OWN THE FLOOR | KYO-KA
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私たちは、もっと自由に踊ろう
それは、自由になるための手段かもしれない。型にとらわれず、自分を表現することができるダンスは、時代や価値観によって日々形を変えながらダンサーたちを「新しい自分」へと導いてくれる。そんな変化の流れの中で、オリジナルの軸を持ち、流麗でしなやかに舞う女性がいる。決して流れに逆らうわけではない。しかし、独自の自由なスタイルで人々を魅了する。
東京の下町で生まれ育ったKYO-KAは、日本特有の文化に由来する佇まいや、指先の所作の美しさを大切にしている。琴の師範代である祖母の影響もあり、幼い頃からそんな美意識に触れてきたという。彼女は今も自身のダンスの中にある「美」を追究し続ける。

ひとつにとらわれない価値観
「私はHIP-HOPというひとつのジャンルにとらわれることなく、もっと柔らかく自由に踊りたいという想いを根幹に持っています。なので、いろんな業界から刺激や影響を受けることがたくさんありました。祖母がお琴の大師範だったこともあり、小さい頃から指先の所作の美しさや着物を着こなしてる姿を間近で見て幼いながらにも『格好いいな』って思っていました。そんな環境から、日本人特有のわび・さびの精神を大切に踊っていきたいと意識するようにしています。
周りからは『女性らしいダンスだね』って言われることが多いんですけど、特に女性らしさを意識しているわけではなくて。祖母から所作を丁寧にしなさいと言われる環境の中で育ち、指先や首の角度をどうしたら見た人がそれを美しいと思うかを考えていたので、自然と女性らしいダンスになっているのかなと思いますね。
何かひとつのことにとらわれず、強さの中に柔らかさを、男らしさの中に女性らしさを、常に緩急を大事にして踊りたい。そんなふうにいつも考えてます。あとは、人によっては激しいイメージや、悪いイメージのあるHIP-HOPダンスを、こんなにしなやかに柔らかく踊れるんだよっていうのをいろんな人に伝えていきたいですね」

「女性らしさ」を解放する
「『女性らしさ』や『男性らしさ』はわざわざ区別する必要もないものだともわかっていますし、ダンスがあるから人種や性別、音楽は関係なく繋がれるということも実感しています。でも、実際HIP-HOPをやっていると『HIP-HOPらしいスタイルだから』スカートを履くなとか、もっとこういう音楽で踊りなさいとか、すごく制限されることが多かったんです。どうして自分がやりたいスタイルで踊っちゃいけないんだろうって悩んだことがたくさんありました。その時から、もっと自分を解放したい、自分の中の『女性らしさ』もちゃんと表現していきたいっていう想いが強く湧いてきたんです。
以前、ダンスバトルやコンテストに出場すること止めていた時期がありました。バトルでは、勝てるスタイルを選ばないと審査員に評価されなかったり、何か新しいことをすると批判されたりして、自分の好きなダンスができないことに思い悩んでしまって。でもその後、自分の大好きなスタイルや音楽で踊った動画をSNSで発信してみると、その音楽のアーティストさんがシェアしてくれたり、いいねって言ってくれる人がたくさんいたりしたんです。ダンス業界だけじゃなくて、世界のいろんな人に認めてもらえることができるんだって思えて吹っ切れましたね」
縛られずに踊るために
「今まで、結婚して出産をしたからダンスを辞めたっていう人をたくさん見てきました。でも、『女性だから』夢を諦めなきゃいけないっていうのは私にとってはおかしいと思います。凝り固まった考え方を少しでも変えて、みんなが思う存分自分の好きなことをできるような考え方がもっと広がったらいいと思います。
ダンスの世界は自由なイメージがありますが、何かと縛られることも多い気がします。でも実際にダンスの世界を狭くしているのはダンサー本人だと思うし、小さい世界で評価し合っているからかもしれません。今では以前よりダンスがもっと身近になって人口も増えてきたので、自由な価値観が広がって、徐々に明るく開けてきたんじゃないかなと思いますし、そんなきっかけを私もこれからつくってきたいです」
KYO-KAは自由なダンスのために踊り続ける。他のダンサーたちのストーリーもチェックしよう。