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白帯から強化選手まで駆け抜けた空手への挑戦

白帯から強化選手まで駆け抜けた空手への挑戦

中学生から空手を始めた大宮舞凜(おおみやまりん)さん。遅いスタートだったこともあり、始めた当初は悔しい経験を重ねた。
高校はスポーツの名門校ではなく、学習との両立を図るために公立の進学校を受験して入学。
チームメイトや指導者がいない中で、自分で練習メニューを考えて稽古を積み、県の強化選手に選ばれるまでに至る。
ケガに苦しみながらも、自身に合ったトレーニングを考える経験を、自分の道を切り拓く力に代えていった。

プロフィール

団体:YMCA
世界120の国と地域で、およそ6500万人の会員を有するNGO(非営利組織)。日本国内では「みつかる。つながる。よくなっていく。」をスローガンに、地域や人々のニーズに合わせたプログラムを提供している。https://www.ymcajapan.org

アスリート:大宮舞凜(おおみやまりん)さん
年齢:18歳
背景:YMCA Girl’s program supported by Nike, Inc. and Laureus Sport for Goodの中心運営メンバー。スポーツを通した社会貢献、特にすべての人が生涯を通して心身健やかに、楽しみながら体を動かすこと、その中でのジェンダー不平等や、学校部活の限界性などについて深い問題意識と意見をもっている。自身も空手について全国レベルでの実力を持ち、大学でもスポーツ科学を専攻する予定。
在住:神奈川県

白帯で出場した試合で負け続けて奮起

中学生で空手道場に通い始めた大宮さん。多くの空手選手は、小さな頃から地域の道場などで鍛錬を積んでいるため、大宮さんは小さい子と一緒になって稽古に励んでいました。白帯の段階では試合に出られない選手が多い中、師範から熱意を買われた大宮さんは、様々な試合に出場していました。(空手の帯色は白帯から始まり、オレンジ帯、青帯、黄帯、緑帯、茶帯、黒帯の順でレベルが上がっていきます。)
あるとき、各県の代表者が集まるような練習試合のイベントに出場したことがありました。応募すれば誰でも参加できるイベントでしたが、参加者のレベルが高く、白帯で出場したのは大宮さんだけ。「私が試合に出ると、周りがざわついて、コソコソと嘲笑する声が聞こえてきました。白帯で出場している私が浮いていたんでしょうね。周囲の反応が悔しかったですし、弱い自分自身も腹立たしかったです」と大宮さんは振り返ります。
大宮さんは、この悔しい経験を負けたくないという思いに変えて、より稽古に励みました。

強化選手に選ばれるもケガに苦しむ

高校でも空手を続けていきたいと思っていた大宮さんですが、スポーツ推薦で空手強豪校に進学するのではなく、あえて受験をして進学校に入学します。それまで頑張ってきた勉強も無駄にしたくないという思いがあったからです。
高校の空手部は弱小で、女子はほぼおらず、男子と組手稽古をする日々。また、指導者による指導は週1回のみで、部員のモチベーションも高くありませんでした。そんな中でも、大宮さんは、一人で自主練をしたり、指導者や道場の師範にアドバイスをもらったりしながら、自身で練習メニューを作り上げていきました。
すると大宮さんに影響されて、自主練を始める部員が出始めて、翌年には新入部員も増えました。そうした中で出場した県の国体の予選でベスト8に勝ち進み、指定強化選手に選ばれます。大宮さん以外は、全国からスポーツ推薦で県の強豪校に集められた選手ばかり。「他校のコーチから、『どうやって自分で練習しているの』『すごいね』と声をかけられました。それまで悔しい思いをし続けてきていたので、この時はとても嬉しかったです」と振り返ります。
しかし、同時期に大宮さんは激しい腰の痛みに苦しむようになります。検査を続けていくと、中学時代に陸上部でハードルの練習をしていたことが原因の1つだとわかりました。「負荷の蓄積により、もはや治らない状態となっていたんです。大きな病院で診てもらっても、『うまく付き合っていくしかない』と言われてしまいました。選手として“これから”という時に、思うように動けなくなってしまったことがショックでした」と、大宮さんは悔しさをにじませます。痛み止めを飲んだり懸命なリハビリを続けたりしながら、なんとか空手を続けました。しかし、ケガと付き合いながら稽古を重ねる中で、周囲の人々への感謝も抱くようになったといいます。
「どうしたら腰に負担がかからないように回し蹴りができるかなどをリハビリの先生や理学療法士さんと相談しながらトレーニングをしました。私が空手の動きを伝えて、『それだったら、こう動いてみたら負担が少ないよ』など一緒に考えてくれました。病院の先生も、道場の師範も、みなさん協力してくださったので、『期待に答えたい』という思いを強く抱くようになりました。

空手稽古の試行錯誤が自らの道を拓く力となる

大宮さんは、自分でトレーニングメニューを考えた経験や体に負担をかけない技を鍛錬する経験を通じて、「指示してくれる人がいなくても私なら大丈夫」という自信を持つことができるようになったと語ります。こうした境地に至ったのは、中学校時代と高校時代に違うスポーツの環境を経験できたことが大きかったと振り返ります。
「中学校の部活動では、教師から与えられたメニューを部長としてそのまま他の部員に伝え、嫌々こなしていました。自分の頭で考えていなかったのです。高校に入り自分でメニューを考えて練習せざるを得ない環境になったことは、結果的に成長スピードを速め、自分の力を最大限に伸ばすことに集中できるというメリットがありました。この経験は空手以外にも役立てることができると考えています」
また、大宮さんの高校は、文部科学省の指定事業スーパーサイエンスハイスクール(SSH)に選ばれており、高大連携などにより高度な研究ができる環境が整っていました。そこで、睡眠について探究する機会を得ます。「新たにアスリートを支える側の視点をもち、論理的に考えたりデータを読み解いたりする探究活動を経て、大学進学後も、健康について多角的に研究していきたいと思うようになりました」と語ります。
さらに、大宮さんは女性がスポーツを続けていきやすい環境整備にも尽力したいと言います。
「空手の女子アスリートはまだまだ少ないです。小さい頃に空手をしていても、高校に入るタイミングでやめてしまうんです。体型が崩れてしまうことが嫌だったり、健康面で辛い時期があったりすることも、空手に限らず女性がスポーツを続けにくい原因となっているのでしょう。これからは、スポーツから離れる女の子が減る働きかけができるよう活動していきたいです。NIKEやYMCAの事業では、同じような志の人と出会えるチャンスでもあると思っています」
大宮さんは、「空手は心を成長させてくれた」と言います。空手を通じて、自分を客観視したり、思考する力を身につけたりすることができたそうです。最後に「おばあちゃんになっても続けていきたい」、そう空手への愛情を笑顔で語りました。

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