妊娠中のトレーニングで、体のぐらつきに対処する

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妊娠中に体のぐらつきを感じさせる要因の1つとして、よく挙げられるのは「リラキシン」というホルモン。不安定な感じがしても、自信を持って9か月間ワークアウトできる方法とは?

最終更新日:2022年7月27日
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  • 出産準備のため、妊娠中には多くの要因から関節やじん帯が緩んでくる。
  • ホルモンの変化によって体がいつもより不安定に感じられ、大きなお腹のためにバランスや筋肉の協調が難しくなる。
  • マインドセット、アクティビティ、栄養、回復、睡眠など、母親をサポートする広範な情報をNike (M) ページで入手しよう。


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*このコンテンツの目的は情報提供と意欲の向上であり、診断、治療、特定の医療に関するアドバイスを意図したものではありません。妊娠前、妊娠中、出産後の健康と安全の維持については、必ずかかりつけ医に相談してください。

「妊娠中は体がぐにゃぐにゃで不安定に感じた」という体験話を聞いても、あまり心配しすぎないでほしい。妊娠中に足元をふらつかせる妊娠ホルモン「リラキシン」は、確かに存在する。だが水面下で起こっている複雑なメカニズムを理解し、それに応じて調整する方が大切だ。ワークアウトや日常生活の場面で、ぐらつきを乗り越えていける実感をつかもう。

リラキシンとは

男性の体にも、妊娠していない女性の体にもリラキシンは存在する。だが女性の場合は、排卵後にリラキシンのレベルが上昇し、月経が始まると低下する。そして妊娠初期の3か月間には、リラキシンのレベルが上がりっぱなしになる。これは着床や胎盤の成長をサポートするためだ。だがこのホルモンが最も活躍するのは出産当日。赤ちゃんがこの世界に生まれてこられるように、リラキシンが骨盤の靭帯をリラックスさせてくれるのである。こう説明するのは、ナタリー・クローフォード医学博士(産婦人科医、生殖内分泌科医)だ。

濡れ衣を着せられたホルモン

約9か月間に及ぶ妊娠期間にわたって、リラキシンは体がふらつくような感覚をもたらす。だがその影響の大きさについては諸説ある。学術誌『スカンジナビアのスポーツ医学&科学ジャーナル』掲載の研究で明らかになったのは、リラキシンのレベルが高い妊婦の関節が必ずしも不安定になる訳ではないという事実。妊娠中には、複数の要因が関節に作用する。そう説明するのは、コロラドスプリングズで骨盤健康理学療法士(DPT)を務めるローレル・プルー博士(FEMフィジカルセラピー創立者)だ。「お腹の赤ちゃんが成長するにつれて、妊婦の姿勢が変化し、コア(体幹)を通して筋肉をコントロールできなくなってきます。これによって、筋肉の協調性も影響を受けるのです」

妊婦たちが、リラキシンを敵視するような説明を受けているのは残念なこと。「ホルモンの作用なら、抵抗してもしようがない」と感じ、トレーニングや運動系の趣味を控えてしまうことがあるからだ。そう語るのは、アイダホ州イーグルのブリアナ・バトルズ氏(ストレングス&コンディショニング認定スペシャリスト)。アカデミックフォーラム「妊娠と産後の運動」を創設した専門家だ。

だからといって、あなたまでリラキシンを敵視する必要はない。体の安定感が変化したら、以下に挙げる3つのアドバイスを思い出そう。不安なく快適にトレーニングを続けられ、妊娠中と産後の健康を維持できるはずだ。

リラキシンをはじめとする妊娠に関わる要素は、身体の安定にどう影響するのか

1. 慣れ親しんだ習慣を続ける。

妊娠中は転ぶかもしれないという不安から、アクティビティを完全に止めてしまう人もいる。気持ちは理解できるが、リラキシンが転倒を引き起こす可能性は低い。転倒の可能性が高まるとすれば、それはお腹が大きくなって重心と筋肉の協調が変わってきたせいだ。「筋肉は体の中心を支えて安定性を保ちますが、妊娠すると予測や反応に変化が現れます」とプルー博士は言う。だからといって、お腹が大きい間は運動をするなという意味ではない。原因を正しく認識し、筋肉の協調性の変化で転倒リスクが高まっていることを自覚したうえで、そのようなリスクを伴うアクティビティは回避しよう。

アクティビティごとのリスクは、本人の経験次第で異なってくる。だが基本的には自分が慣れていることを続け、適切な調整を加えていくのが理想である(クローフォード博士談)。たとえば道路を自転車で走るのが好きな人は、転倒の危険を避けてジムのスピンバイクに切り替える。ダウンヒルスキー、ローラーブレード、アイススケートのようなスポーツは、転倒の危険が明らかに大きいので妊娠中期以降はお勧めできない。それでも経験豊富なアスリートが継続したいと考える場合には、医師に相談すべきだ。高リスクのアクティビティを一時的に控え、新鮮な空気の中でハイキングできれば十分だと感じる人もいる。もちろん出産前の母体に適したヨガや筋トレのような低負荷エクササイズを始めてもいい(プルー博士談)。

2、ストレッチを見直す。

身体が不安定に感じられるからといって、妊娠中に柔軟性を高めようとするのはよくない(プルー博士談)。たとえば、ワークアウトの最後に可動域いっぱいの姿勢をキープしたり、1つのストレッチに30秒以上かけたりすると、すでに柔らかくなった関節に負担をかけてしまう。このようなロングホールドは、それほど気持ちよくもない。

安全な代案は、能動的可動性の強化だ。つまり可動域の範囲内で、特に腰回り、背骨、胸部などの筋肉と関節を意識的に動かすこと(プルー博士談)。おすすめは、出産前に適したマタニティヨガである。関節を緩めて緊張を軽減しながら、筋肉の制御(協調性)も向上できる。ポーズで関節に違和感がある場合は、そのポーズを飛ばしたり痛くないように調整すること。座った姿勢で体が沈み込んでしまう場合には、ボルスターやブロックなどで安定を確保しよう。

3. ウェイトは継続する(新たに始めてもよし)。

リラキシンは必ずしも体の安定性を失わせるものではない。だがそう思い込ませる作用はあるかもしれない(プルー博士談)。大きくなり続けるお腹も同様である。だからこそ、臀部、腰、コアを鍛える筋トレが重要なのだ。筋トレは体の土台を築き、靭帯が緩んでも、重心が変わっても体を安定させてくれる(バトルズ博士談)。現時点で、ウェイトトレーニングを怖がる必要はない。だが妊娠が後期に向かうにつれて、ホルモン状態や体の構造も変化するので無理は禁物だ。ウェイトトレーニングは構わないが、未知の重量に挑戦する必要はないということ。

円靱帯の痛み(腰や鼠径部付近の不快感)や膣の圧迫感を覚えたり、お腹が円錐形に張り出してきた場合にはアプローチを変えよう(プルー博士談)。胸ではなくお腹で深呼吸をしたり、負荷やレップを減らしたり、フォームを変えたりするのもおすすめだ。

自分の体がぐにゃぐにゃに感じても、その柔らかさの中には芯がある。そう考え直して、自信を持とう。

記事:ジェシカ・ミガラ
写真:ビビアン・キム

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