コーチング

自分を鼓舞してベストパフォーマンスを出す方法

現実的な視点からポジティブなセルフトークをすると過度にポジティブにならずに済み、程よく自分を鼓舞できる。今日から実践してみよう。

最終更新日:June 24, 2021
パフォーマンスの向上に最も効果的なセルフトーク

意識的にせよ無意識にせよ、誰でもワークアウト中にセルフトーク(独り言)をつぶやくことがあるはずだ。心の中で「君ならできる!」とか「あきらめるな!」と鼓舞するポジティブなものもあれば、「辛すぎる」とか「もう続けられない」といったネガティブなものもある。

お察しのように、ポジティブなセルフトークは、トレーニング体験を高める結果を生む働きがある。健全な自分のイメージ作りに役立つだけでなく、パフォーマンスを高める効果もあることが、ジャーナル『Perspectives on Psychological Science』で発表されたメタ分析により明らかにされた。自分に話しかけて鼓舞することは(特にイメージ化と目標設定も行う場合は)、身体的な持久力を大幅にアップさせる働きがあることがジャーナル『Sports Medicine』のレビューで報告されている。また、ワークアウトの辛さが軽減するように感じられる可能性も、ジャーナル『Medicine & Science in Sports & Exercise』の研究で示唆されている。特に、気持ちに寄り添った言葉を発すると、エネルギーの高まりと心拍数の低下につながることがジャーナル『Clinical Psychological Science』の研究から明らかになっている。

とはいえ、ポジティブなセルフトークと大げさなセルフトークとの間には微妙な境界線がある。後者はあまり現実味がないように感じられるので、逆効果になることがある。「ポジティブなセルフトークが心の中に響かないなら、何もつぶやかない方がましです」と語るのは『Life as Sport: What Top Athletes Can Teach You About How to Win in Life』の著者であり、スポーツ心理学者のジョナサン・フェイダー博士だ。「自分に過大な約束をして、それを達成できなかったら、自己効力感や自分の能力に対する自信が喪失してしまいます」

「ポジティブなセルフトークが心の中に響かないなら、何もつぶやかない方がましです」

ジョナサン・フェイダー博士、スポーツ心理学者、著書『Life as Sport: What Top Athletes Can Teach You About How to Win in Life』

仮に「絶対に大丈夫!」のような言葉で自分を奮起させて、初めての懸垂に挑戦したり、ウェイトリフティングで前回よりも9kgもウェイトを増やして持ち上げようとしたりして失敗してしまったとしよう。その場合、ウェイトの重量を2kg増やして成功したとしても、自分が達成できなかったという事実のほうにとらわれてしまう可能性が高い。それによって自信が失われ、もう一度トライしようとする気力がなくなることもある、とフェイダー博士は指摘する。

それだけにとどまらず、言葉に熱がこもりすぎていて嘘っぽく感じられるときは、むしろフラストレーションが高まることがある。「心にその言葉がしっくりと響かないときは、ネガティブな感情が沸き起こりやすいのです」カリフォルニア州立大学サクラメント校のアスリート学部で教鞭を執る認証済み臨床スポーツ心理学者のグロリア・ペトルゼッリ博士はそう語る。そうなってしまうと、ワークアウトし続けることが難しくなる。

ワークアウトの継続に役立つセルフトーク方法

「ブリッジステートメント」と呼ばれる方法を提唱する心理学者もいる。2つの相反することの間にブリッジ(橋)を設けることで、自分が想像している内容と実際に体が経験していることの食い違いを和らげる方法だとペトルゼッリ博士は言う。

過去の経験を活かしてポジティブなセルフトークに真実味を持たせる方法もある。たとえば、初めてのハーフマラソンを前にして「前回の10Kマラソンではかなり速く走れたから今回のレースも圧勝だ」ではなく、「今回は自分にとって最長のレースだから時々辛くなるだろう。でもそれに立ち向かう覚悟がある」と自分に言い聞かせる。前者は事実かもしれないが、後者のほうが現状に配慮した言い方だといえる。

ブリッジステートメントが効果的な理由は客観的な楽観主義に根ざしているからであり、現実と矛盾しているわけではないからだ、とフェイダー博士は指摘する。さらに、「楽観的なセルフトークが効果的なのはそれが事実に即している場合のみです」と続ける。事実に反していることを自分に信じさせるのは難しい。ブリッジステートメントは中立的でもあるので、ワークアウトやイベントの前後または最中に、心を広く保ち、受け入れやすい状態にする効果もある。「感情のままに行動するのに対し、ブリッジステートメントは自分がコントロールできること、その瞬間に実行可能なことに自分の意識を誘導することができるのです」とフェイダー博士は付け加える。

ブリッジステートメントの利用方法

  1. 現実に根ざす
    ワークアウトやイベントのために自分に気合いを入れたいなら、根拠のない確信よりも事実に根ざした表現のほうがよい、とフェイダー博士は言う。たとえば、「自分はこのワークアウトをやり遂げたことがある」とか「以前、疲れを感じながらも速く走った経験がある」などの言葉を念じてみよう。「こうした言葉は、必ずしも今回も同じ結果が得られるとは限らないけれど、その可能性は十分あるということを想定しています」とフェイダー博士は言う。また、これには、うまく行かなくなり始めたときに対策を練りやすいという面もあるという。「たとえば、こんなふうに自分に声をかけるとよいでしょう。『半分までやれば気持ちの切り替えができるはず。だから今は呼吸とフォームの維持に集中して、できる限りのことをしよう』」
  2. その場で考える
    ワークアウトの途中で疲れ始めたら、「次の1セット(1マイル)だけを考えよう」というふうに、その瞬間の状況に即して自分を目指す方向に導くような表現をフェイダー博士は勧める。こうした表現は、現在の状況に合っている。反対に、「自分ならできるはずだ!」といった現実にそぐわない表現は、感覚に訴えてこない。例えば、山歩きしているときに山頂を見上げて「わお、どこまで歩いても到達できそうにない」と思えば途方に暮れてしまう、とペトルゼッリ博士は言う。そうではなく、「まずは30分歩いてみて、どこまで行けるか見てみよう」と考えると、現実味が出てくる(そうしたら、もう30分、さらにその先まで歩けるだろう)。
  3. 自分なりの成功の基準を決める
    トレーニングの目的は、一定の時間や重量を達成したかどうかだけではない。「成果にとらわれると、成功か失敗かだけを見てしまいがちです。そうすると成功の確率は50%に感じてしまいます」、とペトルゼッリ博士は言う。そうではなく、ワークアウト後にこのように自問してみよう。「自分は集中を維持できたか?」、「毎日状況が変化する中で自分はどれだけ努力したか?」といった具合に。最終的な結果ではなく、そのセッションで具体的にうまくできたことを振り返ることで、達成感が増し、次のセッションに取り組む意欲が高まる。さらに、自分の中に事実が積み上がり、トレーニングだけでなく人生の他の局面においてもより的確なセルフトークができるようになる。

自分に言い聞かせるなんて(心の中だけだとしても)、変な感じがするかもしれない。どのような表現を使うにせよ、「1週間程度試してみましょう。その後でどのように感じるか見てみましょう」とフェイダー博士は勧める。「まだまだセルフトークの真価を活かし切れないことがよくあるのです」

パフォーマンスの向上に最も効果的なセルフトーク

レベルアップさせよう

エキスパートが提案する考え方、運動、食事、リカバリー、睡眠に関するガイドをさらに見るには、Nike Training Clubアプリをチェック。

パフォーマンスの向上に最も効果的なセルフトーク

レベルアップしよう

エキスパートが提案する考え方、運動、食事、リカバリー、睡眠に関するガイドをさらに見るには、Nike Training Clubアプリをチェック。

関連するストーリー

ワークアウトの途中に休憩を入れよう

Coaching

ワークアウトの途中に休憩を入れよう

エクササイズが免疫システムに及ぼす影響

Coaching

エクササイズが免疫に与える影響

砂糖が体に及ぼす影響

Coaching

糖類の違いを知ろう

リカバリーが免疫システムに及ぼす影響

Coaching

リカバリーが免疫システムに与える影響

バーチャルレースへの心構え

Coaching

バーチャルマラソンを完走するための思考法