2006年にスタートしたNikeとCLOTのコラボレーションからは、これまでに数々のシューズが誕生してきた。エディソン・チャンとケビン・プーンが主宰するCLOTは、極めて独創的で大胆なデザインを通し、自らの文化の起源に対する探究心と深い思考を表現。Nikeは、これらのシューズを通して、世界中の異文化に対する敬意とサポートを表明してきた。2つのブランドによるコラボレーションは、コラボレーションシューズという枠組みを越え、東洋と西洋のスニーカーカルチャーをつなぐ役割を果たしてきたのだ。

エア マックス 1 “Kiss of Death” は、NikeとCLOTによる初のコラボレーションシューズ。2つのブランドのデザイナーは、特徴的な文化的象徴である中国の鍼療法にヒントを得たスタイルをエア マックス 1のシルエットで表現した。大胆なトゥボックスのデザインには、透明なプラスチックを使用。足のつぼを描いたインソールが外から見えるようにした。また、透明なアウトソールの内側には、人間の足の図を配置している。2006年に登場したエア マックス 1 “Kiss of Death” は、2つのブランドが中国の伝統的な文化を探究する旅の出発点となった。

2013年、第1世代の “Kiss of Death” をベースに、アッパーに当時の画期的なNike Hyperfuseテクノロジーを採用して通気性と機能性を向上させた、後継モデルが登場。透明のアウトソールも、より鮮やかな足のイメージを使ってアップデートされた。オリジナルバージョンのデザイン要素をキープしながらも、「巻物」のコンセプトをシューズボックスのデザインにも展開。最新テクノロジーによって、アイコニックなコラボレーションシューズが生まれ変わった。

2018年、ジョーダンブランドとCLOTの初のコラボレーションから、驚くべきデザインのジョーダン 13 LOW “Terracotta” が登場。中国の最も重要な文化遺産の1つである、始皇帝の兵馬俑をデザインのヒントにしている。上質なスエードに改良されたステッチとパディング技術を使用することで、兵馬俑が着用する2000年前のめっきの鎧を再現。シュータンとヒールにメタリックゴールドのCLOTとJumpmanロゴを配し、古代遺跡に見られる東洋の武具を、現代のバスケットボールアリーナに復活させている。

世界のスニーカーカルチャーを揺るがしただけでなく、CLOTにも大きな影響を与えてきたエア フォース 1。2009年、東洋と西洋の古代世界をつなげた重要な産物である絹をデザインのヒントに、NikeとCLOTのコラボレーションからエア フォース 1 “1World” が登場した。レーザーでシルクのパターンを刻み込んだユニークなブラックのレザーアッパーを強調するため、上にシルクのレイヤーを1枚追加。このレイヤーをカットすることで、下にあるレザーが露出するデザインになっている。特徴的な春節のギフトボックスに収められたシューズでは、2つのブランドが再び東洋の伝統的な文化へのオマージュを表現した。

エア フォース 1の35周年を記念して、NikeとCLOTのコラボレーションからは、クラシックなオールホワイトのカラーをベースに、絹をイメージした新しいデザインが登場。“White Silk” のバージョンでは、前バージョン “Red Silk” に使われた二重構造のアッパーデザインを継承し、上のホワイトの絹のレイヤーを剥がすと、幸運、幸福、繁栄を意味する中国の伝統的なイメージが見えるようにした。“White Silk” には、世界の舞台で東洋のエネルギーを表現する存在になりたいというCLOTの希望が込められている。

2019年、中国の伝統的な思想である陰陽にヒントを得た、NIKE x CLOT エア フォース 1 “Royal University Blue Silk” が誕生。アッパーには前バージョンと同じ絹の刺繍を使用しながらも、特徴的なブルーの絹を取り入れることで、レザー素材とのコントラストを生み出している。外側と内側のレイヤーがお互いを引き立て合い、シューズの美しい全体像を強調。今回登場するシューズは「Silk」コレクションの3足目となるが、このコレクションはすでに中国だけでなく、それ以外の地域のスニーカーコミュニティでも人気シューズとしての地位を確立している。絹が古代世界をつないだように、このシューズが東洋と西洋の新たな懸け橋になる。