだが、効果的な対策であることは間違いない。公共の場でのマスク着用は、ウイルスを含有した飛沫が空気中や物の表面から感染を広げないようにブロックしてくれる。全体として、ウイルス汚染のリスクを低減できることはさまざまな研究から実証済みだ。

「室内でのトレーニング中にマスクを着用することは、浮遊微小粒子がジムに広がるのを抑える重要な効果があります。私たちは休憩中でも毎秒250mlの息を吐きますが、激しいトレーニングでは毎秒約3000mlにも増えてきます。しかも息を吐く力も量もはるかに強くなるのです」と語るのは、教育学博士のアメリゴ・ロッシ助教(ロングアイランド大学健康・運動生理学)。つまり、知らないうちに感染させてしまう確率もそれだけ高くなる。

「室内でのトレーニング中にマスクを着用することは、浮遊微小粒子がジムに広がるのを抑える重要な効果があります」

アメリゴ・ロッシ教育学博士
(ロングアイランド大学健康・運動生理学助教)

ロッシ博士が提案する安全策は、普段から可能な限り互いに3.5m以上の物理的距離を確保すること。そして、常時マスクを着用すること。マスクの常時着用が難しいと感じる場合は、以下のヒントを読んで呼吸のコツをつかんでみよう。

フェイスマスクをしたままワークアウトを行う方法

1.マスクは空気を通すものだと信頼する。
サージカルマスクやコットンマスクを付けて少し動くだけで、マスク着用でのトレーニングが息苦しいものだとわかるだろう。だがこの息苦しさは、酸素を奪われているからではない。マスクをしたまま汗をかくと、中核体温が上昇する。そして体からの放熱をマスクが捕らえてしまうのである。これによって、効率的な体の冷却を妨げられるのが息苦しさの原因だ。そう解説するのは、クリストファー・ランドストロム博士(ミネソタ大学スポーツ・運動生理学)。マスク着用だけで体がオーバーヒートすることはないが、脳が体温上昇を感知して体の動きが鈍くなるのだという。そのためトレーニングを負担に感じやすくなるが、体調に注意を払いって、蒸し暑い中で無理をしなければ問題はない。

それでもまだ心配なら、息苦しく感じる原因を知っておこう。「普段息を吐くと、かなり直線に近い方向に放出されるので、息をしっかりと吐いた感触が得られます。しかしマスクをしていると、吐いた呼気が両側に流れて顔中に広がるので、余計に息苦しさを感じやすくなるのです」とロッシ博士は話す。

2.休憩時間を長めに取る。
「運動中のマスク着用に慣れはじめた頃は、呼吸が正常に回復してトレーニングが再開できるまでに少し時間がかかるかもしれません」とランドストロム博士は語る。そんな場合は、やや高めの息苦しい温度に心身を慣らす必要がある。ランドストロム博士が提案するのは、通常の休憩時間を1.5倍に増やしてみること(通常の回復時間が1分なら、1分30秒に延ばす)。誰かと会話するのも良い目安になる。無理なく話せるようになったら、トレーニングを再開してもOKだ。

ランニングマシンやサイクリングマシンなどで一定強度のトレーニングを続けている場合も、めまいを感じたらアクティブリカバリーの休憩をとるため躊躇せずにペースを落とそう。「それはマスクを異物と感じることによって、無意識のうちに通常の呼吸パターンが変わったサインかもしれません」とロッシ博士は言う。

3.腹式深呼吸を意識する。
呼吸パターンについてのヒントをもう少し。「十分空気が取り込めないと感じる時、呼吸は浅くなっています」とロッシ博士は説明する。主に胸と首の筋肉に負担がかかる呼吸困難は、不必要に心拍数を上げて不安神経症や疲労感を引き起こしてしまう。そうなるとリラックスして血液循環を向上させるのが難しくなるだけでなく、運動強度が高めに自覚されるためにトレーニングの疲れを感じやすくなる。早々に止めてしまいたくなるのはそのためだ。運動中に呼吸が乱れてパニックにならないように、呼吸を数えていつも一定状態に保てるよう努めよう。2〜3秒間息を吸い、同じ秒数で息を吐いてみるのがおすすめだ。

トレーニング間やトレーニング後の休憩時には、「腹式呼吸」として知られる横隔膜呼吸で体全体をリセットしよう。鼻からゆっくり息を吸い込んで腹部をふくらませ、徐々に息を吐きながら腹をへこませる。短い時間でリセットできる呼吸法だ。

4.予備のマスクを携帯する。
汗をかき、息を吐く時にも湿気が生じるので、フェイスカバーの下はかなり蒸れてしまう。「マスクが全体的に蒸れていると、呼吸が難しくなります。多孔質であるマスクの特性が失われ、酸素と二酸化炭素の適正な交換が妨げられることもあるからです」とランドストロム博士は言う。ならば、どうすればいいのか。トレーニングの際にマスクを2つ携帯し、一方が蒸れてきたら、もう一方の乾いたマスクと交換すればいい。トレーニング用のバッグに、いつでも予備のマスクを複数枚入れておくのが賢明である。

マスク着用の生活が、すぐに終わることは期待できない。だがマスクを着用したままトレーニングする負担は、徐々に軽減させることもできる。他のトレーニングと同様に、体がいずれ順応していくからだ。そんな確信が持てないというなら、できるだけ屋外でトレーニングしよう。大自然なら物理的距離が取りやすい。誰もいなければマスクを外せるし、安全も十分に確保できるだろう。

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