ニュートラルプロネーションで走るには

Coaching

着地時にかかとが内側に傾きすぎてしまうオーバープロネーション。逆に外側に傾きすぎてしまうサピネーション。けがにつながる可能性のある走り方を改善する方法をチェック。

最終更新日:July 21, 2021
プロネーションがランニングに及ぼす影響

自分がよく履くシューズを見て、「どうして片側がこんなに歪んでいるんだろう?」と思ったことはないだろうか。これは、歩くときや走るときに足が内側に倒れ込んだり(オーバープロネーション)、足の外側の端に体重がかかる(アンダープロネーションまたはサピネーション)ことによって発生している。

どちらの傾向も本質的に悪いものではないが、走りをレベルアップするために、意識しておく価値はある。その理由を以下に説明しよう。

プロネーションの意味

誰の足にも、ある程度の回内や横方向の柔軟性は必要である。走るとき、地面を蹴る足は、自然に内側へ傾いて回内位となり、地面から離れた足は、外側へ傾いて回外位となる。こう語るのは、ニューヨーク大学ランゴーンヘルス・スポーツパフォーマンスセンターの理学療法士で整形外科学臨床専門医であるケイト・ヴァンダム。この移行が足の機敏な動作を生み、起伏のある道を走りやすくしていると、ランナーの下肢傷害を専門とする理学療法博士のリー・ウェルチ(The Running PTsの共同所有者でもある)は語る。最も重要なのは、「これが力を吸収して、身体を傷つけないようにしている方法である」ということだ。

足が内側や外側へ過剰に傾くと、プロネーションの自然で中立的な動きはリスクのあるものに変わる。ランニング中は地面を蹴るたびに足に体重の6倍の力がかかるため、オーバープロネーションやサピネーションがある場合は、身体が受けた衝撃が適正に分散されず、怪我をする可能性が高くなるのだ。

オーバープロネーションの問題点

足首が倒れた状態で走ると、素晴らしいフォームを生み出す体勢を作れないのは当然である。まず、この走り方ではすばやく足を地面から離すことができない。つまり、足が地面と接する時間が長くなり、足を上げるのに多くの力が必要になるのだ。「オーバープロネーションの人は、膝が内側に傾き、腰が反対側に落ちてしまうなど、体全体のあちこちが傾きがちです」ヴァンダムは語る。

それに加え、足が内側に傾けば、大腿骨と脛骨もさらに内側へ回旋するとウェルチ氏は言う。足の親指の骨格が不安定な状態になると、足底筋膜炎、腸脛靭帯炎、梨状筋症候群、膝関節痛、脛骨過労性骨膜炎を引き起こす可能性があり、これらすべてが、試合の欠場を余儀なくされるような、回避したい怪我に発展する可能性があると彼は指摘する。

プロネーションがランニングに及ぼす影響

アンダープロネーションの欠点

これとは逆のアンダープロネーションの場合も、体によいことはあまりない。アンダープロネーションやサピネーションでは、足の関節が衝撃を吸収するように動かず、体重の大部分が足の外側の端にかかってしまう。これが脚を外側に湾曲させる原因になる場合があるとヴァンダムは言う。「この状態で着地すると、あらゆるものがさらに硬くなります」。関節がランニングで生じる衝撃を吸収しないため、骨が衝撃を吸収しやすくなり、疲労骨折や治りにくい怪我を招いてしまうと彼は説明する。

「プロネーションは、衝撃を吸収して怪我を防ぐ身体機能なのです」

リー・ウェルチ
理学療法博士

歩き方を確認する方法

体に痛みを感じる場合は、トレッドミルを使った歩行分析を理学療法士に依頼してみよう。分析結果はもらったけれど、セカンドオピニオンがほしいと思うなら、ランニングシューズが買える店へ行くとよい(歩き方を見てくれるのは、医療系の資格を持たない店舗スタッフである場合が多いので、フィードバックは参考程度に受け取ろう)。また、普段よく履いているランニングシューズを見ることで自己診断もできる。前足部とかかとのいずれか、または両方のソール内側の端が特に擦り減っている場合は、オーバープロネーションの可能性が高く、ソール外側の端が擦り減っている場合は、アンダープロネーションの可能性が高い。

それでも不確かな場合は、シューズを平らな面に置いてみよう。内側に傾くならオーバープロネーション、外側に傾くならアンダープロネーションである。

オーバープロネーションまたはアンダープロネーションの動き

まずは、やってはいけないこと:プロネーションの癖をなくしたいからと言って、自然な歩き方を修正しない。ある時点でフォームを意識するのは良いことだが、自分の走り方は自分の走り方なので、変えることにこだわりすぎると、自分のランを乱してしまう恐れがある。Nikeグローバルランニングのシニアディレクター、クリス・ベネット(コーチ・ベネット)はそう語る。

代わりに、自分のシューズをチェックしよう。走り方を変えなくても、ランニングテクニックを改善して怪我のリスクを減らすことができる。オーバープロネーションの傾向があるなら(こちらの方が一般的)、安定感のあるシューズを検討してほしいとウェルチは言う。土踏まず側のミッドソールを硬めにして、サポート性を高めているため、足が著しく傾くことは少ない。アンダープロネーションの場合は、クッション性と衝撃吸収性に優れたシューズを選べば、ストレスに関連した怪我を減らせる可能性がある。『British Journal of Sports Medicine』で発表されたレビューによると、シューズの履き心地が快適であれば、怪我のリスクを減らせる可能性は高くなるという。

シューズ以外にも(プロネーションの問題を解決するわけではないが)、足の筋肉を鍛えたり(足の親指を上げてみよう)、足や足首の動きに働きかけたりすると(ふくらはぎにフォームローラーを使ってみよう)、少なくとも問題を緩和することはできるとウェルチは言う。

時間をかけて、よりニュートラルに走れるようになることが理想的だが、そうならなくても、繰り返し怪我をしなければ心配はいらない。落ち着いて注意深く走るのが何よりだ。

文:アシュリー・マテオ
イラスト:ライアン・ジョンソン

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