お腹の脂肪を燃やす方法

健康とウェルネス

なかなか落ちないお腹の脂肪を落とすには、食生活と生活習慣の見直しが必要だ。 お腹の脂肪を持続的に燃やす方法を伝授しよう。

最終更新日:2022年6月30日
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お腹の脂肪を燃焼する方法

脂肪は人間の体に欠かせないものであり、体を機能させるための数々の代謝活動やホルモン活動に関わっている。 しかし、ウエストやお腹の周りに余分な脂肪がつくと、特定の健康状態を引き起こしたり、気分やパフォーマンスが低下したりする。そんなときは生活習慣と食生活をちょっと見直してみよう。お腹についた余分な脂肪を燃やし、元の状態に戻ることができるはずだ。

お腹周りの余分な脂肪に悩まされている? 脂肪は体全体に均等についている場合もあるし、お腹の周りだけに集中していて手足が細い場合もある。 前者と後者では、脂肪のつき方が異なっている可能性がある。 自分についているのがどの脂肪タイプかを知れば、効果的に脂肪に立ち向かうことができる。 では、詳しく説明しよう。

3種類の脂肪細胞

人間の体を輪切りにすると、3色の物体が現れる。これらは脂肪だ。 脂肪細胞には白色、褐色、ベージュがあり、体のどの部分にあるかで必須脂肪、皮下脂肪、内臓脂肪に分けられる。

  1. 必須脂肪:筋肉、神経細胞、骨髄、脳、心臓や肺などの重要な器官に分布しており、 重要な器官の保護、断熱、ビタミン吸収、ホルモン調整などの役割を担う。 米国運動協議会によると、健康な状態を維持するために、男性で全体重の2〜5%、女性で10〜13%必要とされる。
  2. 皮下脂肪:皮膚の直下に蓄えられる白色脂肪。 キャリパー(皮下脂肪計)で脂肪を測定するときの白い脂肪がこれ。 皮下脂肪は「つまめる」脂肪だ。 皮下脂肪がついているのは正常であり、健康な証拠である。 体を保温したり、外傷や衝撃を和らげて組織と臓器を保護したり、予備のエネルギー源として機能したりする役割を担う。 食べ過ぎや運動不足などでエネルギーの過剰摂取が長く続くと体に蓄積するタイプの脂肪でもある。
  3. 内臓脂肪:皮下脂肪とは異なり、皮膚の下ではなく腹腔内に蓄積する。 深い場所にあり、主な臓器を包み込むゼリー状の脂肪だ。 臓器同士のスペースを埋めるために、少量の内臓脂肪が必要とされる。 しかし、大量に蓄積すると体に危険を及ぼす。 中心性肥満、心臓病、高血圧、2型糖尿病などの原因になることがある。

お腹の脂肪はどのタイプ?

脂肪のタイプは、分布具合によってある程度区別できる。 体全体に均等に分布している人は、皮下脂肪が多いと考えられる。 お腹の周りに多く分布している人は、内臓脂肪が多い可能性がある。

手早く見極める方法は、おへそ周りのウエストをメジャーで測ること。 ウエストを測れば、お腹の中にどれだけ余分な皮下脂肪と内臓脂肪が蓄積しているか、ある程度分かる。 女性の場合は約90cm、男性の場合は約100cmがお腹に脂肪が蓄積されているかどうかの境目になる。

興味深いことに、一見スリムな人も内臓脂肪が多い場合がある。その点については、体組成検査をしないと判定できない。 体重の割にお腹の中の脂肪が溜まっている場合は、生活習慣や食生活が健全でない可能性がある。

内臓脂肪の場合は、重要な臓器間に分布しているので、危険性が高いとされている。 だから、お腹の脂肪が気になる人は、それを落とすことを目標にして健康状態を維持しよう。

お腹の脂肪を燃やす方法

  1. 1.精製炭水化物とトランス脂肪酸の摂取を減らす

    精製炭水化物や飽和脂肪酸、トランス脂肪酸が多く含まれる食生活を送っていると、お腹に脂肪が溜まっていく。 精製炭水化物は、炭酸飲料や菓子パン、ベーグル、ピザなどに含まれている。 こういった食品は内臓脂肪の増加につながるという研究結果もある。 カロリーが高く、つい食べ過ぎてしまうのが一因だ。 また、血糖値とインスリンの上昇を招くので、長期的にインスリン抵抗性や脂肪過剰蓄積の原因にもなる。

    飽和脂肪酸とトランス脂肪酸は、バターやビスケット、ケーキ、加工肉、揚げ物に含まれている。 これらは炎症を起こし、お腹の内臓脂肪を増加させる作用があることも知られている

  2. 2.タンパク質の摂取を増やす

    高タンパク質な食生活は、減量につながる。それにはいくつかの重要な理由がある。 タンパク質を摂取すると、代謝スピードが上がり、満腹感が生じて、食欲が減退する。 熱産生が促され、空腹感および満腹感に影響するグレリンやレプチンなどのホルモンの分泌量が変化することが原因だ。

    学術誌『International Journal of Obesity(国際肥満ジャーナル)』に掲載された研究では、タンパク質を多く摂取したグループと通常量のタンパク質を摂取したグループを、どちらもカロリー収支がマイナスの状態で比較した。 タンパク質を多く摂取したグループは、通常量を摂取したグループに比べ、体重の減少幅が大きく、1年間にわたって体重の継続的な減少が認められた。また、血圧、血中脂質、炎症の減少幅もより大きかった。 タンパク質を多く含む食品には、鶏肉、赤身の肉、卵、テンペ(発酵させた大豆を固めた食品)、ホエイプロテインパウダーや豆類などがある。

  3. 3.総カロリー摂取量を減らす

    お腹の脂肪を燃やしたいなら、体が脂肪を蓄える状態ではなく燃焼する状態になっていなければならない。 では、体をそのような状態にするには? カロリー収支がマイナスになればよい。 1日の総消費カロリー(TDEE)を知ることで、体重の増減につながる摂取カロリーの目安が明らかになる。

    摂取カロリーがTDEEよりも多いと、体重が増える。 TDEEよりも少ないと、蓄えられた脂肪が燃焼し、体重が減る。 部分的に脂肪を減らす方法などないということを覚えておこう。 お腹の脂肪を落としたいなら、カロリー収支をマイナスにすることだ。そうすれば、体に蓄積された脂肪が消費される。

    TDEEを計算してみよう。ネット上で使える計算ツールがある。もちろん専門家に相談してもよい。 食事の計画を立てたり、カロリーやマクロ栄養素を計算したりすることで、低カロリーの食生活を維持できる。

    お腹の脂肪を燃やすには、低炭水化物の食生活を続けることが効果的だ。 上で説明したように、精製炭水化物の過剰摂取はお腹の脂肪が蓄積する原因になるので、この摂取量を抑え、低炭水化物を中心にした食事を採用し、健康に良い脂肪(不飽和脂肪酸)を多く摂取すれば、望ましい結果が得られるだろう。 研究でもそれが裏付けられている。

    学術誌『The Journal of Nutrition(栄養ジャーナル)』に2015年に掲載された論文によると、低炭水化物・高脂肪の食事を続けたグループのほうが、高炭水化物・低脂肪の食事を続けたグループよりも腹部の脂肪を減らすことができた。 これは、炭水化物の摂取量を抑えたことで、インスリン感受性が上昇し、お腹の内臓脂肪の燃焼が促されたからだ。

  4. 4.ビタミンが不足していないか確認する

    健康的な食生活と定期的な運動を続けているのにお腹の脂肪がちっとも落ちないなら、ビタミンが不足しているのかもしれない。 ビタミンD不足は、お腹の脂肪の蓄積と関係がある。 脂肪細胞にビタミンDの受容体があるからだ。 体内のビタミンDレベルが低下すると、蓄えられた脂肪を効率的に動員できず、エネルギーは燃焼されないまま脂肪として蓄積される。つまり、脂肪量が増加する。 この過剰な脂肪分は特にお腹周りに蓄積される。

  5. 5.ストレスとうまく付き合う

    お腹の脂肪量に影響を与えるのはビタミンDだけではない。 実は、ストレスホルモンのコルチゾールもお腹の脂肪が蓄積する原因になっていることが示されている。 コルチゾールは脂肪の分布に関係しており、体の中心部にある内臓脂肪の量を増やす作用がある。 ストレスが溜まると、いわゆる「やけ食い」をしたり、運動不足になったりして、体重増加につながる。

  6. 6.毎日運動しよう

    エクササイズは効果的だ。 エクササイズは、ストレスを解消してコルチゾールレベルを下げる効果がある。 また、エネルギー収支をマイナスに転じさせ、そのマイナス分を大きくするのにも有効だ。 エクササイズをすると、体内に蓄積された脂肪が動員され、 筋肉が作られ、代謝率が上がる。 身体面だけに限らず、健康上のメリットは多岐にわたる。 お腹の脂肪を落としたいなら、日常にエクササイズを取り入れる必要がある。 お腹の脂肪を落とすのに最適な運動については、いくつかの選択肢がある。

    • 高負荷インターバルトレーニング(HIIT):HIITは脂肪を落とすのに非常に有効だ。 心拍数を上げ、酸素が足りない状態を作り出し、 ワークアウト中だけでなく、終わった後も脂肪を燃焼させる。 学術誌『Sports Medicine(スポーツ医学)』に2018年に掲載された論文では、HIITと脂肪減少に関する39の調査から、腹部と内臓の脂肪減少におけるHIITの有効性が示されている。
    • 有酸素運動:ウォーキング、サイクリング、ボート漕ぎなどの有酸素運動は1日の運動目標を達成するのに理想的だ。 1日1万歩を目標にしたり、自動車通勤を自転車通勤に切り替えたりしてみよう。 有酸素運動はHIITよりも強度が低いが、お腹の脂肪対策には顕著な効果がある。 ある研究では、お腹の脂肪が気になる被験者グループに有酸素運動をさせたところ、腹部脂肪の減少とインスリン感受性の上昇が認められた。 ちなみに、被験者たちが取り組んだのは、1週間に約20km、最大酸素摂取量の75%(低〜中の強度)の有酸素運動だった。
    • 筋力トレーニング:フリーウェイトでも自重でもよい。 無駄のない筋肉が作られることで、代謝率が上がり、脂肪動員の効率が高まる。 週に3〜5回を目安に実践することをお勧めする。
お腹の脂肪を燃焼する方法

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公開日:2021年11月15日

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