一緒に速くなろう
周りにいるランナーたちを新たな高みへと引き上げるべく取り組んできたシャレーン・フラナガンにとって、バウワーマントラッククラブのコーチになることは自然な成り行きだった。彼女の周りにいる誰もがスピードを上げていく。そのサポートと競争心の魔法のような組み合わせは、クラブ内で「シャレーン効果」と呼ばれている。それについて本人は、「自分では笑ってしまうんです」と語る。「正直、特別なことをしているとは思っていません。素晴らしい人たちに囲まれていることが、私のエネルギーの源なんです」シャレーンは、コーチとしてランナーたちと家族のような関係を築いている。ここでは、ロペス・ロモングのようなベテランから、グラント・フィッシャーのような世界スポーツ大会に初出場を遂げたランナーたちが、それぞれの夢に向かって共にトレーニングに励んでいるのだ。
「バウワーマントラッククラブは大家族のようなもの。皆お互いを気遣い合っているし、誰もが成功してほしいと願っているんです」
シャレーン・フラナガン
ニューヨークシティーマラソン優勝、世界スポーツ大会銀メダリスト、作家、母親
自分の運命を見つける。自分の最速に挑戦する。
スーダンの内戦の最中に育ったロペス・ロモングは、生きるために自分の足で国を脱出し、家族と離れ離れになった。その後、移り住んだ米国で彼は大学の陸上チームに別の形の家族を見いだす。そして今、ロペスはバウワーマントラッククラブで、これまでとはまったく違う理由のために走っている。「スタートラインに立つたびに、これからは純粋に楽しみのために走ると自分に言い聞かせています。もう危険から逃れるために走らなくていい。僕は何かのために走っているのだと」
自分の原動力を見つける。自分の最速に挑戦する。
グラント・フィッシャーは、毎日一緒に走る家族のような仲間たちの中からモチベーションをもらっている。「僕たちはみな違った場所の出身で、違ったバックグラウンドを持っています。ランニングを始めたきっかけもさまざまですが、できる限り優れたランナーになりたいという1つの大きな目標のもとに団結しているんです」現在の彼にとってこの目標とは、この夏、初めて世界の舞台で戦うことを意味している。