腱板断裂の症状とは? 医師が治療法を解説

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肩が痛い、力が入らない、可動域が制限される、といった症状は、腱板断裂の代表的な症状だ。 ここでは、この疾患について知っておくべきこととその治療法を紹介する。

最終更新日:2022年7月18日
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想像してみよう。あなたは、次のトライアスロンで成功を収めるために水泳の練習に打ち込んできた。 だが数週間前から肩に激しい痛みがあり、トレーニングが思うように進まず、完全に中断することさえ出てきてしまった。 一体、何が起きているのだろうか? もしかしたら、それは回旋筋腱板断裂の症状かもしれない。

ニューヨーク州ニューヨークにあるHospital for Special Surgeryによると、米国では年間200~400万人もの人々が回旋筋腱板断裂に悩まされているという。 しかし、回旋筋腱板断裂とは、正確にはどのような症状なのだろうか? また、この症状に見舞われたら手術を受けなくてはならないのだろうか?

この記事で、回旋筋腱板断裂の症状について知っておくべきこと、そして、治療のために必要なことを解説しよう。

回旋筋腱板とは何か?

回旋筋腱板は肩の最も重要な部位の一つであり、肩関節を適切な位置で支える役割を担う。

「回旋筋腱板とは、肩関節で上腕骨と肩甲骨をつなぐ筋肉の集合体です」そう語るのは、理学療法士であり、認定ストレングス・コンディショニング・スペシャリストのキャメロン・ユエンだ。 彼はBespoke Treatmentsで理学療法の専門家として勤務している。「肩関節は球面とそれを受けるくぼみで構成されています。肩をさまざまな角度で自由に動かすことができるのはこのおかげです」

こうした自由な動きを実現するには、あらゆる角度の動きで、肩そのものが十分に安定している必要がある。 「回旋筋腱板は、すべての筋肉が同時に収縮する共収縮によって肩を安定させます」とユエンは説明する。

回旋筋腱板を構成するのは4つの筋肉だ。 「SITSという頭文字で覚えられます。subscapularis(肩甲下筋)、infraspinatus(棘下筋)、teres minor(小円筋)、supraspinatus(棘上筋)です」

こうした回旋筋腱板の筋肉はそれぞれ、腕の内向き、外向きの回転をサポートし、頭上や背面に手を伸ばすといった機能的な動きでも役に立つとのことだ。 「個々の筋肉は異なる回転角度で肩を引っ張り、また、共収縮では肩を関節に固定します」とユエンは言う。

回旋筋腱板損傷はよく起こる?

回旋筋腱板は肩を安定させるという役割を担っているため、どのような腕の動きにも使われる。 つまり、休みなく働いているわけだから損傷する可能性も高い。 この傾向は、特に反復的な動きや頭上での動作が含まれるスポーツや活動、たとえば野球、水泳、テニス、ローイング、ウェイトリフティングなどで顕著だ。

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「回旋筋腱板損傷はどの年代でもよく起こりますが、特に60歳以上で多く見られます」と語るのは、医学士でHospital for Special Surgeryのスポーツ医学医師でもあるジョーダン・メツルだ。 「というのも、腱はそれを構成するコラーゲンが加齢とともに衰え、損傷しやすくなるからです」

回旋筋腱板損傷には、急性外傷性と反復使用の2種類がある。

「急性外傷性の回旋筋腱板損傷は、1回の転倒で発生します。氷の上で滑ったりスケートボードから落ちたりして手をつくときによく起こります」とメツルは言う。 「もっと多いのは徐々に進行するタイプの回旋筋腱板損傷で、筋肉と腱が恒常的に圧迫され緊張する状態が、長期にわたり続くときに発生します」これが反復性の、つまり酷使による損傷だ。

「50歳以上の人は、運動不足、あるいは組織の健康や血流の衰えも回旋筋腱板断裂の原因になります」とユエンは説明する。

また、回旋筋腱板断裂には、重症度に応じて部分的な断裂と完全な断裂がある。 「一般的に、完全に断裂すると脱力感が強くなりますが、全体像を把握するにはMRIで調べる必要があります」とメツルは言う。

回旋筋腱板断裂の症状

完全な、または部分的な回旋筋腱板断裂の兆候としては、次のようなものが挙げられる。 ただし、それぞれの症状の見通しについては医師や有資格の医療専門家に相談するのが常に最善策であることを忘れないでほしい。

  • 体の深い部分がずきずきと痛む。
    どんな損傷にも痛みはつきものであり、 回旋筋腱板も例外ではない。 「痛みは肩と上腕で感じやすく、夜間や、腕を頭上に上げるときに特に強く感じるでしょう」とメツルは指摘する。 また、痛みは体の奥深い部分で感じるはずだ。 「肩の歯痛とも表現されます」と彼は言う。

  • 頭上に手を伸ばすのが難しい。
    腕を上げるときに痛みを感じるだけでなく、頭上に伸ばす動作がまったくできなくなることもある。 この損傷の症状について「高く手を伸ばすと脱力感を感じたり、リフティングのような頭上での運動が困難になったりします」とメツルは説明する。

  • 可動域が制限される。
    回旋筋腱板損傷に伴い、腕の動きが制約を受けることになる。 「背面に手を伸ばす、あるいは腕を内外に回転させる動きで痛みを感じたり、そうした動作が難しくなったりしたら、回旋筋腱板断裂の可能性があります」とユエンは指摘する。

  • 筋肉が減り始める。
    不快感とともに筋肉の減少に気づいたら、それも回旋筋腱板断裂の兆候かもしれない。 「肩の一番上、または肩甲骨の後ろの筋肉が萎縮するかもしれません」とユエンは言う。

回旋筋腱板断裂の治療法

回旋筋腱板が損傷していると思ったら、まずは医師に相談しよう。 「診察やX線検査、またはMRI検査を受けて、完全で正確な診断を下してもらいましょう」とメツルは勧める。 肩の状態が判明したら、次に行うべき対策を決定できる。

年齢、原因、重症度、肩のその他構造の損傷によっては、肩の機能をすべて回復させるために手術が必要かもしれない。

「筋肉、特に筋肉が腱になる部位が完全に断裂している場合、手術が必要になります」とユエンは言う。 しかし回旋筋腱板は安易に手術すべきではない。

「回旋筋腱板の手術の治癒には半年から1年かかります。また、理想的にはその後も継続的な肩のエクササイズが必要です」とユエンは指摘する。

幸い、すべての回旋筋腱板損傷で手術が必要なわけではない。 「むしろ、ほとんどの場合不要です」とメツルは言う。 「最初は他の治療法を検討することをおすすめします」

手術を避けたい場合、または手術しなくてもよい損傷であれば、次は理学療法士、できれば整形外科やスポーツ医学を専門とする療法士に相談しよう。 ユエンによれば、回旋筋腱板はそれ自体が動くのではなく、他の筋肉の動きに連動して肩を安定させるために動く。そのため、リハビリテーションの過程では最初に回旋筋腱板を強化するエクササイズを行い、それから腱板を使った機能的な動きに着手する。

「理学療法士は、機能回復のためにモビリティと筋力強化のエクササイズを指示します。また、脱力感の改善にも取り組むでしょう」と彼は言う。 「炎症を抑え、血流を増やして痛みを軽減することを最優先しながら、肩のモビリティを完全に回復させ、続いて回旋筋腱板、および肩と肩甲骨の大きな筋肉の筋力強化を行いましょう」

療法士の治療計画に従えば、肩の筋力と安定性の回復が実現する。また、エクササイズの継続によって今後の回旋筋腱板損傷の防止も可能だ。

文:エイミー・シュリンガー(NASM認定パーソナルトレーナー)

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公開日:2022年7月18日

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