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筋膜炎から足を守る方法

筋膜炎になると、数か月間ランニングが中断される恐れがある。どうすれば防げるか、その方法を紹介しよう。

最終更新日:July 21, 2021
足底筋膜炎の予防と対策

ランナーなら、足底筋膜炎について聞いたことがあるだろう。堅苦しい言葉だが、平たく言えば足の痛みだ。まだ経験したことがない人は、かかとからつま先にかけて足裏に走る、突き刺すような痛みを想像してほしい。もし経験者なら、ご存じのとおりだ。だがせめてこの症状が起こる理由を説明して、できれば二度と経験しないですむようにお手伝いしたい。

足底筋膜炎が起こる理由

生物の簡単な講義をしよう。両足の中央には足底筋膜と呼ばれる強靭な帯状の組織が広がり、土踏まずをサポートしている。この筋膜は、歩いたり走ったりするたびに毎日数千回も伸縮を繰り返し、一定の範囲内であれば優れた耐久性を発揮する。そう語るのは、運動生理学、クロストレーニング、外傷予防の専門家であるオハイオ大学のイアン・クラインだ。「一定の範囲内」という言葉に注目したい。ニューヨーク大学ランゴーン医療スポーツパフォーマンスセンターに勤務する、理学療法士にして整形外科の臨床専門医であるケイト・ヴァンダムによれば、トレーニングの量が多すぎる、走る距離を急に増やす、あるいは回復のための休養日を設けないといった過度のストレスによって、組織が危険な範囲まで伸張してしまう可能性があるという。炎症や断裂につながる恐れもある、とクラインは説明する。

これは初心者だけの問題ではない。クラインは、足底筋膜炎は熱心なベテランランナーにも起こり得ると指摘する。生体力学の問題、たとえばストレッチ不足でふくらはぎの筋肉が短縮したり、足底筋膜を引っ張る親指がハードなランニングでこわばっていたりすると、それも症状の原因となる場合がある、とヴァンダムは付け加える。偏平足や、逆に足裏のアーチが高い人、仕事で立ちっぱなしの人、ハイヒールをよく履く人もリスクが高いと彼女は言う。

トレーニングの量が多すぎる、走る距離を急に増やす、あるいは回復のための休養日を設けないといった過度のストレスによって、組織が危険な範囲まで伸張してしまう可能性がある。

ケイト・ヴァンダム
理学療法士

筋膜炎を防ぐ方法

とにかく、突き刺すような痛みを感じたらすぐに炎症の治療に取り掛かろう。「これは警報フェーズです」とクラインは語る。甘く見て無視すると、数週間あるいは数か月もの間、動けなくなる恐れがある。対処方法は次のとおりだ。

  1. 2日間安静にして経過を観察し、足を休ませて冷やすといい、とクラインは言う。その間に炎症や痛みが治まり、立ち上がって歩ける、そして立ったまま日常的な活動をこなせるようになれば、軽いランニングを再開してもいいかもしれない。
  2. 2日間で痛みがひどくなったり、しつこく残ったりするようだったら、痛みを感じる足にできるだけ体重をかけないようにしよう。クラインは「炎症や痛みをほとんど、あるいはまったく感じなくなるまで続けてください」と言う。足裏に徐々に圧力をかけていき、運動の習慣を維持するために、水泳やフィットネスバイクなど体重をかけずにできるクロストレーニングを試すことにしよう。
  3. 首尾よく警報フェーズから抜け出せたら、足と足首を強化するエクササイズや、可動域と柔軟性を高める運動を開始しよう。たとえば、つま先上げや足の柔軟体操、タオルストレッチだ。Googleでの認定理学療法士の動画を検索してみよう。ヴァンダムは「ふくらはぎの2つの筋肉、腓腹筋とヒラメ筋のストレッチもおすすめです」と助言する。腓腹筋を伸ばすには、手のひらを壁につけて、片足を後ろに引いて前脚の膝を曲げ、ランジのような姿勢で後ろ脚をまっすぐな状態にキープする。ヒラメ筋を伸ばすには、前脚の膝を曲げたまま、後ろ脚の膝を少しだけ曲げるといい。
  4. さらに丁寧にケアしたい人は、理学療法士の手技療法により、足首や足中央部の関節の動きや柔軟性を改善できる、とヴァンダムは言う。こうした軟部組織のリリースは、ラクロスボールや凍らせたペットボトルを足の裏で転がせば自分でも行える、と彼女は付け加える。
  5. 特にひどい症状であると理学療法士やスポーツドクターに告げられたときは、ナイトスプリントが有効な場合もある。「眠っている間、足は丸まっているので、組織は自然と縮んだ状態になっています」とクラインは言う。朝起きてベッドから出るときに足底筋膜炎の痛みが最も激しくなりがちなのはそのためだ。クラインは「スプリントを装着すれば足は伸ばした状態に保たれるので、起きたときに縮んでおらず、圧力をかけやすくなります」と説明する。

炎症を起こした足で長い距離を走ること以外で、避けるべき事とは何だろう?自分で足をストレッチすることだ。「炎症を起こすと、足底筋膜の組織は縮んで、組織とかかとを守って癒やそうとします。通常のストレッチが症状を悪化させる可能性があります」とクラインは言う。

足底筋膜炎の予防と対策

完治に要する時間

足底筋膜炎の治療方法は人それぞれだが、当然ながら処置は早ければ早いほど良い、とクラインは言う。「痛みが出たその日から対処し、1か月ほどの短期間で全快した人もいます。逆に、痛みを抱えたまま処置を怠ってランニングを続けると、完治まで3-4か月間の安静が必要になる可能性もあります」しかし、それだけですむとは限らない。問題の解決には半年程度かかるケースも多いという研究結果も示されているのだ。

だが回復を待つ間、片隅にスニーカーをしまいこんでランニングを諦めなければならないわけでもない。トレーニングの量を減らしてこれまで説明したような筋力トレーニングやふくらはぎのストレッチを行えば、走ることもできるとヴァンダムは言う。痛みが続く場合は整形外科医に相談しよう。「正しい処置を施しても治らないときは、疲労骨折や他の部位からの放散痛などの疑いもあります。足底筋膜以外の疾患ではないか確認しましょう」とヴァンダムはアドバイスする。

シューズ選びが重要な理由

足底の痛みに対処して本格的な筋膜炎の発生を防ぐためには、シューズに着目しよう、とヴァンダムは言う。歩いているときや走っているときに、土踏まずをサポートして衝撃を吸収するのが足底筋膜の役割だ。だから土踏まず側に硬めのミッドソールがあり、外側に軽量で柔らかいフォームを搭載した、安定性に優れたシューズがおすすめだ。そのようなシューズなら、最大限に衝撃を吸収して、オーバープロネーションを抑えることで足底筋膜炎を防止できる。サポート性能を備え、安定性とヒールのクッション性に優れたシューズを選ぶようにしよう。他のシューズより重いかもしれないが、筋膜炎を防止できるのならその価値は十分にある。

ランニングフォームが果たす役割

気づいていないかもしれないが、アマチュアランナーの多くは体のかなり前で足が着地する、いわゆるオーバーストライドで走っている。そう指摘するのは理学療法士の資格を持つNikeパフォーマンスカウンシルのメンバー、デレク・サミュエルだ。ランニング中、友人に横から撮影してもらえば確認できる。前足が体の前に出ていればオーバーストライドであり、かかとはブレーキのように作用している。オーバーストライドは足底の問題を引き起こすだけではない。膝下部分が吸収する地面からの衝撃が大きくなるため、スピードダウンの原因にもなるとサミュエルは言う。

「トップクラスのアスリートを見てみてください。重心の真下にかかとを着地させ、脚は地面に対して垂直になっています」と語るサミュエル。こうすることで、プロアマ問わずすべてのランナーが速く効率的に動けるのだという。この効果を得るため、やや前傾姿勢をイメージし、1分あたりの歩数を増やすよう、サミュエルは患者にアドバイスしている。


足は、体の中で際立ってクールな魅力を放つわけでもなく、特別なケアが必要とは感じられないかもしれない。しかし、ある意味ではランニングのスタート地点でありゴールでもある。足を十分にいたわれば、今後、筋膜炎という恐ろしい言葉を口にせずにすむかもしれない。

文:アシュリー・マテオ
絵:グラシア・ラム

足底筋膜炎の予防と対策

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