医師に聞く、熱疲労の症状と対処法

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熱疲労の症状とすぐにできる対処法をチェックしよう。

最終更新日:2022年6月17日
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熱中症の診断方法と対処法を医師が解説

夏の陽気を満喫しているときや、屋外でワークアウトに励んでいるときに、少し調子が悪くなり始めることがある。 少しふらふらしたり、突然頭痛に襲われたりする。これは脱水症状だろうか?それとも、熱疲労のような深刻な症状だろうか?

以下では、熱疲労の症状、医師が監修した対処法のほか、そもそも熱疲労を防ぐ方法について説明する。

熱疲労とは?

熱疲労の兆候について取り上げる前に、熱疲労にはどのような症状が伴い、類似する他の病気とどのように違うのかを確認しておこう。

米国疾病予防管理センターによると、暑さによる病気にはさまざまな種類がある。 症状の重さは、中程度から命に関わる重症まで幅広い。 軽めの症状としては、発疹(水ぶくれになることが多い)や筋肉などのけいれんがある。これに対し、暑さによる病気の中で最も重いのは熱射病であり、すぐに対処しなければ命に関わる。

重症度で言うと、熱疲労は発疹と熱射病の中間程度だ。 熱疲労は体が熱くなりすぎると発症する、とアリ・メシワラ医学博士は言う。メシワラ氏は、カリフォルニア州にあるDISC Sports and Spine Centerで神経外科とスポーツを専門としている。

「人の体は、通常の中核体温を維持するために、寒さで失われた熱や暑さで高まった熱を調整しなければなりません」と彼は言う。 「普通は、運動すると汗が出て、その汗が蒸発することによって体を冷却します。 蒸し暑い環境では、この冷却メカニズムが適切に機能しません。」

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水分が不足している場合や、大量のアルコールを摂取した場合、汗を蒸発させづらいウェアを着ている場合(速乾性に優れたウェアを試してみよう!)は、熱疲労が悪化するリスクが高まる、とメシワラ氏は述べている。 高湿の環境で激しい身体活動(ランニングや高負荷トレーニングのHIITなど)を行うときは、特に注意が必要だ。

「そのような状況では中核体温を調節できないため、症状が急速に悪化します。もし対処しなければ、深刻な状況に陥ります」と彼は言う。 メシワラ氏によると、最悪の場合、熱射病を発症するとのこと。 熱疲労はそこに行きつく途中の段階であるため、悪化する前に熱疲労に気付くことが極めて重要だ。

注意すべき11種類以上の熱疲労の症状

ケイシー・バテン氏によると、「何となく調子が悪い」という初期症状に気をつけなければならない。バテン氏は、ロサンゼルスにあるCedars-Sinai Kerlan-Jobe Instituteのプライマリケアスポーツ医学担当主任であり、ロサンゼルス・ラムズ(アメリカンフットボールチーム)のプライマリスポーツ医学主任医師を務める医学博士だ。

「通常、最初の兆候は、疲労感や脱力感が生じ、調子が悪いと感じることです。 さらに運動し続けると、そのような感覚に加えて、熱疲労の他の症状が表れる可能性があります」とのこと。 主な兆候は以下のとおりだ。

  • 大量の発汗
  • 吐き気
  • 目まい
  • 寒気、冷や汗
  • 頭痛
  • いら立ち
  • 喉の渇き
  • 尿量の減少
  • 体温の上昇
  • 立ちくらみ
  • 頻脈

熱疲労が続くと、調子が悪いという漠然とした感覚から約10~15分で急速に症状が悪化する恐れがあり、汗が出なくなることもある、とアンジャリ・バルティ氏は言う。バルティ氏は、オステオパシー医の免許を有する、ニューヨークのLenox Health Greenwich Village所属の救急専門医だ。 原因は体が適切な体温調節を行えなくなっていることであり、少し前まで大量の汗をかいていたにもかかわらず、肌が乾燥して熱くなる。

熱疲労がこの段階まで達すると、脱水状態になる可能性があり、腹部のけいれんや暗色尿(お茶やコーラのような色の尿)といった症状が表れる。 また、立ち上がるのが困難になり、立ち上がっても頭がフラフラし、鼓動が速くなる。

熱疲労の症状が悪化しているにも関わらず運動を続けると、熱射病を発症する場合がある。 CDCによると、熱射病になると15分以内に体温が41度まで急上昇する。

起こり得るもう一つの厄介な症状として、熱中症と長時間の身体運動に伴う横紋筋融解症がある。 これが発症すると、筋組織が死滅し、電解質とタンパク質が血中に放出され、不整脈、腎障害、発作が生じる可能性がある。

これを回避するための最善の策は、 確信がなくても、熱疲労の初期症状に気付いたらすぐに対処することだ。 蒸し暑い環境で運動するときは、とにかく注意することが、常に最善の策となる。

熱疲労の対処法

いずれかの熱疲労の症状が表れ始めたら、まずはすべての活動をすぐに停止するよう、メシワラ氏は忠告している。 その後の対処法は以下のとおりだ。

  • 涼しい日陰に行く。エアコンの効いている場所が理想的。
  • 冷水または電解質を含む飲料を少しずつ飲む。一気に飲み込まないこと。
  • シューズやソックスなど、不要な衣服を脱ぐ。
  • 冷水を頭、顔、首にかける。
  • 症状が悪化する場合に備え、可能であれば誰かにそばにいてもらう。

自分自身に熱疲労のリスクがなくても、熱疲労の兆候と対処法を知っておけば、周りの人が苦しんでいることに気付いたときに役立つ。 特に熱疲労が悪化し、錯乱などの症状が表れ始め、熱射病になりつつあるときには重要だ、とメシワラ氏は言う。

通常は30分以内に症状が治まるとのことだ。 1時間経ってもまだ続く場合は医療機関で診察を受けるよう、メシワラ氏は勧めている。 彼によると、意識喪失や激しい興奮などの重い症状があらわれた場合は、ためらうことなく救急外来に駆け込むか、救急サービスに電話しなければならない。

熱疲労を予防するためのヒント

幸いなことに、熱疲労は予防することができる、とメシワラ氏は言う。 暑い日に屋外でワークアウトをするなら強度を落とし、時間を短くするだけで効果があるとのことだ。 他にも、以下の対策を講じるとよい。

  • 気温が高すぎない、早い時間帯か遅い時間帯に運動する
  • 必要と思われる以上に、こまめに休憩をとる
  • 失われた水分と電解質を補給する
  • 速乾性に優れたウェア、またはゆったりとしたフィット感のウェアを着用する
  • 体をゆっくりと気候に慣れさせる(暑さの中での運動に慣れるには数週間かかる場合がある)
  • 日焼けを防止する(体温調節に影響するため)
  • 運動の前後にアルコール飲料は飲まない(失われる水分量が多くなるため)

そして、何よりも大事なのは「注意すること」だ。 屋外で運動する習慣のある人なら、自分が暑さの中での運動にどれくらい耐えられるか分かっているはずだ。 体が熱すぎると感じ始めたら、休憩をとるべきタイミングだ。日陰を探して水を飲み、体を休めてから運動を再開しよう。

文:エリザベス・ミラード

熱中症の診断方法と対処法を医師が解説

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公開日:2022年6月17日

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