ランジで鍛えられる筋肉はどこ?

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ここでは、ランジという下半身の運動で主に鍛えられる筋肉について、運動生理学者が解説する。

最終更新日:2022年10月31日
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ランジで鍛えられる筋肉はどこ? 運動生理学者が解説

ランジは筋力トレーニングプログラムの中でもおなじみのエクササイズと言えるだろうが、これにはもっともな理由がある。 さまざまな筋肉を鍛えられるうえ、片脚ずつ動かすので、バランスの向上にも役立つのだ。

「ランジは片足立ちに必要な筋力の強化に最適。スクワットやデッドリフトなど両脚で行うエクササイズでは気付かないかもしれない左右の違いを認識し、改善する効果が期待できます」と話すのは、C.S.C.S.(認定ストレングス・コンディショニングスペシャリスト)の資格を持つ運動生理学者、ジェイソン・マホフスキー氏。ランジは片側ずつ取り組むエクササイズなので、バランスの改善にも役立つと付け加える。

(関連記事:サイドランジについて:メリットとテクニック、バリエーション

さらに、ランニング、ウォーキング、スプリントで動かす関節(股関節、膝、足首)はすべて、さほど激しい動きではないにしても、ランジで動かす筋肉と同じだ。だからランジは効果的なエクササイズになる。 『Journal of Strength and Conditioning Research』で発表された、サッカー選手を対象とする2009年の研究では、ランジを筋力トレーニングのルーティンに取り入れると、フィールドでのスピード、パワー、敏捷性の向上につながる可能性があることが示された。

ではここから、ランジで使う筋肉と、各バリエーションで最も鍛えられる筋肉について説明しよう。

フォワードランジで鍛えられる筋肉はどこ?

フォワードランジでは、エキセントリックの動作(筋肉を伸ばして腰を落とす)とコンセントリックの動作(筋肉を縮めて腰を持ち上げる)において、次の筋肉を使うとマホフスキー氏は説明する。

  • ハムストリング:マホフスキー氏によると(研究でも証明されている)、ランジの動きで脚を伸ばして腰を持ち上げる際は、ハムストリングなど、主に脚の後ろ側の筋肉を使う。 「大臀筋やハムストリングの使い方が甘くなり、大腿四頭筋に過剰に力が入りがちな人もいます」と同氏は話す。
  • 大臀筋:大臀筋は、ランジのコンセントリックの動作、つまり立ち上がるときに鍛えられる。 少し前傾すると大臀筋にさらに負荷がかかり、上体をまっすぐにすると大腿四頭筋を鍛えられることが、研究で明らかになっている。
  • 大腿四頭筋:大腿四頭筋は、ランジのエキセントリックの動作とコンセントリックの動作の両方で主な原動力になるもう一つの筋肉だ。前の脚の膝を前方に出すほど(あるいは前述のように上体を直立させた場合)、大腿四頭筋に効くのが実感できるだろうとマホフスキー氏は言う。
  • 股関節外転筋群:この筋群(中殿筋、小殿筋、大腿筋膜張筋から成る)は、骨盤や体幹を安定させて直立姿勢を保つ役割を担う。 特に、ランジのような片脚ずつの運動で鍛えられることが、研究で証明されている。
  • ふくらはぎ:ふくらはぎは、ランジの腰を上げ下げする動作で両足を安定させる役割を果たすとマホフスキー氏は説明する。
  • コア:腹横筋、腹斜筋、腹直筋、脊柱起立筋、多裂筋のすべての筋肉が、ランジでコアを安定させる役割を担う。 ただ、マホフスキー氏によれば(研究でも示唆されている)、ここで重視されるのはコアの筋力強化より安定性の向上だという。 つまり、必ずしもランジでコアが鍛えられるとは限らない。

内転筋群:股関節外転筋群と同様、太ももの内側に位置するこの筋群も、片側の運動で安定性を保つ役割を果たす

ランジ各種で鍛えられる筋肉

マホフスキー氏によると、通常はどのランジのバリエーションも、前述の筋肉や筋群がターゲットになるとのことだ。 とはいえ、ランジの種類によって鍛えられる主な筋群が多少異なる。

たとえば、サイドランジは、前後方向の矢状面ではなく左右方向の前額面の動作になる。 全米スポーツ医学協会(National Academy of Sports Medicine)の説明によると、前額面の運動は一般的に、外転および内転の動きに重点を置くため、サイドランジやカーツィランジでは、股関節の外転筋群と内転筋群に高い効果が見込める。 サイドランジは、通常のランジ、リバースランジ、カーツィランジよりもコアを鍛える効果がわずかに高い傾向があることを示唆する研究結果もある。

また別の研究では、リバースランジは、フォワードランジよりもハムストリングと大臀筋への負荷が多少大きくなるので、膝に痛みがある場合に安全に取り組める運動の選択肢になると述べられている。

文:ジュリア・サリバン(A.C.E.認定トレーナー)

公開日:2022年10月31日

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